世界のヤギ飼養頭数ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

Food and Agriculture Organization（国際連合食糧農業機関）のデータによると、2004年度における世界のヤギ飼養頭数ランキングの1位は中国（1億4,967万9,000頭）、2位はインド（1億2,821万3,000頭）、3位はパキスタン（5,467万9,000頭）でした。これら上位3か国で、世界全体のヤギ飼養頭数の大部分を占めており、特にアジアとアフリカ地域が主要な産業地域として中心的な役割を果たしていることが明らかです。一方で日本は148位（20,000頭）と比較的少ない飼養数となっています。

順位	国名	地域	飼養頭数(頭)
1	中国	アジア	149,679,000
2	インド	アジア	128,213,000
3	パキスタン	アジア	54,679,000
4	ナイジェリア	アフリカ	48,700,000
5	バングラデシュ	アジア	40,100,000
6	イラン（イスラム共和国）	アジア	25,756,000
7	チャド	アフリカ	15,780,000
8	エチオピア	アフリカ	14,850,646
9	ソマリア	アフリカ	13,800,000
10	ケニア	アフリカ	13,390,504
11	インドネシア	アジア	12,780,961
12	タンザニア連合共和国	アフリカ	12,600,000
13	マリ	アフリカ	11,970,209
14	ニジェール	アフリカ	10,806,028
15	モンゴル	アジア	10,652,900
16	ブルキナファソ	アフリカ	10,336,735
17	ブラジル	南アメリカ	10,046,888
18	メキシコ	南アメリカ	8,852,564
19	イエメン	アジア	7,785,212
20	アフガニスタン	アジア	7,648,000
21	ウガンダ	アフリカ	7,566,000
22	ネパール	アジア	6,979,875
23	トルコ	アジア	6,771,675
24	南アフリカ	アフリカ	6,372,000
25	フィリピン	アジア	6,365,000
26	サウジアラビア	アジア	5,654,000
27	ギリシャ	ヨーロッパ	5,620,778
28	モーリタニア	アフリカ	5,600,000
29	モロッコ	アフリカ	5,358,600
30	モザンビーク	アフリカ	4,838,451
31	カメルーン	アフリカ	4,400,000
32	アルゼンチン	南アメリカ	4,200,000
33	セネガル	アフリカ	4,024,922
34	コンゴ民主共和国	アフリカ	4,015,901
35	ガーナ	アフリカ	3,925,000
36	エジプト	アフリカ	3,879,000
37	アルジェリア	アフリカ	3,450,580
38	中央アフリカ共和国	アフリカ	3,200,000
39	ジンバブエ	アフリカ	3,105,000
40	アンゴラ	アフリカ	3,100,000
41	オーストラリア	オセアニア	2,840,000
42	スペイン	ヨーロッパ	2,833,221
43	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	2,736,000
44	アメリカ合衆国	北アメリカ	2,525,000
45	ロシア連邦	ヨーロッパ	2,385,516
46	リビア	アフリカ	2,100,000
47	ナミビア	アフリカ	1,997,172
48	ペルー	南アメリカ	1,971,863
49	マラウイ	アフリカ	1,922,264
50	ハイチ	南アメリカ	1,900,000
51	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	1,871,738
52	ザンビア	アフリカ	1,850,000
53	エリトリア	アフリカ	1,850,000
54	カザフスタン	アジア	1,827,000
55	ミャンマー	アジア	1,710,631
56	ボツワナ	アフリカ	1,600,000
57	トルクメニスタン	アジア	1,500,000
58	アラブ首長国連邦	アジア	1,500,000
59	ウズベキスタン	アジア	1,421,200
60	チュニジア	アフリカ	1,411,550
61	マダガスカル	アフリカ	1,397,450
62	トーゴ	アフリカ	1,391,250
63	ベナン	アフリカ	1,346,000
64	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	1,310,794
65	ギニア	アフリカ	1,307,834
66	ルワンダ	アフリカ	1,263,960
67	フランス	ヨーロッパ	1,212,570
68	コートジボワール	アフリカ	1,184,077
69	シリア・アラブ共和国	アジア	1,130,000
70	ブルンジ	アフリカ	1,108,952
71	コロンビア	南アメリカ	1,107,000
72	オマーン	アジア	1,059,000
73	キューバ	南アメリカ	1,046,625
74	ベトナム	アジア	1,020,196
75	ウクライナ	ヨーロッパ	965,400
76	イタリア	ヨーロッパ	960,994
77	アルバニア	ヨーロッパ	944,000
78	タジキスタン	アジア	919,800
79	キルギスタン	アジア	769,548
80	ブルガリア	ヨーロッパ	725,308
81	チリ	南アメリカ	725,000
82	ルーマニア	ヨーロッパ	678,000
83	レソト	アフリカ	613,235
84	アゼルバイジャン	アジア	604,112
85	イラク	アジア	549,000
86	大韓民国	アジア	526,512
87	ジブチ	アフリカ	512,000
88	ヨルダン	アジア	501,120
89	ポルトガル	ヨーロッパ	470,000
90	ジャマイカ	南アメリカ	440,000
91	レバノン	アジア	432,158
92	スリランカ	アジア	405,390
93	パレスチナ国	アジア	398,821
94	キプロス	アジア	377,977
95	ギニアビサウ	アフリカ	330,000
96	フィジー	オセアニア	310,000
97	コンゴ	アフリカ	294,200
98	オランダ	ヨーロッパ	290,000
99	ガンビア	アフリカ	287,000
100	エスワティニ	アフリカ	274,000
101	シエラレオネ	アフリカ	265,317
102	マレーシア	アジア	264,394
103	タイ	アジア	250,076
104	中国、台湾 中国省	アジア	249,362
105	ドミニカ共和国	南アメリカ	220,500
106	リベリア	アフリカ	220,000
107	ポーランド	ヨーロッパ	175,759
108	ラオス人民民主共和国	アジア	170,600
109	ドイツ	ヨーロッパ	165,000
110	パラグアイ	南アメリカ	159,469
111	カーボベルデ	アフリカ	148,094
112	カタール	アジア	146,485
113	クウェート	アジア	141,662
114	ニュージーランド	オセアニア	141,206
115	エクアドル	南アメリカ	135,360
116	東ティモール	アジア	126,977
117	クロアチア	ヨーロッパ	126,060
118	モルドバ共和国	ヨーロッパ	120,918
119	コモロ	アフリカ	115,000
120	グアテマラ	南アメリカ	109,700
121	グルジア	アジア	93,400
122	ガボン	アフリカ	90,000
123	イギリス	ヨーロッパ	89,000
124	ハンガリー	ヨーロッパ	85,200
125	ガイアナ	南アメリカ	79,000
126	スイス	ヨーロッパ	75,892
127	イスラエル	アジア	75,000
128	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	72,452
129	ノルウェー	ヨーロッパ	71,843
130	コスタリカ	南アメリカ	65,000
131	ベラルーシ	ヨーロッパ	63,100
132	北マケドニア	ヨーロッパ	62,000
133	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	59,000
134	オーストリア	ヨーロッパ	54,607
135	アルメニア	アジア	48,297
136	グアドループ	南アメリカ	47,860
137	モーリシャス	アフリカ	40,000
138	スロバキア	ヨーロッパ	39,225
139	レユニオン	アフリカ	36,153
140	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	36,000
141	カナダ	北アメリカ	30,000
142	リトアニア	ヨーロッパ	27,205
143	ベルギー	ヨーロッパ	25,478
144	バーレーン	アジア	25,000
145	ホンジュラス	南アメリカ	24,446
146	ブータン	アジア	23,850
147	スロベニア	ヨーロッパ	23,291
148	日本	アジア	20,000
149	フランス領ポリネシア	オセアニア	16,500
150	バヌアツ	オセアニア	16,000
151	ウルグアイ	南アメリカ	16,000
152	エルサルバドル	南アメリカ	15,100
153	ラトビア	ヨーロッパ	15,000
154	バハマ	南アメリカ	14,500
155	セントクリストファー・ネイビス	南アメリカ	14,400
156	マルティニーク	南アメリカ	13,500
157	トンガ	オセアニア	12,500
158	チェコ	ヨーロッパ	11,912
159	セントルシア	南アメリカ	9,800
160	ドミニカ	南アメリカ	9,700
161	赤道ギニア	アフリカ	9,000
162	ニューカレドニア	オセアニア	8,100
163	アイルランド	ヨーロッパ	7,500
164	フィンランド	ヨーロッパ	7,300
165	グレナダ	南アメリカ	7,200
166	ニカラグア	南アメリカ	7,000
167	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	7,000
168	パナマ	南アメリカ	6,645
169	スリナム	南アメリカ	6,428
170	マルタ	ヨーロッパ	5,374
171	セーシェル	アフリカ	5,200
172	バルバドス	南アメリカ	5,100
173	サントメ・プリンシペ	アフリカ	5,000
174	ミクロネシア連邦	オセアニア	4,000
175	エストニア	ヨーロッパ	3,500
176	パプアニューギニア	オセアニア	3,000
177	プエルトリコ	南アメリカ	2,931
178	ブルネイ ダルサラーム	アジア	2,353
179	ルクセンブルク	ヨーロッパ	2,010
180	フランス領ギアナ	南アメリカ	1,308
181	クック諸島	オセアニア	1,000
182	シンガポール	アジア	600
183	中国、香港特別行政区	アジア	500
184	アイスランド	ヨーロッパ	395
185	ベリーズ	南アメリカ	165
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2004年度のデータを分析すると、ヤギ飼養頭数が多い国々として、中国、インド、パキスタンが際立った存在感を示しています。この3か国は、それぞれ国内の広大な農村地域や放牧に適した地形に加えて、伝統的にヤギを家畜として利用する文化を持っており、食肉、乳製品、皮革などの産業の基盤としても重要なリソースとなっています。特に中国とインドは人口も多く、農村部での生計を支える手段としてもヤギが重宝されています。一方で、上位流域にはナイジェリア、バングラデシュ、イランなどアジアおよびアフリカ諸国が並び、これらの国々でも農業と畜産業が経済の中心的な役割を果たしている現状が浮かび上がります。

アフリカ大陸に目を向けると、ナイジェリアやチャド、エチオピアなどが上位に入り、気候条件や土地資源の活用により、ヤギの飼育が地域社会を支える側面を果たしていることが見て取れます。この地域では飢餓や貧困が課題であり、ヤギは家庭単位での貴重な資産であると同時に、食料セキュリティ（食糧供給が安定している状態）の確保にも役立っています。特に、気候変動が農産物生産に与えるリスクが増す中で、乾燥地帯への適応性が高いヤギは、持続可能な農業を支える一助となっています。

反対に、ヨーロッパや北米の国々におけるヤギ飼養頭数は比較的少なく、ランキング下位のものが多い状況です。たとえば、アメリカ合衆国では2,525,000頭で44位、ドイツでは165,000頭で109位、イギリスは89,000頭で123位に位置しています。これらの国では、家畜業の主軸が牛や豚に偏っていることや、大規模な工業化農業が主流となっている影響が考えられます。比較的小規模な市場であるヤギ関連商品は、主に嗜好品やエスニック食文化向けに限られていることもこの規模感に影響を与えているでしょう。

日本は20,000頭で148位に位置しています。国内ではヤギの利用は限られており、地域ごとに牧場などで一定の需要があるものの、産業規模としては非常に小さいことがわかります。日本の気候や土地環境は広範な放牧地には向かない場合が多いため、飼養規模が制約を受けています。ただし、日本では近年、農地の有効利用や教育機関での学習用家畜、または雑草の管理を目的としたヤギの飼育が注目されることも増えつつあります。そのため、これらの活用方法に焦点を当てることで、小規模ながら応用範囲の拡大が期待されます。

一方で、このランキングデータは地政学的重要性についても示唆を与えるものです。特にアフリカの多くの地域や中東において、政治的不安定や地政学的リスクの影響は畜産業にも影を落とします。例として、ソマリアやアフガニスタンのような紛争地帯では、放牧地の確保が難しくなることでヤギ飼育を含む畜産業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動による干ばつなどの自然災害も、ヤギの繁殖や健康に直接的な影響を与えるリスクとなっています。この問題に直面するためには、国際的な協力を通じた技術支援や、地域主導型の環境適応戦略が必要です。

未来への課題として、ヤギ畜産の持続可能性と市場の多様化が挙げられます。特にアジアやアフリカ諸国では、増加する需要に対応する形で適切な管理方法や家畜衛生の改善が求められます。伝染病の発生を抑えるための包括的な予防策の策定や、放牧地の過剰利用を防ぐ土地利用規制の導入が考えられるでしょう。また、輸出市場の開拓や、品質の向上を目的とした技術革新も協力が期待されます。

結論として、このランキングは単なる動物飼養の数値にとどまらず、各地域の経済や暮らし、農業構造の特色を反映した指標でもあります。今後、特に農業畜産分野での国際的な援助やテクノロジー確立の支援、日本国内での利活用の拡大によって、ヤギ畜産が持続可能な形で発展していくための基盤が強化されることが期待されます。