モルドバ共和国におけるヤギの飼養頭数は、1992年以降増加傾向を示しており、中でも1990年代後半から2000年代前半にかけて顕著な成長が見られました。しかし、2004年以降は全体的に変動が見られ、特に2019年以降は減少傾向が続いています。2022年時点での飼養頭数は139,900頭で、2018年のピークである162,576頭から減少しています。
モルドバ共和国のヤギ飼養頭数推移(1961年~2023年)
年度 | 飼養頭数(頭) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 133,034 |
-4.91% ↓
|
2022年 | 139,900 |
-1.48% ↓
|
2021年 | 142,000 |
-2.26% ↓
|
2020年 | 145,278 |
-6.47% ↓
|
2019年 | 155,323 |
-4.46% ↓
|
2018年 | 162,576 |
2.11% ↑
|
2017年 | 159,219 |
38.9% ↑
|
2016年 | 114,629 |
3.55% ↑
|
2015年 | 110,695 |
-23.6% ↓
|
2014年 | 144,885 |
12.42% ↑
|
2013年 | 128,884 |
5.18% ↑
|
2012年 | 122,539 |
4.21% ↑
|
2011年 | 117,585 |
5.78% ↑
|
2010年 | 111,155 |
7.04% ↑
|
2009年 | 103,849 |
4.58% ↑
|
2008年 | 99,303 |
-11.29% ↓
|
2007年 | 111,935 |
-6.23% ↓
|
2006年 | 119,372 |
-0.01% ↓
|
2005年 | 119,384 |
-1.27% ↓
|
2004年 | 120,918 |
-4.29% ↓
|
2003年 | 126,336 |
13.21% ↑
|
2002年 | 111,592 |
2.79% ↑
|
2001年 | 108,565 |
8.77% ↑
|
2000年 | 99,815 |
6.19% ↑
|
1999年 | 94,000 | - |
1998年 | 94,000 |
-2.08% ↓
|
1997年 | 96,000 |
3.23% ↑
|
1996年 | 93,000 |
2.86% ↑
|
1995年 | 90,415 |
22.36% ↑
|
1994年 | 73,891 |
17.45% ↑
|
1993年 | 62,914 |
27.17% ↑
|
1992年 | 49,474 | - |
モルドバ共和国におけるヤギ飼養頭数の推移について、2024年時点で確認可能なデータをもとに分析します。このデータは、国連食糧農業機関(FAO)が発表したもので、モルドバにおける農業や食糧生産の状況を把握する重要な指標の一つとされています。1992年の49,474頭から2018年の162,576頭まで、長期的に見るとヤギの飼養頭数は増加傾向にあります。特に、1995年から2003年にかけてはほぼ毎年増加しており、2003年には126,336頭と、1992年比で約2.5倍の規模に成長しました。
この増加の背景には、モルドバ国内の小規模農業の拡大や、ヤギ乳を活用した乳製品の需要増加があると考えられます。ヤギの飼育は、牛などと比べて養育コストが低く、土地が限られた地域や小規模農家にとって適した選択肢となるため、特に農業が基盤産業として重要なモルドバにおいてはその普及が進んだと言えます。また、2000年代には世界的にも健康志向が高まった影響で、ヤギ乳やその加工品が注目されるようになりました。これが地域市場や輸出への影響も与えた可能性があります。
一方、近年はその成長が鈍化し、2018年以降は減少傾向が続いています。2022年時点では約139,900頭と、4年前のピーク時と比べて約14%の減少を示しています。この現象には複数の要因が考えられます。一つは、都市化の進展と農村部人口の減少です。モルドバはヨーロッパでも人口減少が深刻な国の一つであり、働き手の減少が農業を含む生産活動に影響を及ぼしている可能性があります。また、農業の近代化や効率化が進む中で、コストや収益性を考慮した場合に他の家畜へ移行する農家も見られるかもしれません。
さらに、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、モルドバを含む多くの国において農業生産の流通や市場価格に影響を及ぼしました。国境を越える移動や物流の制限が一時的に輸出や国内供給を停滞させ、農家の生産意欲に影響を与えたことが考えられます。また、自然災害の影響も無視できません。モルドバは気候変動の影響を受けやすい地域であり、乾燥化や異常気象がヤギの飼育に必要な草地や飼料生産に悪影響を与えることが懸念されています。
今後の改善に向けていくつかの提案が可能です。一つは、特に小規模農家を対象とした技術支援の強化です。生産効率を向上させるための研修や、生産過程での持続可能な技術活用を進めることで、生産コストの削減が期待されます。また、製品の市場価値を高めるために、ヤギ乳を活用した付加価値製品の開発と輸出促進も有効でしょう。さらに、農村地域のインフラ整備や住環境改善は、若い世代の離農を防ぎ、農業の継続性を確保する上で重要です。
結論として、モルドバにおけるヤギ飼養頭数は、1992年以降の増加傾向にあったものの、2018年をピークに減少しています。これは農業や人口動態、経済、環境といった多面的な要因によるものです。しかしながら、持続可能な農業を実現するための適切な政策や市場整備により、再び安定的な飼養推移に戻る可能性があります。国際的な協力や地域連携も、この課題解決のために重要な役割を果たすでしょう。