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中国のヤギ飼養頭数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによれば、中国のヤギ飼養頭数は1961年から2022年にかけて著しい変動を見せてきました。初期段階の5000万頭台から、1990年代に急激な増加を経験し、1996年には約1億5000万頭に達しました。その後は減少傾向に転じ、2022年には1億3200万頭台まで落ち着いています。この長期的な変遷は、中国の経済成長、農業政策、環境問題など複数の要因に密接に関連していると考えられます。

年度 飼養頭数(頭)
2022年 132,242,500
2021年 133,316,400
2020年 133,452,500
2019年 137,231,742
2018年 135,746,862
2017年 138,237,686
2016年 145,075,100
2015年 141,675,200
2014年 136,575,200
2013年 136,575,200
2012年 139,323,000
2011年 140,874,400
2010年 141,950,200
2009年 147,340,400
2008年 143,365,000
2007年 137,680,000
2006年 146,590,000
2005年 151,955,000
2004年 149,679,000
2003年 148,412,000
2002年 145,623,000
2001年 149,456,000
2000年 148,163,000
1999年 141,683,000
1998年 134,801,000
1997年 123,158,000
1996年 149,592,800
1995年 123,083,100
1994年 105,696,000
1993年 97,610,000
1992年 95,355,000
1991年 97,205,000
1990年 96,171,000
1989年 90,046,440
1988年 76,910,000
1987年 67,220,000
1986年 61,674,000
1985年 63,207,008
1984年 68,035,008
1983年 75,220,000
1982年 78,260,000
1981年 80,684,000
1980年 80,574,000
1979年 73,540,000
1978年 67,824,000
1977年 65,465,008
1976年 68,040,000
1975年 66,170,000
1974年 64,100,000
1973年 61,340,000
1972年 62,780,000
1971年 61,410,000
1970年 60,500,000
1969年 62,000,000
1968年 62,000,000
1967年 60,300,000
1966年 60,765,008
1965年 62,240,000
1964年 67,730,000
1963年 70,530,000
1962年 63,120,000
1961年 51,170,000

中国のヤギ飼養頭数データを見ると、20世紀中頃から21世紀にかけて顕著な増減を繰り返していることがわかります。1961年には約5100万頭という控えめな水準でしたが、その後、一部の年で増減を繰り返しながら1970年代後半に増加傾向を見せ、1980年代末には約9000万頭を超える規模に至りました。そして1990年代には急速な成長が観察され、1996年には約1億5000万頭に達しました。しかし、このピークを境に大規模な減少が始まり、21世紀初頭には頭数が再び減少方向へ転じ、2022年には1億3200万頭台にまで減少しました。

この背景には、いくつかの重要な要因があります。1970年代から1990年代にかけて、中国は経済成長を進める中で農業部門も大幅に拡大しました。ヤギは肉、乳、羊毛など多用途に利用される家畜であり、中国における農村地域の収入源として、その飼育が奨励されてきました。一方、1990年代後半以降になると急速な都市化が進展し、農村から都市への人口移動や土地利用の変化が家畜飼育業に影響を及ぼしました。この時期には、ヤギ、羊など草食家畜を取り巻く環境問題が国際的にも叫ばれ、中国政府も森林保全や草原地帯保護に力を入れ始めました。その結果、過剰放牧による土地の劣化を防ぐために家畜の頭数制限がかけられるようになり、これは特にヤギ飼養において顕著に見られる政策の影響です。

また、2000年代以降、環境負荷を考慮した農業政策や気候変動の影響も飼養頭数の減少を後押しする要因となっています。例えば、降水量の変化や異常気象が草原資源に悪影響を与えたほか、新型コロナウイルス感染症の拡大も、家畜製品の需要低下や物流の混乱を通して間接的に影響を与えた可能性があります。

このような変遷を踏まえると、ヤギ飼養における最大の課題は、持続可能性と収益性の両立にあります。中国は大規模な農業国でありながら、急激な都市化と環境への配慮が求められています。ヤギ飼育の規模縮小は避けがたいとしても、地域の小規模農家が経済的に影響を受けないようにするための支援策が必要です。草原資源に依存する放牧の管理をさらに強化し、持続可能な形での牧草地回復プロジェクトやエコ牧畜への転換を推進することが考えられます。

また、中国は国際的なフードサプライチェーンにおいて重要な地位を占めています。そのため、ヤギ肉や乳製品の付加価値を高めた輸出志向型産業を育成することも有効です。技術的には、飼養環境の改善や新種のヤギの品種改良、生産効率を高める栄養戦略を採用することが推奨されます。また、国際社会との協力を通じて、気候変動や経済成長と調和した畜産業のモデルを構築することが長期的な目標になるでしょう。

結論として、中国のヤギ飼養頭数は過去数十年にわたって大きな変動を見ましたが、近年の減少傾向は持続可能な農業と環境保護の視点から考えれば避けられない潮流です。この中で重要なのは、環境への影響を最小限にしつつ、農村経済の安定を支えるための政策をいかに充実させられるかという点です。中国政府だけでなく、国際社会全体でも、これらのテーマに取り組むことが求められています。