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フィリピンのバナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年に更新したデータによると、フィリピンのバナナ生産量は1961年の約104万トンから、2009年には約901万トンと急増しました。しかし、それ以降は増減が交互に現れ、2014年には大幅に減少し約571万トンに落ち込み、その後も低迷しています。直近の2022年には約590万トンと長期的な減少傾向が続いています。このデータはフィリピンが世界有数のバナナ輸出国としての地位を持つ一方で、生産環境や外部要因がその安定性に影響を与えている状況を反映しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 5,871,408
-0.48% ↓
2022年 5,899,705
-0.72% ↓
2021年 5,942,215
-0.22% ↓
2020年 5,955,311
-1.56% ↓
2019年 6,049,601
-1.54% ↓
2018年 6,144,374
1.7% ↑
2017年 6,041,369
3.64% ↑
2016年 5,829,142
-0.19% ↓
2015年 5,840,124
2.33% ↑
2014年 5,707,074
-33.99% ↓
2013年 8,646,417
-6.29% ↓
2012年 9,226,768
0.67% ↑
2011年 9,165,046
0.7% ↑
2010年 9,101,341
0.98% ↑
2009年 9,013,186
3.75% ↑
2008年 8,687,624
16.08% ↑
2007年 7,484,073
10.15% ↑
2006年 6,794,564
7.88% ↑
2005年 6,298,225
11.84% ↑
2004年 5,631,250
4.88% ↑
2003年 5,368,977
1.78% ↑
2002年 5,274,826
4.26% ↑
2001年 5,059,360
2.63% ↑
2000年 4,929,570
7.85% ↑
1999年 4,570,640
11.3% ↑
1998年 4,106,698
-6.83% ↓
1997年 4,407,665
4.22% ↑
1996年 4,229,142
-0.17% ↓
1995年 4,236,253
8.17% ↑
1994年 3,916,386
2.81% ↑
1993年 3,809,372
2.3% ↑
1992年 3,723,887
1.68% ↑
1991年 3,662,305
3.47% ↑
1990年 3,539,616
10.95% ↑
1989年 3,190,324
-12.48% ↓
1988年 3,645,135
-3.57% ↓
1987年 3,780,135
-1.35% ↓
1986年 3,831,728
3.42% ↑
1985年 3,704,928
-3.79% ↓
1984年 3,850,808
4.49% ↑
1983年 3,685,381
-9.4% ↓
1982年 4,067,926
1.8% ↑
1981年 3,996,064
-2.38% ↓
1980年 4,093,401
4.23% ↑
1979年 3,927,457
17.56% ↑
1978年 3,340,673
29.36% ↑
1977年 2,582,429
17.75% ↑
1976年 2,193,181
6.19% ↑
1975年 2,065,333
35.14% ↑
1974年 1,528,330
32.04% ↑
1973年 1,157,499
-17.33% ↓
1972年 1,400,115
-5.39% ↓
1971年 1,479,837
12.89% ↑
1970年 1,310,815
20.06% ↑
1969年 1,091,770
11.85% ↑
1968年 976,084
-3.11% ↓
1967年 1,007,398
0.8% ↑
1966年 999,364
4.14% ↑
1965年 959,650
-3.45% ↓
1964年 993,940
-3.03% ↓
1963年 1,025,050
-0.57% ↓
1962年 1,030,900
-0.98% ↓
1961年 1,041,060 -

フィリピンのバナナ生産量推移を分析すると、特に1970年代から1980年代にかけての生産量の急激な増加が注目されます。この時期は、商業的農業の発展と輸出市場の拡大が主要な要因となりました。1975年には約206万トンだった生産量が、1980年には約409万トンに達し、この10年間でおよそ2倍に成長しました。この成長は、ダバオ地方を中心とした商業農場の整備と、日本や中東などの輸出先市場の需要拡大によるものです。

しかし、2009年以降、生産量は伸び悩むどころかやや減少傾向にあります。特に2014年の約571万トンへの急減は、台風による被害やバナナの主要病害であるパナマ病の広がりに起因しています。これらの問題は、農業経済を支える地域に甚大な影響を与え、長期的にはバナナの供給量確保に影響を与えかねないリスクを示しています。

また、2020年以降の減少は、新型コロナウイルスパンデミックの影響が含まれます。労働力確保の制約や輸出ロジスティクスの混乱が生産と供給に大きなダメージを与えました。加えて、近年の気候変動に伴う自然災害の頻度と強度の増加や、地政学的な輸出市場の競争環境もフィリピンのバナナ産業の持続性に課題を投げかけています。

興味深い点として、日本など一部の国の市場では、フィリピン産バナナが価格と品質の面で他国産に優位性を持っています。しかし、エクアドルやコロンビアといったラテンアメリカ産バナナの世界的な輸出競争力も強大であり、特に物流コストや為替レートの変動が優位性に影響を与えています。

今後の課題として、主要な生産地域における病害対策の強化と環境的持続可能性の確保が挙げられます。例えば、パナマ病への対応として耐病性の高いバナナ品種の導入や、環境にやさしい農法へのシフトが必要です。また、農業労働者の生活環境改善や教育の充実によって、持続可能な農業経営を促進すべきです。さらに、国際機関や諸外国との連携を強化し、気候変動緩和や災害リスク軽減のための優先的資金の導入についても検討が求められます。

結論として、このデータはフィリピンが世界の農業市場、特にバナナ生産において重要な役割を果たしていることを示しています。しかし、今後の課題を解決するためには、国内の農業政策の見直しと国際協力の強化が必要です。持続可能な生産を達成することで、フィリピンは引き続きバナナ輸出国としての地位を維持する可能性があります。