Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表したデータによると、カナダのヤギ飼養頭数は1961年に12,000頭から始まり、年々増加を見せ、1990年代には約28,000頭、2000年代には30,000頭前後で安定しました。2010年代以降もほぼ一定の数値を維持しており、2022年には30,002頭となっています。50年以上にわたるデータから、1961年から1990年代半ばまでに急速な増加があった一方、近年の飼養頭数は横ばいの傾向を示していることがわかります。
カナダのヤギ飼養頭数推移(1961-2022)
年度 | 飼養頭数(頭) |
---|---|
2022年 | 30,002 |
2021年 | 29,998 |
2020年 | 29,995 |
2019年 | 30,007 |
2018年 | 30,033 |
2017年 | 30,026 |
2016年 | 30,017 |
2015年 | 30,006 |
2014年 | 30,000 |
2013年 | 30,000 |
2012年 | 30,000 |
2011年 | 30,000 |
2010年 | 30,000 |
2009年 | 30,000 |
2008年 | 30,000 |
2007年 | 30,000 |
2006年 | 30,000 |
2005年 | 30,000 |
2004年 | 30,000 |
2003年 | 30,000 |
2002年 | 30,000 |
2001年 | 30,000 |
2000年 | 30,000 |
1999年 | 30,000 |
1998年 | 29,000 |
1997年 | 28,500 |
1996年 | 28,500 |
1995年 | 28,000 |
1994年 | 27,800 |
1993年 | 27,650 |
1992年 | 27,500 |
1991年 | 27,500 |
1990年 | 27,300 |
1989年 | 26,500 |
1988年 | 26,200 |
1987年 | 26,000 |
1986年 | 25,700 |
1985年 | 25,000 |
1984年 | 25,000 |
1983年 | 24,000 |
1982年 | 23,000 |
1981年 | 22,500 |
1980年 | 22,000 |
1979年 | 20,000 |
1978年 | 21,000 |
1977年 | 20,000 |
1976年 | 20,000 |
1975年 | 18,000 |
1974年 | 19,000 |
1973年 | 18,000 |
1972年 | 18,000 |
1971年 | 17,841 |
1970年 | 16,000 |
1969年 | 15,000 |
1968年 | 15,000 |
1967年 | 14,000 |
1966年 | 14,000 |
1965年 | 13,000 |
1964年 | 14,000 |
1963年 | 13,000 |
1962年 | 12,500 |
1961年 | 12,000 |
カナダのヤギ飼養頭数推移を見ていくと、この分野の生産活動が数十年にわたりどのように発展し、変遷してきたのかが明らかになります。1961年に12,000頭であったヤギ飼養頭数は、1970年代から1980年代を通じて徐々に増加し、1984年には25,000頭に到達しました。この成長は、ヤギが乳製品や肉生産において、農家にとって収益性を高める可能性が期待されたことに起因していると考えられます。また、カナダ国内で、ヤギ乳やチーズなどの特産品に対する需要が徐々に認知されてきたことも背景にあるでしょう。
1990年代以降の約30,000頭への穏やかな上昇は、飼養技術の向上や農業機械化がもたらした効率化の影響が考えられます。しかし、2000年以降約20年以上にわたって飼養頭数が30,000頭前後で安定していることは、カナダにおけるこの産業の発展が一定の飽和状態に達したことを示唆しており、この分野での成長余地が限られている可能性があります。
また、2020年以降のデータではわずかな減少(約30,007頭から29,995頭)も記録されており、これは新型コロナウイルスの影響による経済変動が一因と考えられます。パンデミックにより、農業分野でも供給チェーンの混乱や労働力不足が生じ、ヤギ飼養もその影響を受けたと推測されます。その一方で、2022年には30,002頭とわずかに持ち直しており、一定の需要が依然として維持されていることが窺えます。
課題として、飼養頭数の停滞は、ヤギ産業が今後どのように持続可能で収益性の高い形で成長するかが問われる局面に差し掛かっていることを意味します。北米市場全体では、牛乳に代わる健康志向の食品としてヤギ乳製品が注目を集めていることを考えると、カナダ国内での需要拡大や輸出産業としての位置づけを再評価する機会があります。
今後の課題には、効率的な生産体制の強化や、環境負荷の最小化を目指した持続可能な農業技術の導入が挙げられます。具体的には、飼料効率を向上させる新しい技術の普及、ヤギ乳製品の付加価値の向上、および国内外消費者に向けたマーケティングの強化が必要です。また、世界的な農業慣行の変化に対応し、特に地政学的な影響や気候変動のリスクを見据えたプランも重要です。
結論として、カナダのヤギ産業はある程度の安定を維持しているものの、顕著な成長を遂げていないことがわかります。これを克服するためには、輸出機会と国内需要の掘り起こしの両面で戦略を練る必要があります。また、世界情勢の変化や疫病、自然災害への備えとして、地域間協力を強化し、生産拠点の持続可能性を向上させることが、今後の目標となるでしょう。