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ミクロネシア連邦のヤギ飼養頭数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、ミクロネシア連邦における1991年から2022年までのヤギの飼養頭数は、長期的に見ると微増傾向にあります。特に2013年以降、年間の増加幅がやや加速し、2022年時点では4,845頭に至っています。一方、2020年には若干の減少が見られ、これが新型コロナウイルス感染症の影響による一時的な停滞かどうかが今後の焦点となるでしょう。

年度 飼養頭数(頭) 増減率
2023年 4,893
0.99% ↑
2022年 4,845
1.44% ↑
2021年 4,776
1.44% ↑
2020年 4,708
-1.65% ↓
2019年 4,787
2.33% ↑
2018年 4,678
0.88% ↑
2017年 4,637
1.18% ↑
2016年 4,583
1.15% ↑
2015年 4,531
0.69% ↑
2014年 4,500 -
2013年 4,500
4.65% ↑
2012年 4,300 -
2011年 4,300
4.88% ↑
2010年 4,100 -
2009年 4,100 -
2008年 4,100 -
2007年 4,100
2.5% ↑
2006年 4,000 -
2005年 4,000 -
2004年 4,000 -
2003年 4,000 -
2002年 4,000 -
2001年 4,000 -
2000年 4,000 -
1999年 4,000 -
1998年 4,000 -
1997年 4,000 -
1996年 4,000 -
1995年 4,000 -
1994年 4,000 -
1993年 4,000 -
1992年 4,000 -
1991年 4,000 -

ミクロネシア連邦におけるヤギ飼養頭数は、1991年から長期間にわたって約4,000頭で一定していましたが、2007年以降、緩やかな増加に転じました。この増加は、農村部でのヤギの家畜としての需要が増加していることや、気候変動の影響で他の畜産種から飼育の容易なヤギへと切り替えが進んだ可能性などが考えられます。特に2013年以降の増加ペースが顕著で、2022年には4,845頭にまで増加し、30年間で約21%の伸びを記録しました。

ただし、この増加傾向の中でも、2020年には一時的に飼養頭数が4,708頭と微減しました。この時期は新型コロナウイルス感染症が発生し、物流や人の移動に制限がかかったため、飼料供給や営農環境に影響を与えた可能性が考えられます。他国の農業や畜産産業にも同様の影響がみられ、これは災害や疫病が動物飼育に及ぼす具体的なリスクを示唆しています。

ミクロネシア連邦の地政学的背景として、同国は海洋国家であり、耕作可能な土地が限られています。このため、農業全体の規模は小さく、追加の土地を利用した大規模な家畜生産は困難です。しかし、ヤギは小規模な土地でも効率的に飼養できるため、農村世帯の主要な畜産種として適しています。また、気候変動や台風等の自然災害に強い点も、この地域におけるヤギ飼養の利点となっています。

一方で、依然として課題も存在します。たとえば、飼養頭数の増加に対して飼料の確保や獣医療の充実、病気予防といった管理体制の改善が必要です。さらに、同国の輸送インフラが制約されているため、生産物を市場に流通させる仕組みが十分に整っておらず、ヤギ肉やヤギ乳を有効に活用するためのサプライチェーンの整備が求められます。

今後の具体的な対策として、持続可能な畜産を目指した戦略の策定が挙げられます。例えば、地域内での協力を強化し、飼料の共同調達を進めるほか、気候変動に対応した持続可能な放牧技術を導入することで、効率性を向上させることができます。また、国際的な農畜産支援団体やNGOと提携することで、技術研修やインフラ整備を強化することが重要です。

結論として、ミクロネシア連邦のヤギ飼養は、持続可能な発展の可能性を秘めていますが、自然災害や輸送制約といった課題に対応しつつ、同時に農村経済の活性化に資するための包括的な政策が必要です。地域および国際間での連携を強化し、この資源を最大限に活用していくべきでしょう。