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ブルネイ ダルサラームのバナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ブルネイ ダルサラームのバナナ生産量は長期的に大きな増加傾向を示しています。例えば、1961年の418トンから2022年には1,673トンと、およそ4倍に達しています。ただし、増加には一貫性が無く、特に1960年代後半や1990年代後半には大幅な減少が見られました。また、近年(2020年以降)は生産量が減少や回復を繰り返しており、変動が大きいことが特徴的です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,881
12.45% ↑
2022年 1,673
22.65% ↑
2021年 1,364
-20.56% ↓
2020年 1,717
-11.63% ↓
2019年 1,943
6.64% ↑
2018年 1,822 -
2017年 1,822
11.78% ↑
2016年 1,630
28.45% ↑
2015年 1,269
14.51% ↑
2014年 1,108
14.75% ↑
2013年 966
13.62% ↑
2012年 850
-0.25% ↓
2011年 852
1.14% ↑
2010年 843
0.47% ↑
2009年 839
4.83% ↑
2008年 800
5.82% ↑
2007年 756
-4.79% ↓
2006年 794
10.28% ↑
2005年 720
-6.61% ↓
2004年 771
-2.65% ↓
2003年 792
10.92% ↑
2002年 714
1.42% ↑
2001年 704
29.89% ↑
2000年 542
32.2% ↑
1999年 410
-21.15% ↓
1998年 520
-0.42% ↓
1997年 522
3.12% ↑
1996年 506
1.28% ↑
1995年 500
-28.57% ↓
1994年 700
-4.93% ↓
1993年 736
-1.6% ↓
1992年 748
3.92% ↑
1991年 720
-6.87% ↓
1990年 773
5.91% ↑
1989年 730
-2.67% ↓
1988年 750 -
1987年 750
7.14% ↑
1986年 700
-12.5% ↓
1985年 800
6.67% ↑
1984年 750
-4.58% ↓
1983年 786
6.94% ↑
1982年 735
16.67% ↑
1981年 630
9.57% ↑
1980年 575
15% ↑
1979年 500 -
1978年 500
25% ↑
1977年 400
33.33% ↑
1976年 300 -
1975年 300
20% ↑
1974年 250 -
1973年 250
25% ↑
1972年 200
56.25% ↑
1971年 128
11.3% ↑
1970年 115
57.53% ↑
1969年 73 -
1968年 73
-77.04% ↓
1967年 318
2.25% ↑
1966年 311
-29% ↓
1965年 438
0.69% ↑
1964年 435
2.11% ↑
1963年 426
0.71% ↑
1962年 423
1.2% ↑
1961年 418 -

ブルネイ ダルサラームのバナナ生産量は、1961年には400トン台で始まり、その後1978年以降急激な増加を見せました。これは、農業技術の進歩や栽培面積の拡大に加えて、地方農業の成長に取り組む政策が影響を及ぼしたと考えられます。ただし、農業機械化や気候条件の影響を考えると、この増加は常に安定していたわけではありません。たとえば、1966年から1969年の間で生産量が73トンにまで激減した背景には、おそらく気象条件の悪化やインフラ不足があったといえます。

また、2000年代以降は比較的安定した増加傾向を維持しましたが、増加量は時期によって変動がありました。特に2014年以降は急速に生産量が増大し、2019年にはピークに近い1,943トンとなりました。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響が農業分野に波及した可能性があり、2020年には1,717トンと減少しています。このような外的要因への影響は、中規模農業を主体とするブルネイの農業構造の脆弱性を示唆しています。

一方で、2022年には1,673トンとなり、2020年の水準をほぼ回復しました。これは、政府が農業支援策を推進し、地元農業の持続可能性を目指した改革が成果を上げ始めた結果かもしれません。しかし、データを見る限り、年間生産量の変動性が高いことから、依然として気候変動や市場需要に左右される農業構造の課題が浮かび上がります。

バナナはブルネイの食事において重要な果物でありながら、輸出量は少なく、主に国内供給に依存しています。しかし、インドやフィリピンなどの主要バナナ生産国と比較すると生産量が大幅に低く、国際市場での競争力は依然として課題です。同様に近隣諸国であるマレーシアやインドネシアとも規模面で違いがあります。特にこれらの国々は大規模農場を展開しているのに対して、ブルネイでは小規模な農地が大半を占めています。

今後の方向性としては、気象データを基にした気候影響モデルを活用した農業計画の導入が効果的です。また、種子改良や農薬使用の改善を進めることで、病害虫被害のリスクを軽減するべきです。さらに、国際市場への進出を目指すのであれば、特定品種の品質向上やブランド施策の推進が必要です。輸出促進の際には、ASEAN内での協力体制の強化や自由貿易協定の活用が鍵となります。

さらに、農業労働力や資源管理にも課題がみられます。ブルネイでは若い世代の農業離れが進む一方で、新規農民への支援が十分ではありません。そのため、デジタル農業技術の普及や、都市部での垂直農業などの新たな手法を取り入れるべきです。これにより、若い世代を農業に惹きつけ、長期的な産業基盤を強化することが可能になります。

ブルネイ ダルサラームのバナナ生産データは、地域的な特性や経済構造を反映した重要な指標となっています。持続可能な形で生産量を増加させ、国内需要を満たすだけでなく輸出も視野に入れた農業政策が求められています。国際連合やアセアン諸国との協力を通じて、ブルネイの農業産業を安定的に発展させることは十分可能です。