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アイルランドのヤギ飼養頭数の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、アイルランドにおけるヤギ飼養頭数は、1991年から長期間にわたって減少傾向が続いていましたが、2008年以降は一部回復の動きが見られました。1991年の17,400頭をピークに、2000年には8,100頭まで急減し、その後安定的な変動を見せながら2019年には8,770頭、2022年には9,240頭を数えます。

年度 飼養頭数(頭) 増減率
2022年 9,240
5.36% ↑
2019年 8,770
-6.19% ↓
2018年 9,349
12.84% ↑
2017年 8,285
-16.31% ↓
2016年 9,900
-8.33% ↓
2015年 10,800
25.58% ↑
2014年 8,600
-1.15% ↓
2013年 8,700
-15.53% ↓
2012年 10,300
-9.65% ↓
2011年 11,400
8.57% ↑
2010年 10,500
3.96% ↑
2009年 10,100
13.48% ↑
2008年 8,900
21.92% ↑
2007年 7,300
8.96% ↑
2006年 6,700
-8.22% ↓
2005年 7,300
-2.67% ↓
2004年 7,500
-1.32% ↓
2003年 7,600
-1.3% ↓
2002年 7,700
-1.28% ↓
2001年 7,800
-3.7% ↓
2000年 8,100
-40% ↓
1999年 13,500
-10.6% ↓
1998年 15,100
-0.66% ↓
1997年 15,200
2.01% ↑
1996年 14,900
-4.49% ↓
1995年 15,600
-3.11% ↓
1994年 16,100
-8.52% ↓
1993年 17,600
-1.12% ↓
1992年 17,800
2.3% ↑
1991年 17,400 -
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アイルランドにおけるヤギ飼養頭数は1991年の17,400頭を起点に、長期的な減少傾向が続いてきました。この急激な減少の背景には、農業方式の変化や肉牛・乳牛の飼育拡大、欧州連合(EU)の農業政策の影響があったと考えられます。例えばEUの共通農業政策(CAP)は加盟国の農業構造を強く支配しており、その補助金や市場志向がヤギの飼育規模に影響を与えた可能性があります。

1990年代半ばから2000年初頭にかけて、特に1999年から2000年の間で8,100頭まで減少したことは、家畜業全体におけるリソース分配の再調整、および輸出市場における需要の低迷を反映しているかもしれません。また経済的な観点でも、豚や鶏など他の家畜に比べて収益性が低いことが飼育縮小の一因だと推察されます。

一方で、2008年から2011年には一時的な増加が確認されました。この期間は世界経済危機の影響下にありましたが、ヤギ肉や乳製品が持つヘルシーなイメージが消費者の間で注目され、一部で需要が拡大した可能性があります。特に健康志向や高付加価値商品の成長が、新たな市場機会を生み出したことは見逃せません。

しかし、2013年から再び減少傾向が見られ、9,000頭を下回る水準が続きました。同時期には牛肉や乳製品の輸出市場が好調で、それらにリソースを集中させる農業経営の選択が行われたと考えられます。アイルランドの農業は輸出主導であり、高利益が見込まれる産業に注力するのは合理的な動きといえます。

2022年には9,240頭と、緩やかな増加が見られるものの、依然として1990年代の規模には達していません。この現状は、将来的な課題を浮き彫りにしています。まず生産技術や市場の革新が不可欠であり、付加価値の高い商品(例:オーガニックヤギミルクやチーズ)をめぐるグローバル市場の需要に応える努力が求められるでしょう。また、家畜飼育の温室効果ガス排出量を削減する環境対応技術も重要視されるべきです。

最近の地政学的リスクとしては、ヨーロッパ全体の気候変動や、ウクライナ紛争による飼料価格の変動がヤギ飼育経済へ与える影響も見逃せません。これらのリスクは農家の経済的負担を増やし、ヤギ飼養産業の回復を妨げる要因となる可能性があります。

結論として、アイルランドのヤギ飼養頭数は長年にわたる環境、経済、政策の変化を反映しています。今後、持続可能かつ収益性の高いヤギ産業を確立するには、EUの補助金制度の活用、国内外での消費促進キャンペーン、さらには近隣諸国との協力を深めた研究や技術開発が必要です。

アイルランドの統計データ
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