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ハイチのヤギ飼養頭数推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表したデータによると、ハイチのヤギ飼養頭数は1960年代から安定的に増加傾向を見せてきましたが、特定の年では大幅な増減が観測されました。特に1996年以降の急激な増加、2017年から2018年にかけての急減、そして2022年までの再び増加する動きが注目されています。

年度 飼養頭数(頭)
2022年 1,836,790
2021年 1,743,332
2020年 1,705,493
2019年 1,705,870
2018年 1,498,833
2017年 2,040,613
2016年 2,413,877
2015年 2,197,441
2014年 2,073,767
2013年 1,950,000
2012年 1,950,000
2011年 1,910,000
2010年 1,910,000
2009年 1,910,000
2008年 1,910,000
2007年 1,900,000
2006年 1,900,000
2005年 1,910,000
2004年 1,900,000
2003年 1,943,500
2002年 1,943,000
2001年 1,942,000
2000年 1,941,840
1999年 1,619,000
1998年 1,618,200
1997年 1,444,500
1996年 1,242,000
1995年 1,117,800
1994年 1,115,000
1993年 1,115,000
1992年 1,112,000
1991年 1,110,000
1990年 1,110,000
1989年 1,108,000
1988年 1,105,000
1987年 1,103,000
1986年 1,100,000
1985年 1,098,000
1984年 1,095,000
1983年 1,090,000
1982年 1,080,000
1981年 1,040,000
1980年 1,000,000
1979年 997,365
1978年 945,221
1977年 1,138,976
1976年 1,100,000
1975年 1,100,000
1974年 1,100,000
1973年 1,200,000
1972年 1,166,000
1971年 1,150,000
1970年 1,134,000
1969年 1,118,000
1968年 1,100,000
1967年 1,086,000
1966年 1,070,454
1965年 1,040,000
1964年 1,010,000
1963年 990,000
1962年 970,000
1961年 950,000

ハイチのヤギ飼養頭数の推移を長期間にわたり追跡したデータから、多くの示唆が得られます。1961年におよそ95万頭であったヤギの飼養頭数は、その後安定的に増加を続け、1995年までに約112万頭まで成長しました。しかし1996年からは増加幅が急激に拡大し、2000年には約194万頭と大きな跳躍を見せました。この後は一部の年次で緩やかな減少を見せたものの、総じて200万頭近い規模で推移しました。

特に注目すべき点として、2017年には204万頭余りであった飼養頭数が、2018年には約150万頭と大幅に減少した動きが挙げられます。この急変が示す背景要因については、自然災害の影響が強く考えられます。この時期、ハイチでは干ばつやハリケーンといった気象災害が頻発し、農村部の経済活動に深刻な影響を及ぼしました。また、家畜伝染病の流行や輸入飼料価格の高騰なども考えられる要因の一つとなっています。

2020年以降は再び回復基調に転じ、2022年には約184万頭まで復調してきました。この動向からは、地域や国際的な支援活動やハイチの農村経済復興が家畜頭数の回復に寄与していると考えられます。しかし、全体としては力強い成長とは言い難く、未だ2016年の水準を下回っています。

ヤギはハイチにおいて重要な家畜であり、特に農民の収入源としての役割や食料確保の手段として欠かせない存在です。また、ヤギの適した飼養環境は、土地の荒廃が進むハイチでも管理可能な点で非常に価値があります。そのため、このデータが示す飼養頭数の変動は、ハイチ全体の農業および経済の健康状態を反映しているとも言えます。

この変動を受けて、ハイチが直面する課題にはいくつかのものが考えられます。自然災害への対策は当然のこととして、家畜伝染病の予防や治療の普及、飼料供給網の整備が必要となります。また、特に女性や小規模農家を対象とした家畜飼育技術の普及活動や、地域ごとの農業協同組合の強化なども解決策として挙げられます。さらに、地域レベルでの気候変動対策を考慮した持続可能な農牧業政策も不可欠です。

また、地政学的な背景を考慮すると、ハイチは自然資源不足や政治的不安定性が続く状況にあり、これがヤギ飼養のみならず、全体的な農業生産にも影響を及ぼしています。加えてコロナ禍以降の輸入品価格の上昇も、中小規模の農家の経営を圧迫していると言えます。国際的な支援の枠組みをさらに拡大し、持続的な農牧業基盤の形成を目指すことが急務です。

今後の課題を克服するためには、地元農民が容易にアクセスできる教育プログラムや資金援助の導入が必要です。さらに、国際機関と協力して疫病対策を強化し、地域経済の安定化につながる政策を進めていかなければなりません。このような取り組みを通じて、ハイチが持続可能で安定した農業経済を築いていくことが期待されます。