国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点での最新データによると、2022年度の世界バナナ生産量ランキングでは、1位はインド(34,528,000トン)、2位は中国(11,776,800トン)、3位はインドネシア(9,245,427トン)が占めています。これらトップ3国家だけで世界のバナナ生産の約半分を占めており、大量生産が行われていることが確認されます。一方、日本は18トンという生産量で、ランキングの最下位付近である118位でした。同時に、アメリカもわずか3,517トンで97位に位置し、多くを輸入に頼っている現状が浮き彫りになっています。
順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
---|---|---|---|
1 | インド | アジア | 34,528,000 |
2 | 中国 | アジア | 11,776,800 |
3 | インドネシア | アジア | 9,245,427 |
4 | ナイジェリア | アフリカ | 8,019,203 |
5 | ブラジル | 南アメリカ | 6,854,222 |
6 | エクアドル | 南アメリカ | 6,078,789 |
7 | フィリピン | アジア | 5,899,705 |
8 | グアテマラ | 南アメリカ | 4,762,667 |
9 | アンゴラ | アフリカ | 4,589,099 |
10 | タンザニア連合共和国 | アフリカ | 3,500,880 |
11 | メキシコ | 南アメリカ | 2,600,601 |
12 | コロンビア | 南アメリカ | 2,521,733 |
13 | ベトナム | アジア | 2,514,820 |
14 | コスタリカ | 南アメリカ | 2,494,250 |
15 | ペルー | 南アメリカ | 2,392,584 |
16 | ルワンダ | アフリカ | 2,208,468 |
17 | ケニア | アフリカ | 1,902,000 |
18 | ドミニカ共和国 | 南アメリカ | 1,397,442 |
19 | タイ | アジア | 1,288,313 |
20 | ブルンジ | アフリカ | 1,271,768 |
21 | パプアニューギニア | オセアニア | 1,227,633 |
22 | エジプト | アフリカ | 1,213,698 |
23 | エチオピア | アフリカ | 1,096,005 |
24 | トルコ | アジア | 997,244 |
25 | スーダン | アフリカ | 947,229 |
26 | カメルーン | アフリカ | 878,280 |
27 | バングラデシュ | アジア | 826,179 |
28 | コンゴ民主共和国 | アフリカ | 808,443 |
29 | ラオス人民民主共和国 | アジア | 737,470 |
30 | ホンジュラス | 南アメリカ | 559,263 |
31 | コートジボワール | アフリカ | 531,382 |
32 | ベネズエラ (ボリバル共和国) | 南アメリカ | 528,550 |
33 | マリ | アフリカ | 524,896 |
34 | 南アフリカ | アフリカ | 502,069 |
35 | モザンビーク | アフリカ | 466,534 |
36 | マラウイ | アフリカ | 420,706 |
37 | パナマ | 南アメリカ | 397,576 |
38 | マダガスカル | アフリカ | 388,460 |
39 | スペイン | ヨーロッパ | 348,870 |
40 | 中国、台湾 中国省 | アジア | 334,844 |
41 | モロッコ | アフリカ | 334,537 |
42 | マレーシア | アジア | 329,573 |
43 | ネパール | アジア | 317,534 |
44 | カンボジア | アジア | 310,000 |
45 | ボリビア (多民族国家) | 南アメリカ | 308,181 |
46 | オーストラリア | オセアニア | 280,837 |
47 | ハイチ | 南アメリカ | 240,357 |
48 | キューバ | 南アメリカ | 237,354 |
49 | ギニア | アフリカ | 229,999 |
50 | フランス | ヨーロッパ | 225,530 |
51 | パキスタン | アジア | 215,570 |
52 | ジンバブエ | アフリカ | 197,458 |
53 | イスラエル | アジア | 183,000 |
54 | アルゼンチン | 南アメリカ | 176,655 |
55 | 中央アフリカ共和国 | アフリカ | 142,580 |
56 | リベリア | アフリカ | 142,303 |
57 | イエメン | アジア | 138,744 |
58 | イラン(イスラム共和国) | アジア | 132,278 |
59 | ガーナ | アフリカ | 109,874 |
60 | プエルトリコ | 南アメリカ | 102,164 |
61 | パラグアイ | 南アメリカ | 94,319 |
62 | ニカラグア | 南アメリカ | 89,585 |
63 | コンゴ | アフリカ | 89,082 |
64 | ベリーズ | 南アメリカ | 86,210 |
65 | レバノン | アジア | 81,659 |
66 | コモロ | アフリカ | 80,960 |
67 | ジャマイカ | 南アメリカ | 72,848 |
68 | セントビンセントおよびグレナディーン諸島 | 南アメリカ | 59,381 |
69 | ブルキナファソ | アフリカ | 46,360 |
70 | ヨルダン | アジア | 42,829 |
71 | セネガル | アフリカ | 36,000 |
72 | 赤道ギニア | アフリカ | 30,865 |
73 | ポルトガル | ヨーロッパ | 28,460 |
74 | トーゴ | アフリカ | 24,358 |
75 | ソマリア | アフリカ | 23,610 |
76 | サウジアラビア | アジア | 22,400 |
77 | サモア | オセアニア | 21,974 |
78 | ベナン | アフリカ | 20,387 |
79 | ガイアナ | 南アメリカ | 18,687 |
80 | オマーン | アジア | 18,427 |
81 | ガボン | アフリカ | 18,282 |
82 | エスワティニ | アフリカ | 17,957 |
83 | バヌアツ | オセアニア | 17,062 |
84 | エルサルバドル | 南アメリカ | 13,989 |
85 | ドミニカ | 南アメリカ | 11,524 |
86 | バハマ | 南アメリカ | 10,114 |
87 | フィジー | オセアニア | 10,097 |
88 | モーリシャス | アフリカ | 9,829 |
89 | ギニアビサウ | アフリカ | 8,392 |
90 | スリナム | 南アメリカ | 7,947 |
91 | キリバス | オセアニア | 7,541 |
92 | セントルシア | 南アメリカ | 7,015 |
93 | サントメ・プリンシペ | アフリカ | 5,885 |
94 | キプロス | アジア | 5,480 |
95 | ギリシャ | ヨーロッパ | 4,700 |
96 | カーボベルデ | アフリカ | 4,628 |
97 | アメリカ合衆国 | 北アメリカ | 3,517 |
98 | パレスチナ国 | アジア | 3,379 |
99 | トリニダード・トバゴ | 南アメリカ | 3,286 |
100 | グレナダ | 南アメリカ | 2,558 |
101 | ブータン | アジア | 2,139 |
102 | ミクロネシア連邦 | オセアニア | 2,040 |
103 | セーシェル | アフリカ | 1,993 |
104 | ニューカレドニア | オセアニア | 1,879 |
105 | ブルネイ ダルサラーム | アジア | 1,673 |
106 | トンガ | オセアニア | 867 |
107 | ザンビア | アフリカ | 690 |
108 | 東ティモール | アジア | 638 |
109 | アラブ首長国連邦 | アジア | 336 |
110 | ソロモン諸島 | オセアニア | 319 |
111 | ツバル | オセアニア | 291 |
112 | バルバドス | 南アメリカ | 259 |
113 | アルジェリア | アフリカ | 237 |
114 | モルディブ | アジア | 217 |
115 | フランス領ポリネシア | オセアニア | 211 |
116 | シリア・アラブ共和国 | アジア | 197 |
117 | ニウエ | オセアニア | 82 |
118 | 日本 | アジア | 18 |
119 | トケラウ | オセアニア | 16 |
120 | アンティグア・バーブーダ | 南アメリカ | 7 |
121 | クック諸島 | オセアニア | 4 |
2022年度のデータから読み取れるのは、アジア地域が世界のバナナ生産の中心地となっているという事実です。特にインドは全体の収穫量の25%以上を占め、他国を大きく引き離しています。気候条件や土壌の特性、労働力の供給など、バナナ栽培に適した基盤が背景にあると考えられます。中国とインドネシアも上位を占めていることから、アジアがバナナ栽培において地理的・経済的強みを有していると言えるでしょう。
他方、ラテンアメリカやアフリカ諸国も、ナイジェリアやブラジル、エクアドル、フィリピンといった国々が軒並み多数ランクインしており、地域全体での重要な生産拠点となっています。これらの国々ではバナナ産業が国内外の経済における稼ぎ手であるだけでなく、現地の食料安定供給にも大きく貢献しています。しかし、生産国の中にはエクアドルやグアテマラのようにバナナを主に輸出品とする国が存在し、これらの国々では輸出依存が経済リスクとなる可能性があります。
一方で、日本は18トンという生産量で下位を占めています。バナナは日本国内で広く消費される果物ですが、その99%以上を輸入に頼っています。この背景には、バナナ栽培に適した気候ではないこと、高い人件費が国内生産を阻害していることが挙げられます。さらに、アメリカが97位となっていることは興味深いポイントです。アメリカは食品輸入大国であり、国内消費を形作る重要なバナナ輸入市場となっています。
未来の課題として、気候変動の影響による生産地の変動が懸念されます。バナナは熱帯性の作物であり、異常気象や洪水、干ばつなどのリスクにさらされています。また、バナナ産業を支える労働者の生活の質や適切な賃金、労働環境の確保も国際的な課題となっています。特に、地政学的リスクとして、バナナ輸出業に依存する国々での政治不安や紛争がサプライチェーンに影響を与えかねません。
今後の対策として、生産地間での協力体制の構築が不可欠です。「持続可能な農業」という枠組みを軸に、生産国が環境保全や生産性向上に配慮した政策を進めることが求められます。たとえば、生物多様性を守る観点から病害虫対策の研究を進めたり、耐性品種の開発に投資したりすることが考えられます。また、消費国である日本やアメリカは、フェアトレード商品の採用を増やすだけでなく、生産国とのパートナーシップを強化し、持続可能な生産を支える役割を果たすべきです。さらに、食料輸入への依存軽減を図るために、輸送インフラや保管技術の改良も政策に織り込む必要があります。
世界的にみれば、バナナ生産は我々の食料供給と経済に深く関わっており、今後もその重要性は増していくでしょう。しかし、これを維持するには単に収穫量を増やすだけではなく、環境的・社会的課題とのバランスを取った成長が求められます。それを成し遂げるためには、技術支援や国際協力の枠組みを一層強化していくことが必要とされるでしょう。