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エクアドルのヤギ飼養頭数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、エクアドルにおけるヤギの飼養頭数は、1961年から一貫して上昇を見せた後、2000年以降、急激な変動がみられます。特に2000年以降の減少は著しく、2014年には20,793頭まで激減しました。その後も安定的な回復を果たせず、2022年には23,789頭と低い水準に留まっています。この推移から、エクアドルにおけるヤギの生産管理や環境変化の影響が大きいと考えられます。

年度 飼養頭数(頭) 増減率
2023年 28,641
20.4% ↑
2022年 23,789
-58.88% ↓
2021年 57,849
310.51% ↑
2020年 14,092
-50.36% ↓
2019年 28,391
30.56% ↑
2018年 21,745
-45.06% ↓
2017年 39,583
8.81% ↑
2016年 36,379
34.23% ↑
2015年 27,102
30.34% ↑
2014年 20,793
-80.01% ↓
2013年 104,027
-4.31% ↓
2012年 108,714
-3.22% ↓
2011年 112,331
-16.68% ↓
2010年 134,825
-14.71% ↓
2009年 158,081
5.66% ↑
2008年 149,606
-12.38% ↓
2007年 170,750
9.16% ↑
2006年 156,420
8.5% ↑
2005年 144,163
6.5% ↑
2004年 135,360
-3.96% ↓
2003年 140,940
-8.89% ↓
2002年 154,697
-43.24% ↓
2001年 272,560
52.81% ↑
2000年 178,367
-35.51% ↓
1999年 276,565
-1.07% ↓
1998年 279,565
-9.61% ↓
1997年 309,300 -
1996年 309,300
4.85% ↑
1995年 295,000
-20.05% ↓
1994年 369,000
6.03% ↑
1993年 348,000
5.45% ↑
1992年 330,000
6.8% ↑
1991年 309,000
-0.51% ↓
1990年 310,590
4.12% ↑
1989年 298,300
9.15% ↑
1988年 273,300
4.35% ↑
1987年 261,900
14.82% ↑
1986年 228,100
-20.44% ↓
1985年 286,710
2.24% ↑
1984年 280,419
2.15% ↑
1983年 274,510
2.2% ↑
1982年 268,601
2.26% ↑
1981年 262,665
2.27% ↑
1980年 256,835
2.16% ↑
1979年 251,400
2.03% ↑
1978年 246,400
2.07% ↑
1977年 241,400
2.72% ↑
1976年 235,000
2.35% ↑
1975年 229,600
3.39% ↑
1974年 222,074
11.04% ↑
1973年 200,000 -
1972年 200,000 -
1971年 200,000
4.71% ↑
1970年 191,000
3.24% ↑
1969年 185,000
0.61% ↑
1968年 183,885
3.31% ↑
1967年 178,000
4.09% ↑
1966年 171,000
3.77% ↑
1965年 164,788
0.21% ↑
1964年 164,450
0.2% ↑
1963年 164,122
3.87% ↑
1962年 158,000
3.95% ↑
1961年 152,000 -

エクアドルのヤギ飼養頭数の変遷を見ると、1961年の152,000頭を起点に、1974年には222,074頭、1985年には286,710頭まで順調な増加を記録しました。この初期の増加は、エクアドルの農村地域での持続可能な食肉および乳製品需要の高まりと、適切な土地利用による家畜飼育の拡大が背景にあると推測されます。しかし、1986年以降、波乱の多い動きが見られます。この間に一度の急激な減少を経て1990年代までには再び増加に転じましたが、2000年代に入るとヤギ飼養の状況が大幅に悪化しました。

2000年には178,367頭だった飼養数が、2010年には134,825頭、さらには2014年には20,793頭へと劇的に下落しました。この急減の理由として、まず貧困層の増加による農村人口の減少が挙げられます。他の原因として、農林地の管理不全や都市化、外部からの低価格畜産物の流入、さらには気候変動による乾燥化の影響が考えられます。また、2014年には飼養頭数が特に顕著に減少しており、これは極度の天候不順や疫病が発生した可能性があります。

その他、地政学的リスクも無視できません。エクアドルはアマゾン地域を含む広大な自然環境を有していますが、これらの地域での土地の過剰開発や資源争奪問題が影響を及ぼす可能性があります。特に農村地域で大規模採掘や森林伐採が進む中、小規模農業が後退し、ヤギの飼養環境が適切に保たれなくなっている可能性があります。

最近のデータを見ると、2021年には57,849頭に増加したものの、2022年には再び23,789頭まで落ち込みました。このような不安定な状況は、依然として根本的な解決策が見つかっていないことを示唆しています。また、新型コロナウイルス感染症の影響で物流が寸断され、農畜産業全般にわたる供給網が混乱をきたしたことも影響の一因となり得ます。

一方で、この急激な減少を課題と捉え、将来的な回復を見込むためには具体的な対策が必要です。例えば、以下のような取り組みが考えられます。

1つ目は、農村部に対する政府や国際機関の支援強化です。具体的には、気候変動に強い飼育技術や改善種の導入が求められるでしょう。ヤギは乾燥した環境に適応しやすい特徴があるため、これらの特性を生かした飼育戦略を見直すことが重要です。

2つ目は、地域間協力や家畜病防疫体制の充実です。疫病の拡大リスクを最小限にする研究開発や防疫措置への投資を進めることが必要となります。同時に、疫病発生時に迅速な対応が可能となるよう国際的な枠組みの強化が欠かせません。

3つ目は、小規模農家を対象に、新しい収益モデルを提示することです。再生可能エネルギーや観光、手工芸など非農業収入源と結びつけてヤギ飼養を支援し、農家の生計を多様化させることが重要です。

結論として、エクアドルのヤギ飼養頭数の推移は、環境・経済・社会構造の変化が複合的に作用していることを示しています。このような問題に直面する中で、国際機関や地域社会が協力して持続可能な農業政策を立案し、実践することが必要です。特に気候変動、土地利用の変化、地域衝突の影響を踏まえた長期的な視野に立つ政策の策定が喫緊の課題と言えるでしょう。