国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ケニアのヤギ飼養頭数は、1961年の約470万頭から2022年には約3452万頭へと大幅に増加しています。データの全体的な推移を見ると、飼養頭数には一時的な減少や変動が見られるものの、長期的には増加傾向があります。特に2007年以降、ヤギ飼養頭数が急激に増加しており、2019年から2022年は3000万頭を超える水準を維持しています。
ケニアのヤギ飼養頭数推移(1961-2022)
年度 | 飼養頭数(頭) |
---|---|
2022年 | 34,529,910 |
2021年 | 32,570,314 |
2020年 | 36,021,177 |
2019年 | 34,998,238 |
2018年 | 26,710,775 |
2017年 | 25,684,489 |
2016年 | 26,745,916 |
2015年 | 25,094,383 |
2014年 | 27,319,842 |
2013年 | 24,637,393 |
2012年 | 22,181,935 |
2011年 | 28,860,700 |
2010年 | 28,174,158 |
2009年 | 27,740,152 |
2008年 | 28,951,800 |
2007年 | 27,927,368 |
2006年 | 10,210,434 |
2005年 | 13,882,605 |
2004年 | 13,390,504 |
2003年 | 11,945,492 |
2002年 | 11,319,430 |
2001年 | 10,804,245 |
2000年 | 10,004,400 |
1999年 | 10,967,320 |
1998年 | 9,674,381 |
1997年 | 10,856,261 |
1996年 | 10,229,985 |
1995年 | 10,396,000 |
1994年 | 10,534,530 |
1993年 | 10,500,000 |
1992年 | 10,300,000 |
1991年 | 9,905,082 |
1990年 | 10,186,090 |
1989年 | 9,800,000 |
1988年 | 9,656,620 |
1987年 | 7,010,100 |
1986年 | 8,131,750 |
1985年 | 7,500,000 |
1984年 | 6,854,390 |
1983年 | 7,775,200 |
1982年 | 7,200,000 |
1981年 | 7,000,000 |
1980年 | 8,000,000 |
1979年 | 8,282,000 |
1978年 | 7,900,000 |
1977年 | 6,000,000 |
1976年 | 4,340,000 |
1975年 | 4,260,900 |
1974年 | 3,900,000 |
1973年 | 4,000,000 |
1972年 | 4,050,000 |
1971年 | 4,150,000 |
1970年 | 4,227,900 |
1969年 | 4,334,000 |
1968年 | 5,000,000 |
1967年 | 5,330,000 |
1966年 | 5,300,000 |
1965年 | 5,300,000 |
1964年 | 5,329,000 |
1963年 | 5,100,000 |
1962年 | 4,923,000 |
1961年 | 4,700,000 |
ケニアはアフリカ東部に位置する農牧業が盛んな国であり、ヤギはその代表的な家畜のひとつです。1961年には470万頭だったヤギの飼養頭数が約60年で3452万頭にまで増加したことは、ケニアの農牧業の発展と食肉や乳製品への需要増加を物語っています。特に2007年以降の著しい増加は注目すべき現象です。この背景には、人口増加に伴う国内需要の拡大、輸出向けの家畜生産の強化、およびヤギの耐乾旱性の高い特性が挙げられます。
飼養頭数推移の詳細を見ると、初期の1961年から1970年代にかけて緩やかな増加が見られた後、1971年から1974年にかけて400万頭を下回る減少が発生しました。この時期の減少は、干ばつや疾病、政策的混乱が原因と考えられています。その後、1977年以降急激な増加があり、1979年には828万頭に達しました。しかし、この増加は再び一時的で、1981年から1984年ごろにかけて減少傾向が見られます。特に1984年の時点では685万頭という低い水準に落ち込みました。
2000年以降、ヤギ飼養の動向は全般的に増加基調となっていますが、2007年以降の急激な飼養頭数の拡大は注視すべき点です。この増加には経済成長や農牧業政策の改善の他、気候変動の影響に伴う牧畜パターンの変化が少なからず影響しています。ケニアは乾燥地帯や半乾燥地帯が広がる国家であり、干ばつ時でも生存可能なヤギ飼育への移行が進んでいます。
一方で、飼養頭数の推移は安定しているわけではありません。近年では2020年に3600万頭を記録したものの、その後2021年には3257万頭に減少するなどの変動が見られます。こうした変動の背後には、干ばつ、自然災害、疫病、そして地政学的リスクが絡んでいます。干ばつが頻発する地域では、飼養可能なヤギの数が一時的に減少する傾向があります。また、疫病の蔓延や近隣地域との資源争奪もヤギ生産に影響する重要な要素です。
未来に向けた課題として、飼養頭数のさらなる増加を実現するには、以下の点に取り組む必要があります。まず、ヤギの餌となる牧草地の管理を持続可能な形で行うことが重要です。砂漠化や土地資源の枯渇を防ぐ取り組みが求められます。また、疫病対策として飼育環境の整備、ワクチンの普及、獣医療サービスへのアクセス向上が不可欠です。併せて、家畜マーケットのインフラ整備や輸出産業の強化も、農牧業の経済的価値を向上させるための主要な政策となります。
以上の対策により、ケニアのヤギ飼養頭数の増加を持続可能な形で進めることが可能です。地球規模での食料需要と気候変動の課題に対応するために、ケニアにおけるヤギの飼育は引き続き重要な役割を果たすと考えられます。国際機関や地域間協力の枠組みを通じて、こうした取り組みを支援することも効果的でしょう。