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ニカラグアのバナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ニカラグアのバナナ生産量は1961年から2022年にかけて大きな変動を見せてきました。特に1973年から1978年にかけて15万トン以上の高い生産量を記録していたものの、1980年代以降は概ね10万トン前後に減少しました。近年では、2016年から2018年において一時的に10万トンを上回る生産量に達しながらも、2022年には89,585トンにまで減少しています。この生産量の変動は、地政学的、気候的要因や国内の農業政策の影響を反映していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 90,616
1.15% ↑
2022年 89,585
-13.74% ↓
2021年 103,855
1.2% ↑
2020年 102,628
3.9% ↑
2019年 98,773
-9.24% ↓
2018年 108,834
-3.61% ↓
2017年 112,910
6.08% ↑
2016年 106,438
35.8% ↑
2015年 78,379
29.9% ↑
2014年 60,339
62.42% ↑
2013年 37,149
-9.11% ↓
2012年 40,874
2.89% ↑
2011年 39,727
12.82% ↑
2010年 35,214
-24.43% ↓
2009年 46,595
28.41% ↑
2008年 36,285
-18.26% ↓
2007年 44,391
4.08% ↑
2006年 42,649
-14.56% ↓
2005年 49,915
-4.53% ↓
2004年 52,284
-11.36% ↓
2003年 58,983
4.64% ↑
2002年 56,366
-11.84% ↓
2001年 63,937
32.21% ↑
2000年 48,359
-35.58% ↓
1999年 75,073
-14.56% ↓
1998年 87,867
19.71% ↑
1997年 73,397
-24.17% ↓
1996年 96,797
49.85% ↑
1995年 64,594
6.84% ↑
1994年 60,458
10.84% ↑
1993年 54,545
-59.46% ↓
1992年 134,537
1.41% ↑
1991年 132,663
20.76% ↑
1990年 109,860
6.78% ↑
1989年 102,882
8.22% ↑
1988年 95,064
-11.92% ↓
1987年 107,934
-6.12% ↓
1986年 114,969
-1.66% ↓
1985年 116,913
-12.23% ↓
1984年 133,211
53.97% ↑
1983年 86,515
-29.02% ↓
1982年 121,882
5% ↑
1981年 116,079
-22.61% ↓
1980年 150,000 -
1979年 150,000
-4.46% ↓
1978年 157,000
2.28% ↑
1977年 153,500
0.46% ↑
1976年 152,800
-0.26% ↓
1975年 153,200
3.58% ↑
1974年 147,900
13.51% ↑
1973年 130,300
102.49% ↑
1972年 64,350
114.5% ↑
1971年 30,000
-16.67% ↓
1970年 36,000
-42.86% ↓
1969年 63,000 -
1968年 63,000
2.94% ↑
1967年 61,200
135.38% ↑
1966年 26,000
44.44% ↑
1965年 18,000
-52.63% ↓
1964年 38,000 -
1963年 38,000
26.67% ↑
1962年 30,000
25% ↑
1961年 24,000 -

ニカラグアのバナナ生産量の推移を振り返ると、1960年代から1970年代にかけて急激な増加を見せた時期と、1980年代以降の減少から停滞傾向、そして近年の再増加と減少の両局面があることがわかります。例えば、1970年代半ばには15万トン以上で安定していた生産量が、1980年になると一転して減少を開始しました。この背景には、1979年のニカラグア革命があり、社会構造と農業基盤の変化が大きく影響したと考えられます。革命後の政策不安定性や農業インフラの整備不足が、重要な農産物であるバナナの生産に影響を与えました。

1980年代から1990年代における生産量の低迷は、度重なる自然災害や内戦後の経済の脆弱性に起因しています。この地域は、ハリケーンや洪水による被害を受けやすく、自然災害が生産の規模や収益に直接的な打撃を与えることが少なくありませんでした。また、この時期の生産量低下は、バナナの輸出市場の変化や競争の激化による影響も無視できません。近隣諸国であるエクアドルやコスタリカなどが効率的な生産体制を整えたことで、ニカラグアの競争力は相対的に弱体化しました。

2016年から2018年にかけて10万トンを超える回復を記録した時期は、政府支援による農業改革や気候条件の改善、輸出市場の回復が寄与したと考えられます。しかし、その後の減少は、2020年以降の新型コロナウイルス感染症がサプライチェーンに与えた影響、ならびに世界的な経済停滞が大きな原因です。さらに、2022年には気候変動による干ばつや病害虫の被害が重なり、生産量の減少につながりました。

こうした現状から、ニカラグアのバナナ生産には3つの大きな課題が浮かび上がります。まず、自然災害や気候変動に対応する農業技術の導入が急務です。例えば、高耐性のバナナ品種の研究開発や灌漑技術の普及を進めるべきです。次に、インフラ整備と物流の改善が必要です。バナナ輸送の効率化を図ることで、国際市場での競争力が高まります。また、国際市場の多角化も重要です。依存先を特定の国に限定するのではなく、新たな輸出先を開拓し、リスクを分散するべきです。

これらの取り組みに加え、周辺諸国との協力体制の強化も鍵となります。既に成功例があるコスタリカやエクアドルの方法を参考に、地域間での技術共有や共同プロジェクトを通じて、生産性の向上を図ることが可能です。さらに、地政学的には、大国の経済圧力や輸出規制の緩和交渉にも注力し、ニカラグアの農業産品が不利な立場に追い込まれないようにする必要があります。

今後、バナナ生産量の安定と増加を目指すためには、農業への投資を拡大し、持続可能な農業を実現するための政策を強化することが求められます。そのためには、国のみならず国際的な支援機関との連携が欠かせません。特に、気候変動対策としての環境支援や技術援助を利用することで、ニカラグア農業の再成長が期待されます。