国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、ペルーのヤギ飼養頭数は、1960年代初頭においては約390万頭から420万頭程度のピークを迎えましたが、その後大幅な減少が見られました。1970年代には200万頭を下回る水準に低下し、その後は緩やかな増減を繰り返しながら、2022年時点では約176万7千頭となっています。長期的な視点に立つと、飼養頭数には大幅な減少傾向が見られ、特に1970年代の低迷は著しいものがありました。
ペルーのヤギ飼養頭数推移(1961-2022)
年度 | 飼養頭数(頭) |
---|---|
2022年 | 1,767,612 |
2021年 | 1,754,968 |
2020年 | 1,801,257 |
2019年 | 1,807,919 |
2018年 | 1,807,028 |
2017年 | 1,885,990 |
2016年 | 1,864,713 |
2015年 | 1,882,042 |
2014年 | 1,904,873 |
2013年 | 1,928,631 |
2012年 | 1,949,502 |
2011年 | 1,946,117 |
2010年 | 1,968,306 |
2009年 | 1,928,678 |
2008年 | 1,904,124 |
2007年 | 1,925,912 |
2006年 | 1,936,855 |
2005年 | 1,952,956 |
2004年 | 1,971,863 |
2003年 | 1,983,302 |
2002年 | 1,983,128 |
2001年 | 2,017,808 |
2000年 | 2,034,914 |
1999年 | 2,068,260 |
1998年 | 2,019,440 |
1997年 | 2,047,720 |
1996年 | 2,022,930 |
1995年 | 2,043,880 |
1994年 | 1,789,670 |
1993年 | 1,783,100 |
1992年 | 1,776,300 |
1991年 | 1,747,000 |
1990年 | 1,721,700 |
1989年 | 1,771,000 |
1988年 | 1,785,200 |
1987年 | 1,768,900 |
1986年 | 1,732,800 |
1985年 | 1,685,000 |
1984年 | 1,646,400 |
1983年 | 1,650,500 |
1982年 | 1,675,800 |
1981年 | 1,625,900 |
1980年 | 1,699,300 |
1979年 | 1,869,300 |
1978年 | 1,818,300 |
1977年 | 1,892,700 |
1976年 | 2,021,400 |
1975年 | 2,010,800 |
1974年 | 2,011,900 |
1973年 | 1,988,800 |
1972年 | 1,991,500 |
1971年 | 1,945,600 |
1970年 | 1,886,000 |
1969年 | 1,855,200 |
1968年 | 1,821,000 |
1967年 | 1,867,000 |
1966年 | 3,916,000 |
1965年 | 3,959,300 |
1964年 | 3,950,300 |
1963年 | 4,198,800 |
1962年 | 3,950,000 |
1961年 | 3,831,200 |
ペルーのヤギ飼養頭数は、過去数十年にわたり異なる社会経済的・環境的要因によって大きな変動を経験しています。1960年代のペルーでは、農村地域を中心にヤギの飼育が広がり、飼養頭数は390万~420万頭と比較的高い水準に達していました。しかし1967年を境に急激な減少が見られ、1970年代初頭には約180万頭と半減しています。この減少の背後には、干ばつや土地利用の変化、さらには家畜管理の効率性低下といった外的要因が関与していると考えられます。
1980年代から1990年代にかけては、国内需要の変動や輸出の限定的拡大を背景に、ヤギ飼養頭数が穏やかに増加する局面が見られました。ただし、この増加は1960年代のピーク水準には到底及ばず、2000年以降は再び減少傾向が顕著になっています。特に2020年以降のデータでは、COVID-19のパンデミックが農業全体に与えた影響も無視できません。物流の停滞や需給の不均衡により、飼養頭数がさらに縮小した可能性が高いと考えられます。また、気候変動による干ばつや降水量の変化も、ヤギの生育環境に直接的な影響を及ぼしている点は見逃せません。
ヤギの飼養頭数の減少は、ペルーの農村経済および食料供給に影響を与える重要な課題となっています。ヤギはミルクや肉の供給源としてだけでなく、農村部の住民にとっては経済的な保険の役割を果たす重要な家畜です。飼養頭数の減少は、これらの役割の減少を意味し、特に貧しい農村地域における食料安全保障および収入減少のリスクを高める要素となります。
現状を改善し、ヤギ飼養の持続可能性を高めるためには、いくつかの具体的な対策が求められます。一つは、気候変動に強い品種の育成と普及です。特に乾燥地域に適応できる品種の開発は、気候変動の影響を緩和するために不可欠です。また、家畜管理技術や訓練プログラムの拡充も必要です。飼育者に対して、適切な飼料管理や健康管理技術を普及させることで、生産性を高めることが可能です。
さらに、国内外の市場との連携を強化し、ヤギ肉・ヤギミルクの需要喚起や輸出拡大を目指すべきです。日本や韓国、ヨーロッパ諸国では、ヤギ製品に対する需要が徐々に高まっています。これらの市場に焦点を当て、適正な品質基準を満たした製品を供給することで、生産者の収入向上につなげる戦略を検討すべきです。
最終的には、国際的な農業支援プログラムや環境保全策との連携が必要です。FAOや地域協力機関と共同でのプロジェクト実施を通じ、農村経済の持続可能な発展を支える枠組みづくりが求められます。この際には、土壌改良や水資源管理の面でも支援が必要です。
結論として、ペルーにおけるヤギ飼養頭数の減少は、国内の農業や農村経済の弱体化に直結する課題です。この解決には、適応力の高い農業革新と地域および国際的な協力が不可欠です。具体的な政策や技術支援を通じてヤギ飼養の復活を促し、農村経済の再活性化を目指すことが今後の重要な課題となります。