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ドミニカのバナナ生産量推移(1961年~2023年)

国連の食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、ドミニカ共和国のバナナ生産量は、1961年に29,211トンからスタートし、1990年代初頭まではおおむね増加傾向にありました。1988年には最高記録である76,872トンを達成しましたが、その後は大幅に減少し、2022年には11,524トンに留まっています。このデータは、バナナ生産が長期間にわたり大きく変動し、近年では低迷している現状を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 11,537
0.11% ↑
2022年 11,524
-0.17% ↓
2021年 11,544 -
2020年 11,543
0.5% ↑
2019年 11,486
-1% ↓
2018年 11,602
0.52% ↑
2017年 11,542
2% ↑
2016年 11,315
-5.3% ↓
2015年 11,948
5.08% ↑
2014年 11,371
-15% ↓
2013年 13,378
-7.36% ↓
2012年 14,441
-16.71% ↓
2011年 17,338
21.55% ↑
2010年 14,264
-25.54% ↓
2009年 19,156
2.22% ↑
2008年 18,740
29.3% ↑
2007年 14,493
-36.21% ↓
2006年 22,720
12.88% ↑
2005年 20,127
-8.59% ↓
2004年 22,018
20.46% ↑
2003年 18,278
-25.83% ↓
2002年 24,645
-1.61% ↓
2001年 25,048
-33.74% ↓
2000年 37,800
1.27% ↑
1999年 37,325
-5.84% ↓
1998年 39,642
-4.94% ↓
1997年 41,700
-12.02% ↓
1996年 47,397
17.03% ↑
1995年 40,500
-17.35% ↓
1994年 49,000
-23.62% ↓
1993年 64,149
4.39% ↑
1992年 61,449
-7.84% ↓
1991年 66,679
-0.04% ↓
1990年 66,706
14.5% ↑
1989年 58,259
-24.21% ↓
1988年 76,872
13.51% ↑
1987年 67,725
7.94% ↑
1986年 62,741
47.09% ↑
1985年 42,656
3.59% ↑
1984年 41,177
8.32% ↑
1983年 38,013
7.31% ↑
1982年 35,423
0.49% ↑
1981年 35,252
133.15% ↑
1980年 15,120
-38.03% ↓
1979年 24,398
-49.58% ↓
1978年 48,386
33.08% ↑
1977年 36,358
-9.92% ↓
1976年 40,362
10% ↑
1975年 36,694
1.93% ↑
1974年 36,000
28.57% ↑
1973年 28,000
-26.32% ↓
1972年 38,000
-2.56% ↓
1971年 39,000
-11.36% ↓
1970年 44,000
-26.67% ↓
1969年 60,000
7.37% ↑
1968年 55,884
15.3% ↑
1967年 48,470
-0.76% ↓
1966年 48,840
-1.84% ↓
1965年 49,756
16.95% ↑
1964年 42,545
48.77% ↑
1963年 28,597
-0.24% ↓
1962年 28,667
-1.86% ↓
1961年 29,211 -

ドミニカ共和国のバナナ生産量は、1961年の29,211トンから始まり、1988年にピークの76,872トンに到達するまで過去数十年間に明確な成長を遂げました。この間の成長要因には、国内農業技術の改善、地域の気候条件の好転、輸出市場の拡大が挙げられます。しかし、1990年代以降では、不安定な生産量変動が目立ち始め、2022年の生産量は11,524トンと歴史的な最低水準近くに低迷しています。

この大幅な減少の背景には、複数の要因が絡んでいます。まず、頻発するハリケーンや干ばつといった自然災害が、ドミニカ共和国の農業に甚大な被害を与えてきました。バナナは湿潤で安定した気候を必要とする作物ですが、近年、気候変動による不安定な天候がこれを妨げています。また、病害虫の蔓延も主要な課題です。「パナマ病」や「シグトカ病」などの植物病害が、バナナ生産に深刻な影響を与えることで知られています。

加えて、地政学的リスクも見逃せません。近年、主要輸出市場での価格競争が激化しており、低コストで生産する競合国(例:エクアドルやコスタリカ)に対してドミニカ共和国は競争力を失い始めています。このような状況は貿易政策や輸出規制の影響を受けています。さらに、国内のインフラ未整備(特に貯蔵、輸送面)は、品質管理と安定供給を妨げてきました。

将来的な課題として、ドミニカのバナナ生産は、全般的な農業体制の再構築を必要としています。環境対策として、気候変動に対応した耐病性の新品種の開発や生産の集約化が鍵です。また、輸出競争力を高めるために地域間の貿易協定を強化し、輸送および市場アクセスを改善することも重要です。技術的な面では、灌漑システムの導入や農業機械化を推進することで、自然災害や病害虫のリスクを最小限に抑えることができます。

新型コロナウイルスのパンデミックによって、2020年以降では世界的に物流が混乱し、農産物の輸出入に影響を及ぼしました。この影響を受けたドミニカ共和国のバナナ輸出も、サプライチェーンの停滞により損失を被りました。このようなグローバルな影響を考慮すると、国内需要を拡大させることもリスク分散の一助となります。農作物の加工食品化や地域ブランド化も、生産者にとって安定した収益をもたらす可能性があります。

最後に、国際機関との協力も大きな鍵となります。例えば、国連や地域内のパートナーと連携し、資金援助や技術支援を活用することで、バナナ生産の復興を後押しすることが期待されます。国際的な協力を通じて、地域の農産物の価値を高めながら、持続可能な成長を目指すことが重要です。

結論として、ドミニカのバナナ生産は気候、病害虫、国際市場競争、そして輸送インフラの課題を抱えています。これらを克服するためには、多角的な戦略が求められます。気候変動への対応と生産効率の向上、輸出の強化を目指す取り組み、そして国内外を巻き込む協調関係の確立によって、ドミニカ共和国の農業が将来的に持続的で安定した成長を遂げる環境を整えることができるでしょう。