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パラグアイのバナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、パラグアイのバナナ生産量は20世紀中盤から21世紀にかけて大きな変化を見せています。特に1960年代から1970年代にかけて増加傾向を示しましたが、その後1980年代以降には大幅に減少しました。最近のデータでは、2010年代後半以降、再び緩やかな増加が見られ、2021年には97,470トンの生産量に達しています。ただし、2022年には若干の減少が見られるものの、全体的には安定した推移を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 173,637
84.1% ↑
2022年 94,319
-3.23% ↓
2021年 97,470
3.16% ↑
2020年 94,486
4.99% ↑
2019年 89,996
18.62% ↑
2018年 75,868
4.98% ↑
2017年 72,266
0.55% ↑
2016年 71,870
2.28% ↑
2015年 70,266
0.09% ↑
2014年 70,200
12.5% ↑
2013年 62,400
3.96% ↑
2012年 60,022 -
2011年 60,022
-24.84% ↓
2010年 79,856
35.72% ↑
2009年 58,840
0.89% ↑
2008年 58,321
16.64% ↑
2007年 50,000
10.57% ↑
2006年 45,220
-6.62% ↓
2005年 48,425
9.98% ↑
2004年 44,031
-29.32% ↓
2003年 62,294
28.05% ↑
2002年 48,650
-24.3% ↓
2001年 64,265
12.78% ↑
2000年 56,984
-18.58% ↓
1999年 69,988
-2.05% ↓
1998年 71,454
3.71% ↑
1997年 68,898
3.21% ↑
1996年 66,752
-4.33% ↓
1995年 69,770
-7.92% ↓
1994年 75,767
-15.7% ↓
1993年 89,874
0.69% ↑
1992年 89,260
5.48% ↑
1991年 84,620
4% ↑
1990年 81,365
4% ↑
1989年 78,236
4.2% ↑
1988年 75,083
-34.5% ↓
1987年 114,625
-5.73% ↓
1986年 121,598
-5% ↓
1985年 127,999
5% ↑
1984年 121,903
-6.23% ↓
1983年 130,000
-13.33% ↓
1982年 150,000
-6.25% ↓
1981年 160,000
-11.11% ↓
1980年 180,000
-16.28% ↓
1979年 215,000
-15.48% ↓
1978年 254,380
0.93% ↑
1977年 252,043
10.64% ↑
1976年 227,800
15.02% ↑
1975年 198,050
-25.03% ↓
1974年 264,180
1.02% ↑
1973年 261,500
9.31% ↑
1972年 239,224
-5% ↓
1971年 251,821
4.24% ↑
1970年 241,587
5.04% ↑
1969年 230,000
4.55% ↑
1968年 220,000
1.9% ↑
1967年 215,900
3.25% ↑
1966年 209,100
-9.87% ↓
1965年 232,000
18.97% ↑
1964年 195,000
-0.51% ↓
1963年 196,000
39.01% ↑
1962年 141,000
-2.76% ↓
1961年 145,000 -

パラグアイのバナナ生産量推移を見ると、まず1960年代から1970年代半ばにかけて生産量が増加しており、この時期には農業技術の向上や国内消費需要の拡大が寄与したと考えられます。たとえば1974年にはピーク時の264,180トンを記録しました。しかし1975年以降、顕著な減少傾向に転じ、1980年には180,000トン、さらに1988年には75,083トンと、大幅な低下が見られます。この急激な減少の要因として、農作物の病害虫被害、土壌の劣化、不十分な農業インフラ、あるいは気候変動の影響が挙げられると推測されます。

1990年代から2000年代初頭にかけて、生産量は約5~9万トン前後で推移し、依然として低迷していました。この期間においては、パラグアイ国内市場での需要の減少や、輸出市場で競争力を持つための生産体制が整っていなかったことが影響を及ぼした可能性が高いです。この背景には、国際市場での競合国(特に中米のバナナ主要輸出国であるコスタリカやエクアドル)の台頭も挙げられます。

一方、2010年代後半以降、生産量は再び増加傾向を見せ、2021年には97,470トンに達しました。この回復傾向は、農業技術の近代化や、現地農業者への支援策の拡充によるものと考えられます。しかし2022年には再び若干の減少がみられており、この変化には特定の年次的な外的要因(災害、疫病など)が影響した可能性もあるでしょう。

パラグアイのバナナ生産における現状の課題としては、病害虫への対策不足、気候変動による長期的なリスク、インフラの整備不良、そして国際競争力の欠如が挙げられます。特に気候変動は、降水量の変化や極端な気象現象を引き起こし、バナナ生産地にとって大きな風土的リスクとなっています。また、病虫害対策の不備が生産減少を招いている点も、データから着目するべき要因の一つです。

今後の具体的な対策としては、作物の多様化を進め、防除技術の向上や、遺伝的に強い種の導入が必要です。また、生産者による技術研修や教育の充実、農業インフラの整備が長期的な生産安定に寄与するでしょう。さらに、地域間(特に中南米諸国)との農業協力の枠組みを確立し、効率のよい生産と輸送体制を構築することで、輸出市場での競争力を高めることが重要です。

地政学的には、パラグアイは内陸国であり、近隣国の輸送インフラに依存する点が他国に比べて不利です。このため、周辺諸国との貿易協定を強化し、輸送経路を確保することも戦略的課題となります。また、気候変動や疫病の影響への対応には、国際機関と連携して気象データや農業技術を共有する新たな枠組みを設けることが望まれます。

最終的に、パラグアイのバナナ生産の推移は、国内外の食糧安全保障や経済活動に直接的な影響を与えます。このため、生産量の安定と向上を図る施策は、社会的・経済的な基盤強化に寄与する大きな意味を持っています。政府と国際社会は協力して、効果的な対策を講じる必要があります。