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ジャマイカのバナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ジャマイカのバナナ生産量は長期的に減少傾向を示しています。1960年代初頭には年間約20万トンを超える生産量が記録されていましたが、その後、生産量は減少を続け、2008年には36,200トンという低い水準にまで落ち込みました。ただし、直近のデータでは回復傾向を示しており、2022年には72,848トンまで増加しています。このデータは、気候変動、経済的要因、ならびに地政学的背景の影響を反映しており、ジャマイカ経済や農業政策に重要な示唆を与えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 71,532
-1.81% ↓
2022年 72,848
12.54% ↑
2021年 64,732
3.98% ↑
2020年 62,257
-2.19% ↓
2019年 63,653
-4.11% ↓
2018年 66,381
2.41% ↑
2017年 64,816
10.42% ↑
2016年 58,702
7.1% ↑
2015年 54,810
6.26% ↑
2014年 51,581
38.62% ↑
2013年 37,211
-21.62% ↓
2012年 47,473
1.74% ↑
2011年 46,660
-13.03% ↓
2010年 53,649
1.68% ↑
2009年 52,765
45.76% ↑
2008年 36,200
-56.72% ↓
2007年 83,637
-3.01% ↓
2006年 86,231
-17.34% ↓
2005年 104,318
-16.55% ↓
2004年 125,000
8.7% ↑
2003年 115,000
5.5% ↑
2002年 109,000
0.93% ↑
2001年 108,000
5.88% ↑
2000年 102,000
-8.93% ↓
1999年 112,000
-6.67% ↓
1998年 120,000
-7.69% ↓
1997年 130,000
-3.7% ↓
1996年 135,000
3.85% ↑
1995年 130,000
8.33% ↑
1994年 120,000
-4% ↓
1993年 125,000
-3.85% ↓
1992年 130,000
-2.99% ↓
1991年 134,000
4.97% ↑
1990年 127,660
-1.8% ↓
1989年 130,000
-3.7% ↓
1988年 135,000
-3.57% ↓
1987年 140,000
-3.45% ↓
1986年 145,000
-3.33% ↓
1985年 150,000
-3.23% ↓
1984年 155,000
-3.13% ↓
1983年 160,000 -
1982年 160,000
6.67% ↑
1981年 150,000
7.14% ↑
1980年 140,000
-17.65% ↓
1979年 170,000
6.25% ↑
1978年 160,000 -
1977年 160,000
14.29% ↑
1976年 140,000
10.24% ↑
1975年 127,000
-3.79% ↓
1974年 132,000
-21.89% ↓
1973年 169,000
-10.58% ↓
1972年 189,000
1.07% ↑
1971年 187,000
-4.1% ↓
1970年 195,000
-0.51% ↓
1969年 196,000
-1.01% ↓
1968年 198,000
-15.46% ↓
1967年 234,200
-2.58% ↓
1966年 240,400
0.63% ↑
1965年 238,900
11.84% ↑
1964年 213,600
7.18% ↑
1963年 199,300
8.61% ↑
1962年 183,500
4.08% ↑
1961年 176,300 -

ジャマイカは熱帯気候を生かし、古くからバナナを主要な輸出品目として栽培してきました。1960年代には年平均約23万トン近い生産量を誇っていましたが、1970年代以降、その生産量は徐々に減少しました。これは、労働コストの上昇、農業インフラの老朽化、気候条件の悪化、さらには国際競争力の低下が要因として挙げられます。特に2005年から2008年にかけては、ハリケーンの襲来や国際市場における価格競争が激化し、生産量が8万トンを下回るような危機的状況を迎えました。

この減少傾向には、気候変動の影響が密接に関連しています。ジャマイカはハリケーンの通過ルート上に位置しており、これが定期的に農地や作物に深刻なダメージを与えました。また、土壌の劣化や病害虫の発生リスクも高まっており、農地の維持と労働集約的な生産に困難が生じました。これに加え、世界市場における競争の激化により、ヨーロッパなどの伝統的な輸出先でのシェアが縮小したことも影響しています。

直近のデータでは、生産量が徐々に回復している兆候が見られます。2022年には72,848トンに達し、一定の成長を示しました。これは、近年の技術的改善や政府の政策支援によるものと考えられます。例えば、耐病性の高い品種の導入や灌漑設備の整備が進展したことが要因です。また、地域経済における農業復興を目指した国家支援プログラムの効果も寄与しています。

これらの回復にもかかわらず、ジャマイカのバナナ産業にはいくつかの課題が残されています。まず、気候変動の影響が今後さらに深刻化する可能性があり、これに対する適応策が必要です。特に、ハリケーンなどの自然災害の頻度や規模の増加に備えた農業インフラの強化が求められます。また、農作業は引き続き労働集約型であり、農村地域における人材流出による労働力不足も解決すべき問題として残っています。

今後、国際市場での競争力を高めるためには、持続可能な農業技術への投資が重要です。たとえば、バナナの輸出品質を向上させるための加工技術やマーケティング戦略が考えられます。また、ジャマイカを含むカリブ海地域の国々が協力し、共通の市場や物流インフラを構築することで、輸出経路を確保し、リスクを軽減することも有効な手段です。

さらに、農業セクター全体の経済的安定性を確保するためには、多角化も視野に入れるべきです。具体的には、バナナ以外の作物や観光業との組み合わせにより、外的ショックへの耐性を高めることができます。また、バナナ農家を対象とした教育プログラムや補助金制度を通じて、経営能力の向上を図ることが重要です。

結論として、ジャマイカのバナナ生産量の推移は、気候や経済環境、政策の影響を強く反映しており、現在の回復傾向を維持するためには引き続き多面的な対策が必要です。国際機関や地域間協力を活用しつつ、持続可能な農業モデルを開発することで、将来的に安定した生産を実現することが期待されます。