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ドイツのヤギ飼養頭数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したドイツのヤギ飼養頭数の最新データによると、1960年代には約80万頭近くあった飼養頭数は、1970年代を通じて急激に減少しました。その後、1980年代から2000年代初頭まで比較的安定または緩やかな増加を見せ、2002年には16万頭に達しました。しかし、2010年代には再び減少基調を見せ、2013年には約13万頭台まで下がるなど変動を示しています。直近の2022年のデータでは約15万9千頭と報告されており、過去10年間での安定的な推移が見られます。

年度 飼養頭数(頭) 増減率
2023年 162,600
2.26% ↑
2022年 159,000
-3.05% ↓
2021年 164,000
1.86% ↑
2020年 161,000
14.18% ↑
2019年 141,000
-3.42% ↓
2018年 146,000
4.29% ↑
2017年 140,000
0.86% ↑
2016年 138,810
26.19% ↑
2015年 110,000
-5.98% ↓
2014年 117,000
-10.14% ↓
2013年 130,200
-19.63% ↓
2012年 162,000
1.25% ↑
2011年 160,000
6.67% ↑
2010年 150,000
-21.05% ↓
2009年 190,000 -
2008年 190,000
5.56% ↑
2007年 180,000
5.88% ↑
2006年 170,000 -
2005年 170,000
3.03% ↑
2004年 165,000
3.13% ↑
2003年 160,000 -
2002年 160,000
14.29% ↑
2001年 140,000
3.7% ↑
2000年 135,000
8% ↑
1999年 125,000
8.7% ↑
1998年 115,000
9.52% ↑
1997年 105,000
5% ↑
1996年 100,000
5.26% ↑
1995年 95,000
3.26% ↑
1994年 92,000
2.22% ↑
1993年 90,000
4.65% ↑
1992年 86,000
-4.44% ↓
1991年 90,000 -
1990年 90,000
26.4% ↑
1989年 71,200
5.79% ↑
1988年 67,300
1.97% ↑
1987年 66,003
-0.86% ↓
1986年 66,574
-1.38% ↓
1985年 67,503
-0.59% ↓
1984年 67,905
17.63% ↑
1983年 57,728
-1.89% ↓
1982年 58,843
-1.17% ↓
1981年 59,538
-2.5% ↓
1980年 61,066
-6.01% ↓
1979年 64,968
-7.29% ↓
1978年 70,075
-12.7% ↓
1977年 80,268
-11.53% ↓
1976年 90,732
-11.68% ↓
1975年 102,731
-11.16% ↓
1974年 115,636
-15.18% ↓
1973年 136,329
-12.85% ↓
1972年 156,437
-15.52% ↓
1971年 185,186
-15.12% ↓
1970年 218,186
-21.8% ↓
1969年 279,000
-14.1% ↓
1968年 324,800
-15.15% ↓
1967年 382,800
-9.67% ↓
1966年 423,800
-15.83% ↓
1965年 503,500
-14.02% ↓
1964年 585,600
-6.02% ↓
1963年 623,100
-15.57% ↓
1962年 738,000
-6.74% ↓
1961年 791,300 -

ドイツにおけるヤギ飼養頭数の長期的な推移を見ると、大きな減少とその後の回復を特徴とした動態が明らかに見て取れます。1961年には約79万1千頭に達していたヤギの飼養頭数は、農業の機械化の進展や都市化の影響により、1970年代には約22万頭と圧倒的な減少傾向を示しました。ヤギの飼育は畜産業の小規模単位で行われることが多く、大規模な経済効率を求める近代農業の潮流に適応しにくかったことが、この減少の一因と考えられます。その後、1980年代に入ると減少は止まり、安定化が進みました。

1990年代以降は、再び飼養頭数の増加が見られるようになります。この増加には複数の背景が考えられます。一つは、エコロジカルな農業手法の推進や持続可能性の観点からヤギ畜産が再注目されたことで、趣味的な小規模農家や有機農業における役割が再評価されたことです。また、ヤギの飼育が提供する製品、例えばチーズやその他の乳製品が、健康志向や高品質の商品を求める消費者に支持されたことも影響しています。この動きは、同様の傾向を欧州の他国でも見ることができます。たとえば、フランスでは高価値のヤギ乳製品の生産が少数派ながらも一定のポジションを占めています。

2020年代に入ると、環境変化や新型コロナウイルス感染症による影響が、飼育環境に新たな課題を与え始めました。2020年から2022年の期間では、全体として飼養頭数は15万9千頭前後に維持されていますが、農畜産業全体での経済的プレッシャーや労働力不足、新規参入者の減少が長期的な課題として挙げられます。

地域的な課題としては、ドイツ国内の都市部と農村部の間でのヤギ関連製品需要の不均衡、国内外での市場競争、また気候変動による牧草地の品質低下のリスクも無視できません。これらの問題点は、さらなる官民連携の取り組みを通じて克服が求められます。

今後の具体的な施策として、まずヤギ畜産を持続可能かつ経済的に魅力的なものにするための政策が必要です。たとえば、小規模農家に対する補助金やマーケティング支援を拡充することで、若年層が新規参入しやすい環境を整えるべきです。また、付加価値の高いヤギ製品のブランド化や輸出促進に注力することで、国内外での競争力を高めることができます。同時に、牧草地の環境改善のための予算配分や、気候変動に対応した耐候性の高い飼育プロセスを広めることも重要です。

ドイツのヤギ産業は、ここ数十年でその規模を縮小させつつも新たな復興の兆しを見せています。その鍵は、農業と消費者、市場全体をつなぐバランスの取れた政策形成にあると考えられます。この取り組みが進むことで、ヤギ飼養頭数のさらなる安定化や、小規模農家の所得向上が期待されます。