Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)のデータによると、パラグアイのヤギ飼養頭数は1961年の78,045頭から2015年に147,361頭へと増加傾向が見られましたが、2018年以降は減少し、2022年には110,186頭となっています。一方で、全期間を通じて短期的な増減が見られるなど、継続的な変動も特徴的です。この推移は、農作環境、経済状況、政策変動が影響を与えていると考えられます。
パラグアイのヤギ飼養頭数推移(1961-2022)
年度 | 飼養頭数(頭) |
---|---|
2022年 | 110,186 |
2021年 | 105,684 |
2020年 | 109,303 |
2019年 | 111,972 |
2018年 | 115,544 |
2017年 | 132,470 |
2016年 | 151,343 |
2015年 | 147,361 |
2014年 | 143,657 |
2013年 | 140,341 |
2012年 | 137,537 |
2011年 | 135,187 |
2010年 | 133,237 |
2009年 | 131,656 |
2008年 | 129,898 |
2007年 | 140,000 |
2006年 | 150,000 |
2005年 | 160,000 |
2004年 | 159,469 |
2003年 | 135,501 |
2002年 | 125,464 |
2001年 | 124,222 |
2000年 | 122,992 |
1999年 | 121,774 |
1998年 | 123,250 |
1997年 | 122,600 |
1996年 | 124,127 |
1995年 | 122,553 |
1994年 | 122,180 |
1993年 | 122,000 |
1992年 | 120,000 |
1991年 | 135,000 |
1990年 | 148,200 |
1989年 | 145,752 |
1988年 | 137,561 |
1987年 | 129,400 |
1986年 | 123,395 |
1985年 | 117,647 |
1984年 | 112,909 |
1983年 | 110,575 |
1982年 | 109,205 |
1981年 | 107,751 |
1980年 | 115,000 |
1979年 | 125,600 |
1978年 | 120,300 |
1977年 | 113,200 |
1976年 | 108,300 |
1975年 | 107,800 |
1974年 | 104,800 |
1973年 | 100,000 |
1972年 | 86,600 |
1971年 | 74,400 |
1970年 | 58,942 |
1969年 | 54,000 |
1968年 | 50,000 |
1967年 | 47,000 |
1966年 | 48,000 |
1965年 | 48,000 |
1964年 | 50,138 |
1963年 | 59,000 |
1962年 | 59,000 |
1961年 | 78,045 |
パラグアイは、南米の内陸国として農業と畜産業が経済の重要な柱となっています。ヤギの飼養に関しては、歴史的に少数の農家による小規模な飼育が中心でした。このデータを見ると、1960年代には増減が激しく、特に1961年から1962年の間に28.8%の大幅減少が記録され、その後数年間は低迷が続きました。一方、1970年代から1980年代後半にかけては、逐次的に増加し、145,752頭(1989年)にまで伸びています。この成長は国内外でのヤギ乳やヤギ肉の需要増加が背景にあった可能性が高いです。また、家族経営を基盤とした飼育から、商品化を目指した飼育形態へのシフトが影響を及ぼしたとも考えられます。
1990年代に入ると、大きな減少傾向が1991年から1992年にかけて確認され、120,000頭という水準まで落ち込んでいます。この現象は、気候問題や経済政策の影響を受け、輸入飼料の価格上昇や安定した市場環境の欠如が原因とされます。しかし、2000年代にかけては再び増加が見られ、特に2004年の159,469頭に達したことから、特定の地域での飼養活動が強化された点が推測されます。ここからは、飼育技術の向上や、需要動向に応じた調整が奏功したとみられます。
注目すべきは、2015年を最高点とした後の急激な下降傾向です。この場合、2017年から2018年までの比較では19.5%の大幅減少がみられ、その後2021年までの減少はさらに続きました。気候変動の影響による農地条件の悪化や、国内外の経済危機が原因となった可能性があります。南米地域では、牧草地の利用効率が悪化することで乳量や繁殖効率が低下する事例が増えています。また、新型コロナウイルスの影響による物流の停滞や市場縮小が、畜産業全体に打撃を与えたことも考えるべきです。
この減少傾向に対し、具体的な対応策を提案することが重要です。一つの解決策として、小規模農家への財政支援や技術サポートがあります。たとえば、飼料や水資源の管理を効率化するための教育プログラムや、低コストで効率的なヤギ飼育技術の普及が考えられます。また、地域協力を強化し、例えばマージナルな農地での効率的な飼養を増やすため、近隣のブラジルやアルゼンチンとの共同プロジェクトを実施することも効果的です。
さらに市場の安定化を目指し、ヤギ乳や肉製品に特化した地域ブランドを形成することで、国内外の消費者に訴求する手法が検討できます。これにより、農家が価格競争に巻き込まれるリスクを最小化できます。国際的な視点から見ると、現在の欧州やアジア市場では高品質なヤギ製品に対する需要が増えており、これをターゲットとする輸出戦略も有望です。
結論として、パラグアイの長期的なヤギ飼養の推移は、地政学的および経済的要因によって影響を受けています。減少した今こそ、短期的な安定化対策と長期的なブランディング戦略を組み合わせ、持続可能な増加基盤を築くことが求められます。地域の気候変動への適応、技術革新、国際市場の活用は、今後の主要な政策課題となるでしょう。国際機関と共同で実施するプロジェクトもまた、この分野の復興に貢献すると考えられます。