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カンボジアのバナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年最新データによると、カンボジアのバナナ生産量は過去数十年間で大きな波動を見せています。1960年代から1980年代は10万トン以下の生産量が続きましたが、1990年代後半から徐々に増加基調となり、2010年代後半以降は急激に伸びています。2020年には33万トン、2021年には39.5万トンと最高値に達し、その後若干の減少が見られるものの、2022年には31万トンと歴史的高水準を維持しています。これには経済成長、農業技術の発展、そして輸出需要の拡大などが関係しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 378,378
22.06% ↑
2022年 310,000
-21.52% ↓
2021年 395,000
19.7% ↑
2020年 330,000
65% ↑
2019年 200,000
13.79% ↑
2018年 175,759
15.78% ↑
2017年 151,800
8.29% ↑
2016年 140,182
-2.7% ↓
2015年 144,077
4.42% ↑
2014年 137,980
-0.37% ↓
2013年 138,489
-0.81% ↓
2012年 139,616
-1.77% ↓
2011年 142,130
-9.9% ↓
2010年 157,753
3.11% ↑
2009年 153,000
1.32% ↑
2008年 151,000
16.15% ↑
2007年 130,000 -
2006年 130,000
0.78% ↑
2005年 129,000
-3.73% ↓
2004年 134,000
-4.29% ↓
2003年 140,000
-4.11% ↓
2002年 146,000 -
2001年 146,000 -
2000年 146,000
-0.68% ↓
1999年 147,000
0.68% ↑
1998年 146,000
0.69% ↑
1997年 145,000
3.57% ↑
1996年 140,000
6.06% ↑
1995年 132,000
2.33% ↑
1994年 129,000
3.2% ↑
1993年 125,000
2.46% ↑
1992年 122,000
1.67% ↑
1991年 120,000
4.35% ↑
1990年 115,000
2.68% ↑
1989年 112,000
1.82% ↑
1988年 110,000
3.77% ↑
1987年 106,000
6% ↑
1986年 100,000
8.7% ↑
1985年 92,000
9.52% ↑
1984年 84,000
2.44% ↑
1983年 82,000
9.33% ↑
1982年 75,000
7.14% ↑
1981年 70,000
7.69% ↑
1980年 65,000
18.18% ↑
1979年 55,000
-29.49% ↓
1978年 78,000
-15.22% ↓
1977年 92,000
4.55% ↑
1976年 88,000
10% ↑
1975年 80,000
-11.11% ↓
1974年 90,000
-2.17% ↓
1973年 92,000
6.98% ↑
1972年 86,000
-0.1% ↓
1971年 86,090
-35.71% ↓
1970年 133,900
-0.04% ↓
1969年 133,950
-1.65% ↓
1968年 136,200
-10.98% ↓
1967年 153,000
15.04% ↑
1966年 133,000
4.72% ↑
1965年 127,000
-20.63% ↓
1964年 160,000
6.67% ↑
1963年 150,000
50% ↑
1962年 100,000
-23.08% ↓
1961年 130,000 -

カンボジアのバナナ産業は数十年にわたる興隆と衰退のサイクルを経て、近年急速な成長を遂げています。1960年代から1970年代初頭にかけて、カンボジアのバナナ生産量は10~15万トン台で安定していましたが、1970年代後半にかけて内戦や政情不安の影響を受けて急激に減少しました。この時期には生産量が5万トン台に落ち込む年もあり、農業だけでなく国全体の経済活動が大きな打撃を受けたことがわかります。

1980年代以降、カンボジアの農業は徐々に回復しましたが、バナナ生産量は10万トン台に留まり、他の農作物に比べて顕著な成長は見られませんでした。1990年に入り国内情勢が安定すると、生産量は毎年少しずつ改善されました。この期間の緩やかな増加は、国内市場向けの需要増加や小規模農家の積極的な栽培によるものと考えられます。

2010年以降、カンボジアはバナナ生産に関する新しいフェーズに突入しました。この時期は、生産量が構造的に2割以上の上昇を記録し、2018年から急激な増加が目立つようになります。これは中国をはじめとする周辺の国々への輸出需要の増大、農業技術の導入、そして政府の農産業政策が大きな役割を果たしたと考えられます。特に2020年、39.5万トンという歴史的な生産量を記録した背景には、輸出拡大政策と専業農家へのインセンティブ提供が大きな影響を及ぼしたと見られます。

しかし、2022年には31万トンと若干の減少が見られました。この背景には新型コロナウイルス感染症の世界的影響があり、輸送や輸出需要に問題が生じたことが要因の一つとされています。また、気候変動の影響による異常気象も無視できません。

カンボジアのバナナ産業が今後直面する課題としては、まず持続可能な生産方法の確立が挙げられます。現在の生産量の急増は土壌の劣化や水資源の不足といった環境的な影響を伴う可能性があり、その対策が急務となっています。また、輸出市場の多角化も重要なポイントです。現在、中国向け輸出が大きな比重を占めており、これは市場リスクを高める要因にもなります。

具体的な対策として、技術指導と農業インフラへの投資が挙げられます。農家がより効率的で環境負荷の少ない栽培技術を取り入れることを促進するため、教育プログラムや補助金の提供が有効です。また、インフラ整備により輸送コストを削減し、品質保持を徹底することで、より高付加価値のバナナを市場に供給する基盤を整えるべきです。

さらに、地政学的リスクへの対応も不可欠です。特に隣国との友好関係の維持や地域協力の強化は、農業や輸出業の安定に寄与します。加えて、気候変動への対処として耐気候性品種の開発や大規模な灌漑システムの構築も重要です。

結論として、カンボジアのバナナ生産は長年の変遷を経て現在は活発な成長期にありますが、持続可能性や輸出市場の多様化といった課題を抱えています。この成長を長続きさせるためには、政府と民間が協力してこれらの問題に取り組み、さらなる発展を目指すことが必要です。国際機関や近隣諸国との協力も視野に入れた包括的な戦略が鍵となるでしょう。