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アンティグア・バーブーダのバナナ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、アンティグア・バーブーダのバナナ生産量は、1966年にわずか5トンであったのが、1982年に約634トンと大きく増加しました。その後、生産量は一時的な減少と回復を繰り返しながら2004年には220トンに達し、2015年に263トンでピークを迎えました。しかし、2016年以降急激に減少し、2020年には再び5トンレベルに戻り低迷しています。このデータは、同国のバナナ生産が地政学的リスクや自然災害、新型コロナウイルス感染症の影響を受けていることを示唆しています。

年度 生産量(トン)
2022年 7
2021年 6
2020年 5
2019年 32
2018年 39
2017年 185
2016年 231
2015年 263
2014年 259
2013年 255
2012年 250
2011年 239
2010年 225
2009年 228
2008年 225
2007年 222
2006年 223
2005年 218
2004年 220
2003年 210
2002年 200
2001年 180
2000年 160
1999年 170
1998年 160
1997年 155
1996年 150
1995年 137
1994年 136
1993年 137
1992年 140
1991年 130
1990年 120
1989年 100
1988年 84
1987年 70
1986年 70
1985年 70
1984年 80
1983年 47
1982年 634
1981年 514
1980年 476
1979年 152
1978年 232
1977年 11
1976年 23
1975年 12
1974年 32
1973年 8
1972年 20
1971年 18
1970年 15
1969年 12
1968年 10
1967年 8
1966年 5

アンティグア・バーブーダのバナナ生産動向を振り返ると、特に1980年代以降、生産量の変動が激しくなっていることがわかります。この国はカリブ海地域に位置し、小さな島国でありながらもバナナ農業が重要な産業の1つです。1960年代から1970年代半ばまでは生産量が着実に増加していましたが、1970年代後半になると大幅な変動が見られます。1978年頃に232トンの生産量を記録した後の1982年には過去最高の634トンに達しました。しかし、その後、1983年には47トンへと急激に減少しました。この急減は気候変動や農業インフラの問題、資源の分散などが要因とされています。

1990年代以降、生産量はある程度安定しており、2000年代初頭には200トン以上のレベルに達し、2015年には263トンというピークに至っています。この安定期は、同国の農業政策や地域協力、また輸出市場の改善が貢献したと考えられます。しかし、2016年以降、生産量が急速に減少し、2020年にはわずか5トンと記録的な低水準に戻りました。その後2021年、2022年もわずか6~7トンと低迷が続いており、これまでの増加傾向から一転、大きな危機に直面しています。

この急激な減少の要因には、いくつかの複雑な要因が絡み合っています。まず自然災害のリスクです。この地域では、ハリケーンや干ばつといった気象災害が頻繁に発生しており、特に農業部門に甚大な影響を及ぼしています。また、地政学的な背景も無視できません。バナナは国際市場において競争が激しい作物であり、輸出をめぐる競争や市場価格の低迷が、バナナ農家に深刻な影響を与えています。さらに、近年の新型コロナウイルス感染症の影響で労働力調達や輸出物流に支障を来したことも、一因となっている可能性が高いです。

今後の課題としては、生産インフラの再構築と気候変動への対策が挙げられます。具体的には、災害に強い農業技術の導入や、農家への経済的支援の拡充、また新種のバナナ栽培の推進などを行う必要性があります。また、地域間協力の枠組みを設け、隣国との協調を強化することで、バナナ農業の再生に寄与することが期待されます。さらに、国際市場での競争力を高めるためには、有機バナナなど付加価値の高い製品への転換も有効な手段となるでしょう。

結論として、アンティグア・バーブーダのバナナ生産動向は、過去の上昇期と現在の低迷期を経て、新たな方向性を模索する時期に来ています。今後は、政府や国際機関が協力して、農業の再建に向けた具体的な対策を実行し、持続可能な形で農業部門を再生することが求められるでしょう。この取り組みは、ただ単に生産量を回復するだけでなく、地域の食料安全保障や経済の安定にも寄与することとなります。