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ロシア連邦のヤギ飼養頭数推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、2022年時点でロシア連邦のヤギ飼養頭数は1,811,125頭となり、1992年の3,060,200頭と比較すると大幅に減少しています。この30年間の推移を見ても、全体的に減少傾向が続いており、特に1992年から1999年にかけて急激な縮小が見られました。その後、2000年代以降は減少ペースがやや緩やかになったものの、直近でも減少傾向が続いています。

年度 飼養頭数(頭) 増減率
2023年 1,748,200
-3.47% ↓
2022年 1,811,125
-3.38% ↓
2021年 1,874,524
-4.49% ↓
2020年 1,962,609
-1.52% ↓
2019年 1,992,896
-2.39% ↓
2018年 2,041,790
-0.62% ↓
2017年 2,054,454
-5.04% ↓
2016年 2,163,450
2.8% ↑
2015年 2,104,459
0.66% ↑
2014年 2,090,609
-1.33% ↓
2013年 2,118,697
1.32% ↑
2012年 2,091,150
1.58% ↑
2011年 2,058,542
-3.66% ↓
2010年 2,136,651
-1.44% ↓
2009年 2,167,944
-2.03% ↓
2008年 2,212,868
0.74% ↑
2007年 2,196,570
1.52% ↑
2006年 2,163,694
-6.05% ↓
2005年 2,302,999
-3.46% ↓
2004年 2,385,516
1.17% ↑
2003年 2,357,997
1.67% ↑
2002年 2,319,364
3.94% ↑
2001年 2,231,398
3.59% ↑
2000年 2,154,053
0.47% ↑
1999年 2,143,900
-6.43% ↓
1998年 2,291,300
-6.3% ↓
1997年 2,445,400
-8.82% ↓
1996年 2,682,000
-3.29% ↓
1995年 2,773,100
-10.44% ↓
1994年 3,096,500
-2.81% ↓
1993年 3,185,900
4.11% ↑
1992年 3,060,200 -

ロシア連邦におけるヤギ飼養頭数の推移データは、農業生産や牧畜における動向を把握する上で重要な指標となります。このデータを見ると、1992年以降、ヤギ飼養頭数はほぼ一貫して減少を続けています。特に、1992年から1999年にかけての急激な減少は著しく、約32%もの頭数が減少しました。この背景には、1991年のソビエト連邦崩壊に伴う経済的混乱が影響していると考えられます。この時期、農業セクターは拡大から縮小に転じ、民間農家や協同組合経営の基盤も大きく揺らぎました。

2000年代に入ると減少ペースは次第に緩やかになり、2015年頃までは一部で増加も見られる年がありましたが、長期的には減少基調が続いています。2022年の時点で頭数が1,800,000台を割り込んだことは、牧畜業におけるヤギ飼育の重要性が低下しつつある現状を示しています。これは、ロシア農業が大規模穀物生産や乳製品生産へ重点を置き、ヤギに関連する経済的価値が他の家畜と比較して高くないことが原因の一部と推測されます。

国際的に見ても、ヤギ飼養は通常乾燥地帯や山岳地帯など環境が厳しい地域で重要視される傾向があり、インドやアフリカ諸国などは世界有数のヤギ飼養国です。一方で、ロシアの大部分は比較的牧牛や羊の飼育に向いた環境であり、ヤギの飼養が減少する背景には地理的・経済的要因の組み合わせがあると考えられます。

地政学的リスクや新型コロナウイルス感染症のパンデミックもヤギ飼養に影響を与えた要因と考えられます。これらの出来事は国際的な農業貿易や輸送の混乱を引き起こす一方で、ロシア国内においては農業従事者の労働力不足や経済的苦境を悪化させ、さらに減少を加速させた可能性があります。

未来に向けた課題としては、ヤギ由来の製品、特にヤギ乳やチーズ、羊毛などといった付加価値の高い製品の市場を開拓することが挙げられます。ロシア国内の多様な地域における特産品としてのブランド化や、生物多様性を重視した農業政策の推進が有効な対策となるでしょう。また、牧畜の近代化や持続可能な飼育モデルの導入を進め、若年層の農業従事促進も必須課題です。

結論として、ロシア連邦のヤギ飼養頭数の減少は、長期的な経済構造の変化や政策方針の影響を強く受けていると考えられます。これを逆転させるためには、国際市場を意識した付加価値のある製品開発や、牧畜業支援を目的とした政策の強化が必要です。同時に、地域間の協力を促進し国内需要と供給のバランスを支えることが求められます。