Skip to main content

カーボベルデのバナナ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、カーボベルデのバナナ生産量は1961年の4,000トンから2022年の4,628トンまで、約60年以上にわたる変動が確認されています。特に、2013年から2017年にはバナナ生産量が10,000トンを超える一方、2018年以降は急激な減少が見られます。これは干ばつや土地劣化などの環境要因に加え、経済的・社会的背景が影響を及ぼしていると考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 4,628
2021年 4,930
2020年 5,553
2019年 6,631
2018年 7,509
2017年 10,416
2016年 10,443
2015年 10,300
2014年 10,534
2013年 10,033
2012年 9,560
2011年 9,100
2010年 7,000
2009年 7,000
2008年 7,000
2007年 7,000
2006年 6,600
2005年 6,300
2004年 6,180
2003年 6,037
2002年 5,898
2001年 6,138
2000年 6,094
1999年 6,251
1998年 6,182
1997年 6,117
1996年 6,000
1995年 6,000
1994年 5,200
1993年 6,600
1992年 6,000
1991年 6,000
1990年 6,000
1989年 5,700
1988年 5,400
1987年 4,500
1986年 3,700
1985年 5,000
1984年 3,000
1983年 3,000
1982年 3,000
1981年 6,000
1980年 7,000
1979年 7,500
1978年 9,000
1977年 6,800
1976年 4,500
1975年 3,000
1974年 3,500
1973年 4,690
1972年 5,187
1971年 5,409
1970年 8,324
1969年 9,291
1968年 6,889
1967年 6,470
1966年 5,737
1965年 7,272
1964年 6,000
1963年 4,000
1962年 4,000
1961年 4,000

カーボベルデのバナナ生産量推移を見ると、過去数十年間にわたり、生産量が周期的に増減を繰り返していることがわかります。初期の1960年代から1970年代前半は生産量が6,000~9,000トンの範囲で増減を示しましたが、1970年代後半以降には3,000トン前後まで減少していることが特徴的です。その後、1980年代後半から1990年代中盤にかけては比較的安定した供給が続き、1995年以降にはおおよそ6,000トン程度の数字が維持されました。2007年後には前向きな成長期に入り、2013年から2017年には10,000トンを超える記録的な数値が継続しましたが、2018年以降に急速な収量減少が生じ、2022年には4,628トンにまで落ち込みました。

特に目を引くのは、2017年から2022年の短期間で、生産量が10,416トンから4,628トンへと半減したことです。この減少の背景には、気候変動の影響が大きく関わっていると考えられます。カーボベルデはサヘル地帯付近に位置し、元来乾燥した地域であり、降雨量の少なさが農業生産、特にバナナのような水を多く必要とする作物に大きな影響を及ぼします。また、国土の大部分が火山性の土壌である一方で、その保水力が低いため、干ばつの影響がより顕著に現れている可能性があります。

さらに、経済および社会的要因も、この長期的な生産量の減少につながっていると考えられます。カーボベルデは国内総生産(GDP)が小さく、農業分野への政府投資が限られている状況にあり、灌漑施設や気候適応技術の導入が進んでいない可能性があります。これにより、農家が十分な資源やインフラを利用できず、気候変動への対応が遅れている現状が見受けられるでしょう。また、若者の農村離れや熟練労働者の不足も、現地の農業に負の影響を与えている要因の一つとして挙げられます。

過去の推移から見ると、政策および技術の改善次第では回復の可能性があることも示唆されています。2013年から2017年のような好調な時期には、新たな灌漑プロジェクトや栽培技術の改良、さらには市場への輸出振興の取り組みなどが進んでいたと推測されます。これらの成功事例を踏まえ、今後の対策としては、灌漑システムの高度化や土壌管理効率の向上に重点を置くべきです。例えば、ドリップ灌漑技術の普及や淡水化プラントの活用など、現地の気候条件に合った持続可能な農業技術が求められます。また、若年層への農業教育プログラムの充実や、政府による農業補助金の増加は、技術と労働力を強化し、バナナ生産の安定性を高める可能性があります。

地政学的な観点では、カーボベルデの主要な輸出市場が地域内や欧州各国であることを考慮すると、気候変動の影響が輸出量の低下につながるリスクがあります。これにより、経済的な収入が減少し、その結果、食料安全保障や国全体の経済安定にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、地域間協力の枠組みを活用した気候変動戦略の設立や、国際援助による農業支援プログラムの強化が重要となります。

最後に、疫病や自然災害との関連にも留意が必要です。作物特有の病害虫や気候による問題を予防するためには、定期的な作物モニタリング制度や迅速な薬剤供給システムの設立が不可欠です。また、これに加え、グローバルな環境協力の強化と、国際機関との連携を密接にし、気候変動リスクの緩和と生産量の持続可能な回復を同時に目指していくべきと考えられます。

カーボベルデにおけるバナナ生産量の変動は、自然的影響、社会的背景、政策対応の複合的な結果として現れており、未来の持続的な農業発展を達成するためには、一層の包括的な政策と技術進歩が求められるでしょう。