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バヌアツのヤギ飼養頭数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関が発表した最新データによると、バヌアツのヤギの飼養頭数は1961年の8,100頭から増加傾向を見せ、2006年には18,456頭でピークに達しました。しかしそれ以降は減少に転じ、2022年には6,886頭にまで減少しました。このデータは、バヌアツの牧畜産業における課題や、地域的および地政学的な影響がヤギ飼養頭数に及ぼしている可能性を示唆しています。

年度 飼養頭数(頭) 増減率
2023年 5,133
-25.46% ↓
2022年 6,886
-27.39% ↓
2021年 9,484
-14.56% ↓
2020年 11,100
-12.2% ↓
2019年 12,642
-11.98% ↓
2018年 14,363
-7% ↓
2017年 15,444
-5.18% ↓
2016年 16,288
-2.86% ↓
2015年 16,767
-0.85% ↓
2014年 16,910
-0.84% ↓
2013年 17,054
-0.83% ↓
2012年 17,197
-0.83% ↓
2011年 17,341
-0.83% ↓
2010年 17,486
-0.81% ↓
2009年 17,628
-0.79% ↓
2008年 17,769
-0.77% ↓
2007年 17,907
-2.97% ↓
2006年 18,456
8.56% ↑
2005年 17,000
6.25% ↑
2004年 16,000
10.34% ↑
2003年 14,500
11.54% ↑
2002年 13,000
8.33% ↑
2001年 12,000 -
2000年 12,000 -
1999年 12,000 -
1998年 12,000 -
1997年 12,000 -
1996年 12,000 -
1995年 12,000 -
1994年 12,000 -
1993年 12,000 -
1992年 12,000
9.09% ↑
1991年 11,000
2.8% ↑
1990年 10,700
2.88% ↑
1989年 10,400
2.97% ↑
1988年 10,100
-22.31% ↓
1987年 13,000
4.84% ↑
1986年 12,400
5.08% ↑
1985年 11,800
4.42% ↑
1984年 11,300 -
1983年 11,300
1.35% ↑
1982年 11,150
1.36% ↑
1981年 11,000
1.38% ↑
1980年 10,850
1.4% ↑
1979年 10,700
1.42% ↑
1978年 10,550
1.44% ↑
1977年 10,400
1.17% ↑
1976年 10,280
1.28% ↑
1975年 10,150
1.5% ↑
1974年 10,000
2.04% ↑
1973年 9,800
1.34% ↑
1972年 9,670
1.36% ↑
1971年 9,540
1.49% ↑
1970年 9,400
1.4% ↑
1969年 9,270
1.31% ↑
1968年 9,150
2.23% ↑
1967年 8,950
1.7% ↑
1966年 8,800
1.73% ↑
1965年 8,650
1.76% ↑
1964年 8,500
1.8% ↑
1963年 8,350
1.83% ↑
1962年 8,200
1.23% ↑
1961年 8,100 -

バヌアツのヤギ飼養頭数推移データは、同国の農業および牧畜の変化を読み解く重要な指標です。このデータによれば、1961年から2006年まではほぼ一貫した増加傾向が見られ、特に1985年以降には年間数百頭以上の増加が目立ちます。この成長は、農業技術の向上やヤギの肉、乳製品の需要増加に支えられてきたと考えられます。しかし、2006年以降は減少傾向に転じ、特に2020年代に入ってからそのスピードが加速しています。

2006年までの顕著な増加は、バヌアツの経済構造の変化や畜産業の振興政策の効果を表しています。バヌアツは小規模農業が中心の太平洋諸島国のひとつであり、ヤギの肉や乳製品は国内の食料品供給のみならず、経済活動や文化的な需要にも結びついてきました。しかし、2006年を境に減少へと転じた背景には、主に複合的な要因が考えられます。

近年、気候変動の影響による自然災害の多発がバヌアツの農業全般に打撃を与えています。バヌアツは地震やサイクロンなどの自然災害のリスクが高い地域であり、これらが耕作地や牧草地の荒廃を進行させ、飼育環境を悪化させる一因となっています。また、新型コロナウイルスのパンデミックによって、物流が途絶したり経済活動が停滞したことで、農牧業における人材や資材の確保も困難になりました。このような社会的・地政学的リスクは、市場への供給に困難をもたらし、飼育者たちの維持意欲を低下させたと推測されます。

2020年代における急激な飼養頭数の減少は、これらの長期的な課題に加え、特定の疫病の流行や経済基盤の脆弱さも影響している可能性があります。また、国際的な市場で安価な動物製品が流入する一方で、バヌアツ国内での畜産物生産の競争力が低下し、ヤギの飼養が経済的に成立しにくくなった可能性もあります。

この減少傾向を食い止め、安定化させるためには、いくつかの具体的な施策を検討する必要があります。第一に、気候変動に強い農牧業のインフラ整備が重要です。たとえば、耐候性の高い牧草の品種開発や、水資源を効率的に活用する灌漑設備の提供が、牧草地の復興に役立つでしょう。第二に、疫病対策の強化も重要です。定期的な動物検疫や予防接種の普及は、ヤギの健康状態や繁殖率を高める可能性があります。第三に、地域内および国際的な市場での需要を再確認し、ヤギ飼養が経済的に持続可能になる方法を模索する必要があります。これは、ヤギ製品のブランド化や新たな輸出市場の開拓を目指すことで達成できるかもしれません。

また、バヌアツのヤギ飼養頭数減少は、バヌアツ国内だけでなく、同様な課題に直面している太平洋諸島国全体への教訓を提供しています。他国との連携を通じて、影響を受けている国々が情報を共有し合う枠組みを強化することも、持続可能な農業政策を進めるうえで鍵となるでしょう。

結論として、バヌアツのヤギ飼養頭数推移は、単なる数字以上に、気候変動や経済的脆弱性、疫病や物流問題といった多面的な社会課題を反映しています。このデータから学ぶべき点は、農牧業の持続可能性を確保するために、中長期的な視野で包括的な政策を策定する必要があるということです。人々の生活基盤を脅かすこれらの課題に対して、国際的な協力と技術支援は欠かせないものであり、特に小規模国の脆弱性に対する理解と援助が求められる時代であると言えます。