国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年最新データによると、フィジーのヤギ飼養頭数は1961年から2022年までの間に大きく変動しており、2022年には267,167頭に達しています。この間、1967年から1978年にかけて飼養頭数の大幅な減少が確認されていますが、その後は増加を続け、特に1990年代後半以降顕著な回復傾向がみられます。2004年には一時的に310,000頭を記録したものの、数値はその後再び低下し、安定的な成長へと移行しています。
フィジーのヤギ飼養頭数推移(1961-2022)
年度 | 飼養頭数(頭) |
---|---|
2022年 | 267,167 |
2021年 | 265,893 |
2020年 | 264,780 |
2019年 | 266,641 |
2018年 | 266,929 |
2017年 | 265,112 |
2016年 | 260,293 |
2015年 | 258,592 |
2014年 | 252,000 |
2013年 | 251,500 |
2012年 | 250,750 |
2011年 | 250,700 |
2010年 | 250,500 |
2009年 | 250,000 |
2008年 | 250,000 |
2007年 | 248,000 |
2006年 | 247,000 |
2005年 | 240,000 |
2004年 | 310,000 |
2003年 | 210,000 |
2002年 | 250,000 |
2001年 | 245,749 |
2000年 | 240,931 |
1999年 | 237,170 |
1998年 | 235,000 |
1997年 | 230,275 |
1996年 | 206,879 |
1995年 | 211,000 |
1994年 | 205,000 |
1993年 | 199,000 |
1992年 | 187,235 |
1991年 | 175,000 |
1990年 | 170,000 |
1989年 | 180,000 |
1988年 | 180,000 |
1987年 | 189,000 |
1986年 | 192,000 |
1985年 | 191,000 |
1984年 | 185,000 |
1983年 | 172,000 |
1982年 | 160,000 |
1981年 | 156,000 |
1980年 | 110,000 |
1979年 | 97,000 |
1978年 | 90,000 |
1977年 | 110,000 |
1976年 | 114,000 |
1975年 | 129,000 |
1974年 | 141,000 |
1973年 | 138,000 |
1972年 | 142,000 |
1971年 | 150,000 |
1970年 | 146,000 |
1969年 | 170,000 |
1968年 | 170,000 |
1967年 | 148,000 |
1966年 | 185,000 |
1965年 | 196,000 |
1964年 | 192,000 |
1963年 | 192,000 |
1962年 | 180,000 |
1961年 | 180,000 |
フィジーのヤギ飼養頭数に関するデータを分析すると、1960年代から2020年代に至るまでの推移には明確な特徴と課題が浮かび上がります。1961年時点で180,000頭であったヤギの飼養頭数は、1967年以降急激に減少し、1978年の最低水準である90,000頭に達しました。これには、いくつかの要因が影響したと考えられます。ヤギは比較的管理が容易で食肉や乳製品として利用される一方で、疾病や適切な飼養技術が欠如すると早期に頭数の減少を招くことが知られています。さらに、この期間における地域的な経済状況、政策支援の不足、自然災害や地政学的要因も、影響を与えた可能性があります。
1980年代以降には、飼養頭数の回復が見られ、1990年代後半から2000年代初頭にかけては目覚ましい増加が続きました。この回復には、地域農業政策の改善や獣医療サービスの整備、市場の需要拡大が寄与したとされます。なかでも2004年の310,000という数値は、この期間の急速な成長を象徴しています。しかし、その後の一転しての減少は、おそらく一度に大きな増加を遂げた際の市場や環境バランスの影響、気候変動や農業管理方策の課題が影響したと考えられます。
2004年以降、ヤギ飼養頭数は再び安定的な増加へと転じており、2022年には267,167頭に達しています。この安定成長期には、技術革新の普及、小規模農家への支援策、更には海外市場におけるフィジー産ヤギ製品の需要拡大が大きく貢献したことが示唆されます。また、気候変動の影響を受けやすい農牧業において、ヤギは比較的気候耐性が高いことから、食料供給の安定化に寄与している可能性もあります。
今後の課題としては、気候変動がますます深刻化する中で、飼育環境や資源管理の適切化が求められるでしょう。特に水資源の確保や牧草地の持続可能な維持が、長期的な成功の鍵となります。さらに、家畜疾病の発生リスクを低減するための医療体制や、近代的な技術を用いた飼養法の導入が急務です。これに加えて、都市化や土地利用競争の影響により、ヤギの飼養可能な領域が制限される懸念も指摘されています。こうした地域課題に対応するには、国際機関による支援や多国間の協力を通じて、知識や資源の共有を進める必要があります。
また、新型コロナウイルス感染症が経済と社会に与えた影響も無視できません。特に輸送物流の制限や人員不足が、農牧生産に影響したことが指摘されています。この教訓を踏まえ、将来的には、地域の食料供給基盤を強化し、持続可能な農業システムを構築することが重要と考えられます。
結論として、フィジーのヤギ飼養頭数は激しい変動を経て増加基調にあり、同国の農牧業と地域経済の発展に寄与しています。しかし、継続的な成長を実現するためには、環境保全、技術導入、持続可能な資源利用など、具体的で包括的な対策が必要です。国際社会がこれらの目標達成を支援することで、フィジーのみならず太平洋地域全体の食料安全保障の向上にも寄与するでしょう。