Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、ガボンのバナナ生産量は1961年の10,000トンから2022年の18,282トンへと成長を遂げています。この期間を通じて、生産量の増減が見られるものの、特に2000年代以降、生産量は急激に増加しています。近年は微増の傾向を示しながらも18,000トン前後の水準を維持しております。
ガボンのバナナ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 18,273 |
-0.05% ↓
|
2022年 | 18,282 |
0.71% ↑
|
2021年 | 18,153 |
0.69% ↑
|
2020年 | 18,029 |
-0.52% ↓
|
2019年 | 18,124 |
5.33% ↑
|
2018年 | 17,207 |
-1.14% ↓
|
2017年 | 17,406 |
-1.36% ↓
|
2016年 | 17,647 |
-3.11% ↓
|
2015年 | 18,213 |
4.16% ↑
|
2014年 | 17,485 |
1.41% ↑
|
2013年 | 17,242 |
1.42% ↑
|
2012年 | 17,000 |
1.19% ↑
|
2011年 | 16,800 |
1.82% ↑
|
2010年 | 16,500 |
10% ↑
|
2009年 | 15,000 |
7.6% ↑
|
2008年 | 13,940 |
7.23% ↑
|
2007年 | 13,000 |
4.3% ↑
|
2006年 | 12,464 |
3.76% ↑
|
2005年 | 12,012 |
-4.06% ↓
|
2004年 | 12,521 |
0.66% ↑
|
2003年 | 12,439 |
-1.42% ↓
|
2002年 | 12,618 |
2.16% ↑
|
2001年 | 12,351 |
2.92% ↑
|
2000年 | 12,000 |
4.35% ↑
|
1999年 | 11,500 |
4.55% ↑
|
1998年 | 11,000 |
4.76% ↑
|
1997年 | 10,500 |
2.58% ↑
|
1996年 | 10,236 |
2.36% ↑
|
1995年 | 10,000 |
2.15% ↑
|
1994年 | 9,789 |
1.92% ↑
|
1993年 | 9,605 |
2.24% ↑
|
1992年 | 9,395 |
2.32% ↑
|
1991年 | 9,182 |
2.02% ↑
|
1990年 | 9,000 |
5.88% ↑
|
1989年 | 8,500 | - |
1988年 | 8,500 | - |
1987年 | 8,500 | - |
1986年 | 8,500 |
6.25% ↑
|
1985年 | 8,000 | - |
1984年 | 8,000 | - |
1983年 | 8,000 | - |
1982年 | 8,000 | - |
1981年 | 8,000 | - |
1980年 | 8,000 | - |
1979年 | 8,000 | - |
1978年 | 8,000 | - |
1977年 | 8,000 | - |
1976年 | 8,000 | - |
1975年 | 8,000 |
3.9% ↑
|
1974年 | 7,700 |
10% ↑
|
1973年 | 7,000 | - |
1972年 | 7,000 | - |
1971年 | 7,000 |
16.67% ↑
|
1970年 | 6,000 | - |
1969年 | 6,000 | - |
1968年 | 6,000 |
20% ↑
|
1967年 | 5,000 | - |
1966年 | 5,000 | - |
1965年 | 5,000 |
-16.67% ↓
|
1964年 | 6,000 |
-25% ↓
|
1963年 | 8,000 | - |
1962年 | 8,000 |
-20% ↓
|
1961年 | 10,000 | - |
ガボンはアフリカ中央部に位置する小さな国ですが、その農業分野、とりわけバナナ生産は国内経済と食糧自給において重要な役割を果たしています。バナナは現地の主食としても消費されるため、国内需要と農業政策の変化が生産量に直接影響を与えてきました。
データを振り返ると、1960年代は10,000トンをピークに減少が目立ち、1970年台からは8,000トン前後で生産量がほぼ停滞しました。この減少と停滞は、おそらく農業技術の発展が遅れたことやインフラ整備の未成熟、さらには地政学的要因による不安定な政策環境が影響したと考えられます。この時期、ガボンはフランスから独立して間もなく、農業政策が十分には確立されていなかったのが要因の一つかもしれません。
1980年代以降、徐々に安定した成長が観察され、1990年代には再び10,000トンの水準を回復しました。この増加の要因として、農業支援プログラムの導入や都市部でのバナナ需要の増大などが考えられます。また、人口増加や輸送技術の改善によって、内外市場への供給がスムーズになったことも一つの要因でしょう。
2000年代には、ガボンのバナナ生産量はさらに拡大し、2010年台の中ごろには17,000トン台に達しました。この成長は近代的な農業手法の適用や、特定地域での生産性向上による競争力の強化によるものです。特に、灌漑技術の導入や耐病性の高い品種の導入が、安定した生産を実現させたと考えられます。しかし、2016年以降のデータを見ると、成長がやや鈍化し、17,000~18,000トンの範囲で横ばいとなっています。この要因には、新型コロナウイルス感染症の流行による物流の混乱や農業労働力の不足が影響を与えた可能性があります。
課題としては、現在の横ばい状態を打破し、持続的な成長を実現するにはいくつかの課題を解決する必要があります。まず、栽培技術のさらなる向上とインフラ整備を進めることが重要です。例えば、生産性を高めるためにスマート農業といったデジタル技術を活用することが考えられます。また、輸送インフラの整備を強化することで、内外市場への供給網を改善し、生産者の収益を向上させることも必要です。
さらに、地政学的リスクや気候変動も大きな影響を与える可能性があるため、耐気候性作物の開発や持続可能な農業政策へのシフトが求められます。特に、干ばつや洪水といった自然災害の増加に備えた災害対応計画を策定する必要があります。そして、長期的には地域間での国際協力を推進し、中央アフリカ全体での農業力を強化する取り組みも欠かせません。
データが示すように、ガボンのバナナ生産量は過去数十年で着実に成長を遂げてきましたが、その成長には一定の停滞期や課題も存在しています。将来に向けては、技術革新や国際協力を活用しながら、地方の農民が直面する課題を解消し、より高効率で持続可能な農業を実現することが重要です。