シリア・アラブ共和国におけるヤギ飼養頭数は、1961年の約44万頭から2022年の約203万頭へと増加しました。この間、増減を繰り返しながらも全体として上昇傾向を示しています。特に2005年から2011年にかけて増加が顕著で、2010年には約205万頭と急増しています。しかし、2017年以降は減少し、その後やや回復する動きを見せています。
シリア・アラブ共和国のヤギ飼養頭数推移(1961-2022)
年度 | 飼養頭数(頭) |
---|---|
2022年 | 2,028,594 |
2021年 | 1,906,542 |
2020年 | 1,995,923 |
2019年 | 1,844,197 |
2018年 | 1,806,510 |
2017年 | 1,806,720 |
2016年 | 2,286,000 |
2015年 | 2,286,000 |
2014年 | 2,285,778 |
2013年 | 2,294,239 |
2012年 | 2,292,747 |
2011年 | 2,294,000 |
2010年 | 2,057,000 |
2009年 | 1,508,033 |
2008年 | 1,579,000 |
2007年 | 1,561,260 |
2006年 | 1,419,850 |
2005年 | 1,295,725 |
2004年 | 1,130,000 |
2003年 | 1,017,300 |
2002年 | 931,886 |
2001年 | 979,325 |
2000年 | 1,049,539 |
1999年 | 1,045,576 |
1998年 | 1,100,983 |
1997年 | 1,100,405 |
1996年 | 1,081,875 |
1995年 | 1,063,000 |
1994年 | 1,034,946 |
1993年 | 986,000 |
1992年 | 951,200 |
1991年 | 962,943 |
1990年 | 999,677 |
1989年 | 1,011,000 |
1988年 | 1,046,000 |
1987年 | 1,002,200 |
1986年 | 1,006,000 |
1985年 | 1,059,812 |
1984年 | 1,060,000 |
1983年 | 1,157,000 |
1982年 | 1,149,700 |
1981年 | 1,060,435 |
1980年 | 1,025,541 |
1979年 | 999,204 |
1978年 | 1,065,452 |
1977年 | 1,010,000 |
1976年 | 955,800 |
1975年 | 814,017 |
1974年 | 684,239 |
1973年 | 607,925 |
1972年 | 697,079 |
1971年 | 741,100 |
1970年 | 774,013 |
1969年 | 761,103 |
1968年 | 743,346 |
1967年 | 827,000 |
1966年 | 910,000 |
1965年 | 877,000 |
1964年 | 800,000 |
1963年 | 690,000 |
1962年 | 535,000 |
1961年 | 439,000 |
シリア・アラブ共和国においてヤギの飼養は、農牧業を支える重要な要素のひとつです。国際連合食糧農業機関による最新データを基にすると、同国のヤギ飼養頭数は1961年から2022年までの間に約5倍に増加しました。この増加は、農業生産の拡大や中東地域特有の放牧文化の影響を受けていると考えられます。特に2000年代初頭から2010年代初頭にかけての増加は顕著で、2011年には229万4千頭と過去最高値に達しました。経済のグローバル化に伴い、ヤギ乳や肉の生産を目的とした需要の高まりや、輸出市場の影響もこの期間の増加に寄与した可能性があります。
しかし、2017年以降になると飼養頭数が再び減少に転じ、2021年の190万頭を下回りました。この減少の背景には、同国が直面する持続的な紛争状況やそれに伴う経済的・社会的混乱が挙げられます。2010年代初頭から始まったシリア内戦は、農村部のインフラ破壊や住民の流出を招き、農牧業の縮小をもたらしました。また、気候変動の影響で干ばつや水不足が深刻化し、餌の供給や牧草地の維持が困難となったことも減少の一因と考えられます。
一方で、2020年以降はヤギ飼養頭数が徐々に回復傾向を見せています。2022年には203万頭に達し、パンデミックや紛争の影響下にもかかわらず、一定の回復が確認されています。この回復は、国連を含む国際機関による支援プログラムや、地域内での農業再建策が部分的に成功しつつあることを示しているかもしれません。
未来に向けての課題として、気候変動や地域紛争の影響を軽減する取り組みが必要です。具体的には、干ばつへの適応力を高めるための持続可能な水管理や、飼料の安定供給のための支援が挙げられます。また、国際的な協力を通じて、農村コミュニティの復興に向けたインフラ整備や技術指導を行うことが重要です。同時に、地域経済の安定化を図るため、ヤギ乳や肉を価値の高い食品として加工・輸出する産業の発展を支援する政策も検討されるべきです。
さらに地政学的な観点では、安定した輸送ルートの確保や地域市場との結びつきが欠かせません。シリアは中東における戦略的な位置を持つため、近隣諸国との連携が農業生産の向上と貿易拡大にとって鍵となります。これらの取り組みが成功すれば、ヤギ飼養は同国農業の再建にも寄与し、地域住民の生活向上に結びつく可能性があります。
結論として、シリアのヤギ飼養頭数の推移は、同国の社会経済情勢や気候変動の影響を反映しており、困難な状況に直面しつつも回復の兆しを見せています。今後、持続可能な農牧業の基盤を構築し、地域と世界市場の需要をバランスよく取り入れることが、同国の安定した発展に向けた道筋となるでしょう。