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パプアニューギニアのバナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、パプアニューギニアのバナナ生産量は長期的に増加傾向を示しています。1961年の310,000トンから始まり、2022年には1,227,633トンに達しました。特に1970年代以降、生産量は安定しつつも着実に上昇し、2010年代後半以降は横ばいの傾向が見られます。この成長の背景には、国内の農業技術の向上や世界的なバナナ需要の増加があると考えられます。しかし、生産量の伸びが最近緩やかになっている点には注意が必要です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,250,164
1.84% ↑
2022年 1,227,633
0.18% ↑
2021年 1,225,376
-0.08% ↓
2020年 1,226,313
-0.4% ↓
2019年 1,231,211
1.03% ↑
2018年 1,218,604
-0.86% ↓
2017年 1,229,123
-1.35% ↓
2016年 1,245,908
-0.42% ↓
2015年 1,251,160
-4.94% ↓
2014年 1,316,185
5.53% ↑
2013年 1,247,211
5.7% ↑
2012年 1,180,000
7.27% ↑
2011年 1,100,000
4.76% ↑
2010年 1,050,000
7.14% ↑
2009年 980,000
1.03% ↑
2008年 970,000
3.19% ↑
2007年 940,000
2.17% ↑
2006年 920,000
2.22% ↑
2005年 900,000
2.27% ↑
2004年 880,000
1.15% ↑
2003年 870,000
1.16% ↑
2002年 860,000
3.37% ↑
2001年 832,000
2.72% ↑
2000年 810,000
2.53% ↑
1999年 790,000
2.8% ↑
1998年 768,500
1.79% ↑
1997年 755,000
2.3% ↑
1996年 738,000
3.94% ↑
1995年 710,000
3.12% ↑
1994年 688,500
3.22% ↑
1993年 667,000
5.54% ↑
1992年 632,000
3.61% ↑
1991年 610,000
1.67% ↑
1990年 600,000
4.35% ↑
1989年 575,000
4.55% ↑
1988年 550,000
10% ↑
1987年 500,000
11.11% ↑
1986年 450,000
-4.26% ↓
1985年 470,000
2.17% ↑
1984年 460,000
2.22% ↑
1983年 450,000
-5.16% ↓
1982年 474,500
1.82% ↑
1981年 466,000
1.75% ↑
1980年 458,000
5.9% ↑
1979年 432,500
-1.7% ↓
1978年 440,000
3.53% ↑
1977年 425,000
-5.56% ↓
1976年 450,000
9.76% ↑
1975年 410,000
-7.87% ↓
1974年 445,000
21.92% ↑
1973年 365,000
-6.41% ↓
1972年 390,000
1.96% ↑
1971年 382,500
-1.92% ↓
1970年 390,000
2.63% ↑
1969年 380,000
2.01% ↑
1968年 372,500
2.05% ↑
1967年 365,000
7.35% ↑
1966年 340,000
4.62% ↑
1965年 325,000
-4.41% ↓
1964年 340,000
3.03% ↑
1963年 330,000
3.13% ↑
1962年 320,000
3.23% ↑
1961年 310,000 -

パプアニューギニアのバナナ生産は、国の農業産業を代表する主要な部門の一つです。バナナは地元食文化において重要な役割を果たしており、同時に輸出品目としても考えられます。FAOのデータを見ると、1961年には310,000トンだった生産量が、特に1980年代後半から急速に増加を始め、1990年には600,000トンを突破しました。その後、2000年代後半から2010年代にかけてはさらに増加ペースが上がり、2012年には1,180,000トンに達しています。これは国内の農業政策の改善や、耕作面積の拡大、農地周辺のインフラ改善が貢献した可能性があります。

しかし、2015年以降になると増加の勢いが鈍化し、2018年以降はほぼ横ばいの傾向が見られます。この背景には、土地の利用限界、生態学的要因、気候変動の影響、さらには農業労働力の減少などが挙げられます。その一方で、バナナ生産量が中国(2022年時点で1億2000万トン以上)やインドのような主要生産国と比較すると、パプアニューギニアの生産規模が小さいことも目立ちます。

地理的にパプアニューギニアは赤道近くに位置し、高温多湿の気候がバナナの栽培に適しています。しかし、この地域特有の地政学的リスクや自然災害はバナナ生産に大きな影響を与えます。熱帯低気圧や洪水などの自然災害によって農地が被害を受ける現象が頻繁に発生します。また、雨季と乾季による水リソースの偏りが収穫を妨げる場合もあります。さらに、国際的な移動制限が伴った新型コロナ感染拡大の影響は、輸出の停滞や物流面での問題を引き起こし、生産者にとって大きな打撃となりました。

課題としては、近年の気候変動が作物の病害虫発生リスクを高め、生産に応じた適切な管理が必要だという点も挙げられます。また、生産拡大の障害となるのは農地の資源不足や、農村地域の教育・技術不足です。競争力を高めるには技術革新が必須であり、現地の生産者に対する農業指導の強化が求められるでしょう。

今後の具体的な対策としては、気候変動に対応する耐性を持つ新品種の導入や、持続可能な農業方法の確立が不可欠です。さらに農業用水の効率的な利用を促進するために、水管理システムの改善も重要です。輸出競争力を上げるためには、生産品の品質管理体制を整え、外国市場の需要に合ったマーケティング戦略を導入する必要があります。そして、国際的なパートナーシップの構築を通じて技術援助を取り入れることが、持続的な成長につながる鍵となるでしょう。

結論として、パプアニューギニアのバナナ生産は過去数十年で著しい成長を遂げてきましたが、近年は停滞傾向があります。この問題を乗り越えるためには、気候変動対応型の農業技術導入や、農民支援の充実が決定的な役割を果たすでしょう。内外の課題を効果的に解決するために、政府や国際機関の関与がより一層求められると言えます。