世界のヤギ飼養頭数ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した2014年の世界ヤギ飼養頭数データによると、中国が1億3,657万5,200頭のヤギを飼養しており、世界第1位となっています。次いでインドが1億3,300万頭、ナイジェリアが7,195万8,213頭、パキスタンが6,661万5,000頭、バングラデシュが5,590万頭と続き、これら上位5か国だけで全世界のヤギ飼養頭数の大半を占めています。一方、先進国を含む多くの欧米諸国では、ヤギの飼養頭数が著しく低水準で、例えば、日本は1万7,000頭で世界150位となっています。

順位	国名	地域	飼養頭数(頭)
1	中国	アジア	136,575,200
2	インド	アジア	133,000,000
3	ナイジェリア	アフリカ	71,958,213
4	パキスタン	アジア	66,615,000
5	バングラデシュ	アジア	55,900,000
6	スーダン	アフリカ	31,029,000
7	エチオピア	アフリカ	29,112,963
8	チャド	アフリカ	28,743,000
9	ケニア	アフリカ	27,319,842
10	モンゴル	アジア	22,008,896
11	イラン（イスラム共和国）	アジア	20,407,600
12	マリ	アフリカ	19,126,805
13	インドネシア	アジア	18,639,533
14	タンザニア連合共和国	アフリカ	16,700,000
15	ニジェール	アフリカ	14,883,559
16	ウガンダ	アフリカ	14,011,000
17	ブルキナファソ	アフリカ	13,891,000
18	南スーダン	アフリカ	13,550,000
19	ソマリア	アフリカ	11,600,000
20	ネパール	アジア	10,177,531
21	イエメン	アジア	9,379,831
22	トルコ	アジア	9,225,548
23	ブラジル	南アメリカ	8,851,879
24	メキシコ	南アメリカ	8,687,814
25	モーリタニア	アフリカ	7,080,000
26	アフガニスタン	アジア	7,059,000
27	カメルーン	アフリカ	6,275,355
28	モロッコ	アフリカ	6,147,225
29	ガーナ	アフリカ	6,044,000
30	南アフリカ	アフリカ	5,971,202
31	マラウイ	アフリカ	5,882,106
32	中央アフリカ共和国	アフリカ	5,800,000
33	ミャンマー	アジア	5,615,439
34	セネガル	アフリカ	5,381,312
35	アルジェリア	アフリカ	5,129,839
36	モザンビーク	アフリカ	4,783,000
37	ギリシャ	ヨーロッパ	4,782,003
38	アルゼンチン	南アメリカ	4,400,000
39	アンゴラ	アフリカ	4,277,150
40	ジンバブエ	アフリカ	4,243,102
41	エジプト	アフリカ	4,185,761
42	コンゴ民主共和国	アフリカ	4,082,627
43	フィリピン	アジア	3,695,627
44	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	3,665,000
45	オーストラリア	オセアニア	3,570,000
46	サウジアラビア	アジア	3,563,017
47	ウズベキスタン	アジア	3,161,300
48	トーゴ	アフリカ	2,946,395
49	トルクメニスタン	アジア	2,879,496
50	スペイン	ヨーロッパ	2,704,250
51	アメリカ合衆国	北アメリカ	2,611,000
52	ザンビア	アフリカ	2,600,000
53	リビア	アフリカ	2,580,000
54	ルワンダ	アフリカ	2,532,000
55	ギニア	アフリカ	2,503,900
56	ブルンジ	アフリカ	2,416,491
57	カザフスタン	アジア	2,362,824
58	シリア・アラブ共和国	アジア	2,285,778
59	アラブ首長国連邦	アジア	2,182,082
60	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	2,156,812
61	オマーン	アジア	2,126,910
62	ロシア連邦	ヨーロッパ	2,090,609
63	ハイチ	南アメリカ	2,073,767
64	ペルー	南アメリカ	1,904,873
65	タジキスタン	アジア	1,829,652
66	エリトリア	アフリカ	1,825,000
67	ベナン	アフリカ	1,755,000
68	ナミビア	アフリカ	1,618,204
69	ボツワナ	アフリカ	1,605,642
70	ベトナム	アジア	1,600,275
71	マダガスカル	アフリカ	1,473,000
72	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	1,432,899
73	コートジボワール	アフリカ	1,400,000
74	ルーマニア	ヨーロッパ	1,312,967
75	フランス	ヨーロッパ	1,284,667
76	チュニジア	アフリカ	1,248,200
77	イラク	アジア	1,216,898
78	コロンビア	南アメリカ	1,038,058
79	イタリア	ヨーロッパ	937,029
80	キルギスタン	アジア	910,246
81	アルバニア	ヨーロッパ	904,214
82	シエラレオネ	アフリカ	900,000
83	ヨルダン	アジア	857,729
84	レソト	アフリカ	824,698
85	ギニアビサウ	アフリカ	750,000
86	アゼルバイジャン	アジア	658,107
87	キューバ	南アメリカ	608,709
88	レバノン	アジア	550,000
89	ジャマイカ	南アメリカ	520,000
90	ジブチ	アフリカ	515,000
91	ウクライナ	ヨーロッパ	482,600
92	ラオス人民民主共和国	アジア	481,000
93	チリ	南アメリカ	450,000
94	タイ	アジア	447,546
95	オランダ	ヨーロッパ	441,000
96	マレーシア	アジア	429,439
97	ポルトガル	ヨーロッパ	382,000
98	ガンビア	アフリカ	359,835
99	リベリア	アフリカ	345,000
100	コンゴ	アフリカ	325,000
101	スリランカ	アジア	299,050
102	ブルガリア	ヨーロッパ	289,308
103	エスワティニ	アフリカ	270,000
104	カタール	アジア	267,202
105	フィジー	オセアニア	252,000
106	大韓民国	アジア	250,729
107	キプロス	アジア	240,000
108	ドミニカ共和国	南アメリカ	236,000
109	セルビア	ヨーロッパ	218,603
110	パレスチナ国	アジア	210,000
111	カーボベルデ	アフリカ	195,195
112	東ティモール	アジア	178,581
113	中国、台湾 中国省	アジア	160,850
114	イスラエル	アジア	154,740
115	クウェート	アジア	153,391
116	モルドバ共和国	ヨーロッパ	144,885
117	パラグアイ	南アメリカ	143,657
118	コモロ	アフリカ	122,000
119	ドイツ	ヨーロッパ	117,000
120	グアテマラ	南アメリカ	111,900
121	ガボン	アフリカ	110,000
122	イギリス	ヨーロッパ	100,000
123	ニュージーランド	オセアニア	97,370
124	スイス	ヨーロッパ	87,817
125	ガイアナ	南アメリカ	82,100
126	ポーランド	ヨーロッパ	81,727
127	北マケドニア	ヨーロッパ	81,345
128	コスタリカ	南アメリカ	80,000
129	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	74,000
130	ハンガリー	ヨーロッパ	73,000
131	オーストリア	ヨーロッパ	72,068
132	ベラルーシ	ヨーロッパ	68,000
133	ノルウェー	ヨーロッパ	64,361
134	グルジア	アジア	60,800
135	クロアチア	ヨーロッパ	60,697
136	ブータン	アジア	48,864
137	ベルギー	ヨーロッパ	38,000
138	スロバキア	ヨーロッパ	35,457
139	モンテネグロ	ヨーロッパ	32,997
140	アルメニア	アジア	30,500
141	カナダ	北アメリカ	30,000
142	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	27,000
143	モーリシャス	アフリカ	26,558
144	ホンジュラス	南アメリカ	25,000
145	チェコ	ヨーロッパ	24,348
146	スロベニア	ヨーロッパ	21,240
147	エクアドル	南アメリカ	20,793
148	バーレーン	アジア	18,500
149	ウルグアイ	南アメリカ	17,400
150	日本	アジア	17,000
151	バヌアツ	オセアニア	16,910
152	フランス領ポリネシア	オセアニア	16,500
153	セントルシア	南アメリカ	15,704
154	エルサルバドル	南アメリカ	15,150
155	バハマ	南アメリカ	15,000
156	リトアニア	ヨーロッパ	13,832
157	トンガ	オセアニア	13,500
158	ラトビア	ヨーロッパ	12,600
159	ドミニカ	南アメリカ	9,700
160	赤道ギニア	アフリカ	9,500
161	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	9,420
162	アイルランド	ヨーロッパ	8,600
163	パナマ	南アメリカ	8,455
164	ニカラグア	南アメリカ	7,450
165	グレナダ	南アメリカ	7,200
166	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	6,854
167	ブルネイ ダルサラーム	アジア	6,769
168	サントメ・プリンシペ	アフリカ	5,700
169	セーシェル	アフリカ	5,500
170	バルバドス	南アメリカ	5,400
171	エストニア	ヨーロッパ	5,000
172	マルタ	ヨーロッパ	4,627
173	ミクロネシア連邦	オセアニア	4,500
174	プエルトリコ	南アメリカ	4,418
175	フィンランド	ヨーロッパ	4,364
176	ルクセンブルク	ヨーロッパ	4,322
177	スリナム	南アメリカ	4,058
178	セントクリストファー・ネイビス	南アメリカ	4,000
179	パプアニューギニア	オセアニア	3,000
180	ニューカレドニア	オセアニア	2,488
181	クック諸島	オセアニア	1,010
182	アイスランド	ヨーロッパ	981
183	中国、香港特別行政区	アジア	680
184	シンガポール	アジア	670
185	ベリーズ	南アメリカ	180
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このデータは、世界におけるヤギの飼養状況を反映しており、地域差や畜産業の特徴、さらには食文化や生活環境の多様性が如実に表れています。ヤギは、人間の暮らしを支える重要な家畜として、特に肉・乳・皮革の供給源として利用されており、農村部をはじめとする多くの国々で生計の基盤を形成しています。

上位5か国に注目すると、中国、インド、ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュはいずれも人口が多く、農村部の割合が高い国々です。これらの国では、ヤギは持続可能な食料供給の重要な部分を担っており、乾燥地や半乾燥地など環境の厳しい地域に適応して飼育可能な点で、非常に重宝されています。例えば、中国西部の乾燥地域ではヤギの飼育が盛んであり、食料だけでなく経済活動の一部として利用されています。同様の傾向はインド、ナイジェリア、パキスタンにも見られるため、これらの国々が上位を占めていることには地理的・経済的合理性があります。

一方、アフリカを含む経済発展途上地域では、ヤギ飼養が生計向上の鍵として注目されています。しかし、アフリカ諸国では、特に乾燥地帯や半乾燥地帯での飼育環境が悪化していることが課題です。気候変動による干ばつなどが飼料供給を困難にし、農業収穫の不安定さがヤギの飼養に直接影響を与えています。このため、特にナイジェリアやエチオピアなどでは、効率的な牧草管理や水資源の確保、家畜の疾病管理が急務となっています。

一方で、先進国に目を向けると、ヨーロッパや北アメリカの大多数の国々ではヤギ飼養頭数が極めて少なく、日本も当例に漏れず世界150位という低い位置にあります。この背景には、主に肉や乳製品の供給源が他の家畜（牛や豚など）に大きく依存していることや、ヤギ製品の需要が限られていることが挙げられます。しかし、近年のヘルシー志向の食文化や、環境負荷の少ない食品生産への関心の高まりに伴い、ヤギの乳製品や肉製品に対する需要が増加傾向にあります。この流れを受けて、一部の先進国では、ヤギを地域資源として活用する取り組みが拡大しています。

これらの課題に対する具体的な対策としては、まず、発展途上国では、持続可能な農業技術の普及が重要です。具体的には、気候変動に強い飼料作物の研究と普及、伝統的な牧場管理技術の改善、ならびに家畜の健康管理に関する制度構築が挙げられるでしょう。また、国際的な援助機関による地域支援が不可欠であり、地元コミュニティの経済的自立を促す仕組み作りが求められます。

先進国では、ヤギ産業に関連した市場開拓と消費者教育が鍵となります。例えば、チーズやヨーグルトを含むヤギ乳製品の低脂肪・高栄養価を訴求するキャンペーンを行うことで、新しい市場の創出が期待されます。また、小規模な養殖から地域活性化につなげる新しいビジネスモデルの開発も効果的です。

地政学的背景においても、ヤギ生産を巡る問題は考慮すべきです。特に紛争や政治的不安定が続く地域では、家畜も被害を受け、農村経済が疲弊しています。たとえば、スーダンや南スーダンなどの地域では内戦が続き、ヤギの飼養が困難な状況が報告されています。こうした影響を軽減するには、平和構築プロセスにおいて適切な農業資源管理が組み込まれるべきです。

結論として、ヤギの飼養は世界の多様な場面で重要な役割を果たしており、その持続可能性を確保することが農村経済、食料安全保障、地球環境への貢献に直結します。国際社会は技術支援、政策協調、資金援助を通じて、途上国だけでなく先進国におけるヤギ産業の発展を促進し、新たな機会を創出すべきです。