Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、2022年におけるモーリタニアのヤギ飼養頭数は7,411,863頭に達しました。1961年の2,540,000頭から大幅に増加しており、特に2000年以降に顕著な増加が見られます。一方で、2016年以降は一部の年で減少傾向も確認され、飼養頭数は一定ではありません。
モーリタニアのヤギ飼養頭数推移(1961-2022)
年度 | 飼養頭数(頭) |
---|---|
2022年 | 7,411,863 |
2021年 | 7,273,566 |
2020年 | 7,475,332 |
2019年 | 7,422,589 |
2018年 | 6,905,432 |
2017年 | 6,987,379 |
2016年 | 7,058,834 |
2015年 | 7,402,000 |
2014年 | 7,080,000 |
2013年 | 6,714,042 |
2012年 | 6,399,326 |
2011年 | 6,089,834 |
2010年 | 5,799,842 |
2009年 | 5,523,659 |
2008年 | 5,260,628 |
2007年 | 5,600,000 |
2006年 | 5,600,000 |
2005年 | 5,600,000 |
2004年 | 5,600,000 |
2003年 | 5,600,000 |
2002年 | 5,554,940 |
2001年 | 5,315,738 |
2000年 | 5,086,826 |
1999年 | 4,867,776 |
1998年 | 4,555,000 |
1997年 | 4,200,000 |
1996年 | 4,132,800 |
1995年 | 3,525,600 |
1994年 | 3,520,000 |
1993年 | 3,520,000 |
1992年 | 3,400,000 |
1991年 | 3,500,000 |
1990年 | 3,400,000 |
1989年 | 3,300,000 |
1988年 | 3,200,000 |
1987年 | 3,150,000 |
1986年 | 3,100,000 |
1985年 | 3,100,000 |
1984年 | 2,700,000 |
1983年 | 3,000,000 |
1982年 | 2,646,400 |
1981年 | 2,596,500 |
1980年 | 2,596,500 |
1979年 | 2,537,000 |
1978年 | 2,812,000 |
1977年 | 2,480,000 |
1976年 | 2,430,000 |
1975年 | 2,330,000 |
1974年 | 2,350,000 |
1973年 | 2,500,000 |
1972年 | 2,500,000 |
1971年 | 2,550,000 |
1970年 | 3,000,000 |
1969年 | 3,000,000 |
1968年 | 3,000,000 |
1967年 | 2,800,000 |
1966年 | 2,700,000 |
1965年 | 2,770,000 |
1964年 | 2,710,000 |
1963年 | 2,650,000 |
1962年 | 2,600,000 |
1961年 | 2,540,000 |
モーリタニアは北西アフリカに位置し、農牧業が経済の中核を成しています。ヤギ飼養は乾燥地帯において耐久性の高い家畜として重要視され、食糧資源だけでなく収入や生活の安定に関係する不可欠な要素です。このヤギ飼養頭数の推移を見ると、深刻な環境変化や経済・社会的な課題が絡んでいます。
本データの初期段階である1960年代から1970年代後半にかけて、飼養頭数は緩やかな増加傾向にありましたが、1971年以降は頭数が減少に転じました。特に1971年から1975年までの短期間で200,000頭以上が減少しており、この時期に干ばつなどの環境要因や経済的困難が影響した可能性があります。その後1980年以降は再び回復し、1990年代から加速的な増加が観測され、2000年代には5,000,000頭を超える水準まで上昇しました。
さらに2010年代には最も高い水準に達し、2015年には7,402,000頭を記録しています。一方で、2016年以降、飼養頭数は一時的な減少や横ばい状態を経験しており、2021年には7,273,566頭まで減少しました。その原因には、気候変動による土地の劣化、異常気象の頻発、新型コロナウイルス感染症による経済停滞、さらには過放牧による環境問題などが挙げられます。しかし、この中でも2022年には7,411,863頭まで回復しており、政策や環境対応策の成果が少しずつ見え始めていると考えられます。
ヤギ飼養の増加は地域の食糧安全保障や経済活動の活性化に寄与するものであり、特に貧困層を支える重要な資産でもあります。ですが、この増加には警戒すべき課題も伴います。急速な増加により、乾燥地帯では土地の過剰利用が進みやすく、土壌の劣化や砂漠化のリスクが高まっています。また、国際市場での需要増加に対応するために、飼養方法の改良や高付加価値の商品化が必要とされています。
将来に向けた具体的な対策として、まずは気候変動に対応する「気候適応型牧畜」の普及が挙げられます。たとえば、干ばつに耐性のある飼料作物の栽培支援や、ヤギの健康管理を徹底するための獣医療サービスの拡充です。また、持続可能な土地管理を促進するための地域協力やインフラ整備も求められます。さらに、国際市場への輸出を見据えた品質管理の強化や、生産者組合による効率的な流通体制の確立も重要です。
地政学的な観点では、モーリタニアが隣接するサヘル地域の不安定な治安状況や、国境近辺で発生しうる紛争が牧畜活動に悪影響を及ぼすリスクも注意する必要があります。また、気候変動に伴う降水量の変化や気温上昇が牧草地の生産性を低下させる中、断続的な大規模干ばつが将来的に牧畜産業全体に打撃を与える可能性が懸念されます。
結論として、モーリタニアにおけるヤギ飼養頭数の増加は、その国民生活や経済活動にとって極めて重要な成果を示しています。しかし、これを持続可能な形で展開するためには、環境対応型政策、国際的な協力、および地元社会を巻き込んだ総合的なアプローチが必要不可欠です。持続可能な発展を支えるために、国際社会も技術支援や資金援助の面で積極的に貢献していくべきです。