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ギリシャのヤギ飼養頭数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ギリシャのヤギ飼養頭数は1961年の5,064,000頭から2022年の2,960,900頭まで一貫して増減を繰り返しながら、全体的には減少傾向にあります。1980年代後半から1990年代にかけては一時的に5,500,000頭を超える繁栄期が見られる一方で、2010年以降から急激に減少が加速しています。この長期的な変化は、農業構造、経済的要因、地政学的影響など、複数の要因が複合的に絡み合った結果と考えられます。

年度 飼養頭数(頭) 増減率
2023年 2,747,700
-7.2% ↓
2022年 2,960,900
-5.56% ↓
2021年 3,135,100
-0.44% ↓
2020年 3,149,000
-12.04% ↓
2019年 3,580,000
-1.24% ↓
2018年 3,625,000
-9.33% ↓
2017年 3,998,205
0.57% ↑
2016年 3,975,504
-3.7% ↓
2015年 4,128,036
-13.68% ↓
2014年 4,782,003
-2.31% ↓
2013年 4,895,244
-2.29% ↓
2012年 5,009,904
-2.22% ↓
2011年 5,123,833
-2.86% ↓
2010年 5,274,759
1.82% ↑
2009年 5,180,391
-3.09% ↓
2008年 5,345,737
-1.04% ↓
2007年 5,401,865
-0.38% ↓
2006年 5,422,240
-1.58% ↓
2005年 5,509,233
-1.98% ↓
2004年 5,620,778
-0.85% ↓
2003年 5,669,198
0.05% ↑
2002年 5,666,550
0.5% ↑
2001年 5,638,620
0.43% ↑
2000年 5,614,453 -
1999年 5,614,523
0.25% ↑
1998年 5,600,492
0.55% ↑
1997年 5,569,820
0.81% ↑
1996年 5,525,252
1.75% ↑
1995年 5,430,162
0.97% ↑
1994年 5,377,814
0.24% ↑
1993年 5,364,900
0.53% ↑
1992年 5,336,400
0.04% ↑
1991年 5,334,105
-0.26% ↓
1990年 5,347,827
0.17% ↑
1989年 5,338,630
1.07% ↑
1988年 5,282,363
9.68% ↑
1987年 4,816,018
-2.41% ↓
1986年 4,934,760
2.47% ↑
1985年 4,816,018
1.53% ↑
1984年 4,743,548
2.3% ↑
1983年 4,636,904
0.29% ↑
1982年 4,623,425
-2.77% ↓
1981年 4,754,945
4.92% ↑
1980年 4,531,988
0.43% ↑
1979年 4,512,371
0.09% ↑
1978年 4,508,332
-1.25% ↓
1977年 4,565,553
-0.92% ↓
1976年 4,607,719
2.94% ↑
1975年 4,476,063
0.1% ↑
1974年 4,471,707
4.94% ↑
1973年 4,261,315
1.83% ↑
1972年 4,184,703
1.31% ↑
1971年 4,130,411
1.88% ↑
1970年 4,054,359
1.22% ↑
1969年 4,005,309
-0.9% ↓
1968年 4,041,807
2.46% ↑
1967年 3,944,704
1.28% ↑
1966年 3,895,000
-2.38% ↓
1965年 3,990,000
-3.92% ↓
1964年 4,153,000
-5.38% ↓
1963年 4,389,000
-4.65% ↓
1962年 4,603,000
-9.1% ↓
1961年 5,064,000 -

ギリシャは伝統的にヤギの飼養が盛んな国であり、その製品であるチーズやミルクは国内外で広く愛されています。ヤギは一般に過酷な環境でも飼育が可能であることから、ギリシャのような乾燥した地形を持つ国々で特に重要視されてきました。しかし、最新のデータはヤギ飼養頭数の減少が進んでいることを示しています。

1961年の5,064,000頭という数値から1960年代後半には4,000,000頭台まで減少しましたが、その後、1970年代後半から1990年代にかけては安定的あるいは増加傾向が見られ、5,500,000頭近くまで回復しました。この期間の増加は、政策的な農業振興策やチーズ製品への需要拡大が寄与した可能性が考えられます。しかし、2000年以降から緩やかな減少が始まり、2010年代後半からは3,000,000頭台、中でも2022年には2,960,900頭と急激な減少を示しています。

これらの変化には、ギリシャ国内の農業の高度化、都市化の進展、若年層の農業離れ、経済危機、そして気候変動など、幅広い要因が影響を与えています。2000年代初頭にはEUの共同農業政策(CAP)が導入され、多くの小規模農家にとってヤギの飼育を維持することが困難になりました。また、2008年以降のギリシャ経済危機は農業セクターにも影響を与え、家畜の飼育コスト増加と需要低迷を引き起こしました。

さらに、地政学的リスクや国際的な貿易摩擦も背景にあります。たとえば、輸出用乳製品の競争力を高めることが難しくなっている現状では、内需だけでヤギ産業を維持することが困難です。また、気候変動によって牧草地への圧力が高まり、乾燥化や干ばつが飼料コストを押し上げた可能性も指摘されています。

この減少傾向を克服するためには、いくつかの具体的な対策が考えられます。たとえば、小規模農家への補助金の増額や、新たな市場の開拓を進める必要があります。ギリシャ特有の乳製品(例:フェタチーズ)への需要を国際的に高めるマーケティング戦略も効果的でしょう。また、持続可能な農業技術の導入も急務です。これには、効率的な飼料の利用や、気候変動に適応可能な農法の導入が含まれます。さらに、若者の農業参入を促進するための教育プログラムや、地域コミュニティと農村開発へのインセンティブ付与も重要です。

将来的には、EUや国際機関との協力体制を強化することがギリシャにとって非常に有益と考えられます。たとえば、EUのグリーンディール政策に基づく資金調達や、地域間での技術共有を進める枠組みづくりは、ギリシャのヤギ産業の再活性化に大きく貢献するでしょう。

結論として、ギリシャのヤギ飼養頭数の減少は単なる農業問題に留まらず、広範な経済・社会的影響を及ぼす可能性があります。これを放置すれば、地域経済の停滞だけでなく、食文化や伝統的産業への脅威にもつながります。適切な対策と協調した政策を講じることで、持続可能なヤギ飼養と未来の安定を実現することが期待されます。