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セネガルのバナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点のデータによると、セネガルのバナナ生産量は大きな変動を経て、近年は比較的安定した推移を見せています。1961年から2000年にかけては数千トンの規模で増減を繰り返していましたが、2001年には19,554トンと飛躍的な成長を記録し、その後着実に増加して2008年には42,000トン、2009年には47,000トンとピークに達しました。その後、生産量は減少と小幅な回復を断続的に繰り返し、2022年には36,000トンに落ち着いています。この期間の推移は、多様な地政学的、経済的、そして気候的要因に左右されており、背景にはバナナの国内需要や輸出状況の変化も影響しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 36,143
0.4% ↑
2022年 36,000
1.41% ↑
2021年 35,500
-2.74% ↓
2020年 36,500
16.16% ↑
2019年 31,422
4.74% ↑
2018年 30,000
-18.92% ↓
2017年 37,000 -
2016年 37,000
1.37% ↑
2015年 36,500
2.6% ↑
2014年 35,575
1.64% ↑
2013年 35,000 -
2012年 35,000
16.67% ↑
2011年 30,000
-25% ↓
2010年 40,000
-14.89% ↓
2009年 47,000
11.9% ↑
2008年 42,000
31.25% ↑
2007年 32,000
6.67% ↑
2006年 30,000
13.99% ↑
2005年 26,317
14.76% ↑
2004年 22,932
-26.71% ↓
2003年 31,289
60.42% ↑
2002年 19,504
-0.26% ↓
2001年 19,554
225.9% ↑
2000年 6,000
9.09% ↑
1999年 5,500
-15.38% ↓
1998年 6,500
-13.31% ↓
1997年 7,498
-13.22% ↓
1996年 8,640
1.65% ↑
1995年 8,500
17.81% ↑
1994年 7,215
8.94% ↑
1993年 6,623
29.68% ↑
1992年 5,107
2.04% ↑
1991年 5,005
-16.58% ↓
1990年 6,000
71.43% ↑
1989年 3,500
-41.67% ↓
1988年 6,000 -
1987年 6,000 -
1986年 6,000 -
1985年 6,000 -
1984年 6,000 -
1983年 6,000 -
1982年 6,000 -
1981年 6,000
9.09% ↑
1980年 5,500 -
1979年 5,500
10% ↑
1978年 5,000 -
1977年 5,000 -
1976年 5,000
8.7% ↑
1975年 4,600
71.45% ↑
1974年 2,683
13.69% ↑
1973年 2,360
-45.9% ↓
1972年 4,362
-9.13% ↓
1971年 4,800
20% ↑
1970年 4,000
14.29% ↑
1969年 3,500
40% ↑
1968年 2,500
25% ↑
1967年 2,000
3.68% ↑
1966年 1,929
-15.47% ↓
1965年 2,282
-42.95% ↓
1964年 4,000 -
1963年 4,000 -
1962年 4,000
33.33% ↑
1961年 3,000 -

セネガルのバナナ生産量は1960年代初期には年間3,000~4,000トンという小規模な生産地から始まりましたが、この時期の生産はほぼ国内消費を目的としていました。その後、1965年から1969年にかけて一時的に低迷し、翌1970年代には5,500トンを頂点とする安定的な成長を見せました。この変動には、農業技術の進化やインフラ整備、また気候変動の影響が絡んでいると考えられます。

1980年代後半から1990年代半ばにかけて、生産量は6,000~8,500トンの間で推移しましたが、1997年以降は再び減少に転じています。特筆すべき点として、2001年から2003年にかけてセネガルのバナナ生産量は急激に増加し、19,554トンから31,289トンへと成長しています。これはセネガルが政府主導で導入した農業支援プログラムや、灌漑技術の強化、そして国際市場向けの輸出体制の整備が功を奏した結果と考えられます。また、同時期には地元農民への資金援助プログラムが実施され、生産量の増加に寄与した可能性も見逃せません。

2008年と2009年にはそれぞれ42,000トン及び47,000トンと、ピークに達しました。しかし、2010年以降の生産量はやや低下傾向をたどりながら、35,000~40,000トンの安定した値に落ち着いています。バナナ産業はセネガルの気候条件と強く結びついており、干ばつや洪水といった自然災害が生産に大きな影響を与える要因となっています。これらの自然環境に依存する農産品の特徴により、生産量は一貫して安定するのが難しく、気候変動によってさらに状況が複雑化しているともいえます。

一方、セネガルのバナナ産業が抱える課題として、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行も影響しています。2020年と2021年のデータでは、経済活動の停滞による輸送インフラの制限や市場需要の変化が影響し、通年の生産量の伸びが抑えられた可能性があります。これにより、国際貿易が相対的に減少し、小規模農家への影響が懸念されます。

今後、セネガルが持続可能なバナナ生産を目指すためには、いくつかの対策が考えられます。第一に、気候変動対策を考慮した灌漑システムの導入や耐乾燥性の高いバナナ品種の採用が急務です。第二に、輸出市場への依存度を減らし国内消費の拡大を目指す政策が効果的と考えられます。これには国内の物流インフラの整備を進める必要があります。さらに、小規模農家への資金援助や教育プログラムを通じて、生産効率を高める取り組みも欠かせません。これらの課題に対応するためには、セネガル政府だけでなく国際協力体制の下で支援を行うべきです。

セネガルのバナナ生産量の長期的な安定と向上は、地域経済や食料安全保障にとって重要な要素です。世界市場での競争力を維持するためには、持続可能な農業技術の普及や、気候変動に適応した生産体制の構築が鍵を握っています。また、セネガル国内では農業以外の産業との統合的な発展戦略を模索することも、中長期的な地域活性化にとって重要な視点となるでしょう。