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ザンビアのバナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、ザンビアのバナナ生産量は1961年から2022年までの60年間にわたり変動を見せながら推移しています。この時期を通じて、ザンビア全体のバナナ生産量は最も低い380トン(1969年)から最も高い2,410トン(1971年)と、非常に幅広い範囲で推移していることがわかります。近年では、生産量はおおむね680~700トン前後で安定しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 689
-0.12% ↓
2022年 690
0.06% ↑
2021年 689
-0.04% ↓
2020年 690
-0.75% ↓
2019年 695
-0.96% ↓
2018年 702
0.85% ↑
2017年 696
1.32% ↑
2016年 687
1.62% ↑
2015年 676
-1.34% ↓
2014年 685
0.72% ↑
2013年 680 -
2012年 680
4.62% ↑
2011年 650
-9.72% ↓
2010年 720
4.35% ↑
2009年 690
6.15% ↑
2008年 650
-6.16% ↓
2007年 693
-1.05% ↓
2006年 700
-8.66% ↓
2005年 766
-14.85% ↓
2004年 900
11.61% ↑
2003年 806
-5.13% ↓
2002年 850
6.25% ↑
2001年 800
14.29% ↑
2000年 700
16.67% ↑
1999年 600
20% ↑
1998年 500
-16.67% ↓
1997年 600
-14.29% ↓
1996年 700
16.67% ↑
1995年 600
-8.34% ↓
1994年 655
-6.49% ↓
1993年 700
16.67% ↑
1992年 600
-14.29% ↓
1991年 700
5.42% ↑
1990年 664
2.15% ↑
1989年 650
4.84% ↑
1988年 620
3.33% ↑
1987年 600 -
1986年 600
9.09% ↑
1985年 550
10% ↑
1984年 500 -
1983年 500 -
1982年 500 -
1981年 500 -
1980年 500
27.88% ↑
1979年 391
-6.68% ↓
1978年 419
-26.62% ↓
1977年 571
-40.52% ↓
1976年 960
-6.16% ↓
1975年 1,023
-32.25% ↓
1974年 1,510
-33.71% ↓
1973年 2,278
5.17% ↑
1972年 2,166
-10.12% ↓
1971年 2,410
34.19% ↑
1970年 1,796
372.63% ↑
1969年 380
-24% ↓
1968年 500 -
1967年 500 -
1966年 500 -
1965年 500 -
1964年 500 -
1963年 500 -
1962年 500 -
1961年 500 -

FAOが公開した詳細なデータから、ザンビアのバナナ生産量は1961年から2022年までの長期間にわたり興味深い変化を示しています。この期間、ザンビアのバナナ生産量は幾度か大きな変動を伴いながら推移してきました。最初の数十年間では、1961年から1968年までは500トンという安定した生産が維持されていましたが、1969年に380トンと急激な減少が見られ、その後1970年代前半にかけて急速に増加し、1971年には2,410トンというピークを迎えました。しかし、この成長は持続的ではなく、1972年以降から1979年まで減少傾向に転じ、1980年には再び500トンの生産量に戻っています。

1980年代以降、全体的には増加傾向が見られるものの、1990年代から2000年代初頭にかけては毎年多少の変動がありました。例えば、1991年の700トンから1992年の600トンへの減少、または1996年の700トンから1997年の600トンへの減少がその例です。さらに2000年代にはいくつかの年で増減を繰り返しながらも、生産量は700トンを中心に推移していることが分かります。近年のデータで見ると、生産量は比較的安定した数値を保ち、2022年時点では690トンとなっています。なお、2010年代から2020年代にかけても、ほぼ同程度の生産量が維持されていることから、ザンビアのバナナ生産体制が一定の安定化を見せたと言えるでしょう。

この長期的なデータから、バナナ生産の推移が単なる自然的な要因だけでなく、農業政策、気候条件、農業技術の進歩、国内市場や国際市場の需要の変動など、さまざまな複合的要素によって影響を受けていることが示唆されます。例えば、1970年代の急増とその後の削減は何らかの外的な経済的、気候的、あるいは政策的な要因によるものと考えられます。特に、ザンビア自身の農業基盤が近隣諸国やより先進的な農業技術をもつ他国と比較してどの程度進んでいるかの検討も重要です。

課題として挙げられるのは、気候変動の影響が今後ザンビアの農業全体にどのような圧力をかける可能性があるかという点です。ザンビアを含むサハラ以南アフリカ地域は、極端な干ばつや洪水の影響を受けやすい地理的な特徴を持っています。こうした気候リスクを見据えた生産基盤の強化が取組みとして求められます。また、農業のモダンテクノロジーの導入や、新品種の開発、国際的な協力体制を活用した農業技術の向上も大きな課題であり、これによって近代的かつ効率的な農業経営が実現可能になるでしょう。

一方で、国内市場における消費傾向の変化や、バナナ以外の主要作物とのバランスも政策面で注目すべき点です。特に、輸出の可能性を視野に入れる場合、地域間での協力モデルや物流体制の改善が必要不可欠です。これにより、ザンビア産のバナナが隣国や世界市場で競争力を持つ農産物となる可能性があります。

結論として、ザンビアのバナナ生産は過去60年間に大きな変化を示しましたが、近年では一定の安定化を見せています。これを次のステップとして活かすためには、持続可能な農業システムを構築し、気候リスクや経済変動に対応できる強靭な農業基盤づくりが必要です。そして、国際機関や地域協力を通じた技術移転と支援を活用することで、バナナ生産のさらなる向上が見込まれるでしょう。