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イエメンのバナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点の最新データによると、イエメンのバナナ生産量は1961年の10,000トンから始まり、2022年には138,744トンに達しました。この約60年の間で、大きな増加傾向が見られましたが、経済や地政学的な課題、気候変動の影響により時折、減少傾向もみられる複雑な推移を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 131,147
-5.48% ↓
2022年 138,744
5% ↑
2021年 132,142
7.09% ↑
2020年 123,395
6.1% ↑
2019年 116,300
6.46% ↑
2018年 109,242
-6.3% ↓
2017年 116,581
-0.13% ↓
2016年 116,732
-2.09% ↓
2015年 119,229
-4.65% ↓
2014年 125,040
-1.02% ↓
2013年 126,332
-0.89% ↓
2012年 127,468
-1.45% ↓
2011年 129,337
-3.01% ↓
2010年 133,352
0.71% ↑
2009年 132,418
2.81% ↑
2008年 128,796
7% ↑
2007年 120,370
7% ↑
2006年 112,495
25.13% ↑
2005年 89,905
5.08% ↑
2004年 85,555
-13.59% ↓
2003年 99,010
1.95% ↑
2002年 97,113
1.31% ↑
2001年 95,860
6.39% ↑
2000年 90,099
1.48% ↑
1999年 88,787
4.32% ↑
1998年 85,110
7.08% ↑
1997年 79,480
1.02% ↑
1996年 78,675
1.69% ↑
1995年 77,370
4.96% ↑
1994年 73,716
-5.92% ↓
1993年 78,353
34.59% ↑
1992年 58,216
12.07% ↑
1991年 51,944
3.67% ↑
1990年 50,104
3.85% ↑
1989年 48,245
5.61% ↑
1988年 45,681
8.28% ↑
1987年 42,187
12.91% ↑
1986年 37,363
6.75% ↑
1985年 35,000
9.38% ↑
1984年 32,000
14.29% ↑
1983年 28,000
12% ↑
1982年 25,000
8.7% ↑
1981年 23,000
-8.73% ↓
1980年 25,200
4.69% ↑
1979年 24,070
17.41% ↑
1978年 20,500
2.5% ↑
1977年 20,000
5.27% ↑
1976年 18,999
1.63% ↑
1975年 18,694
1.09% ↑
1974年 18,492
1.11% ↑
1973年 18,289
68.22% ↑
1972年 10,872
-42.16% ↓
1971年 18,797
42.3% ↑
1970年 13,209
8.33% ↑
1969年 12,193
-20% ↓
1968年 15,241 -
1967年 15,241 -
1966年 15,241
8.86% ↑
1965年 14,000
7.69% ↑
1964年 13,000
8.33% ↑
1963年 12,000
9.09% ↑
1962年 11,000
10% ↑
1961年 10,000 -

イエメンにおけるバナナ生産は農業セクターの重要な一部を構成しており、生計と国内消費を支えるとともに、輸出機会を探る農産物でもあります。データを俯瞰すると、1961年の10,000トンの生産から1980年まで持続的な成長を見せ、1980年には25,200トンに到達しました。1990年代以降、この成長ペースは加速し、1993年には78,353トンと、一気に5万トン以上の増加を記録しています。この急激な成長は、イエメン国内の農業インフラ整備と、十分な降水量などの気候条件に恵まれた一時的な繁栄によるものと考えられます。

しかし2004年以降は、気候変動や水資源不足、さらには国内の政治的不安定さが影響し、生産量の変動が激しくなり、長期的な停滞期に入る兆候を見せています。たとえば、2011年以降は一時的に生産量の減少が見られ、2018年には109,242トンと2010年のピークである133,352トンから大幅な低下を記録しました。近年は再び持ち直し、2022年には138,744トンとなりましたが、安定感に欠ける状況です。

このような推移を示す背景には、いくつかの複雑な要因があります。まず、イエメンが直面している地政学的なリスクが農業経済全体に影を落としています。国内では長年の紛争が続き、安全な農地確保や農業用水インフラの維持が難しい状態が続いています。加えて、気候変動の影響による降水量の減少や洪水の頻発、灌漑設備の老朽化も課題となっています。

また、イエメンの農業の多くが小規模農家に支えられている一方、農業技術の近代化が進んでおらず、生産効率の向上を妨げています。さらに紛争時には交通インフラが悪化するため、バナナのように鮮度が求められる農産物が市場に届くまでに痛みや損耗が発生しやすいことも考慮すべき点です。

これらの課題を受けて、未来に向けた具体的な対策として、水資源管理の改善や農業技術の近代化が急務です。灌漑システムのアップデートに加え、耐干ばつ性のあるバナナ品種の導入や、気候変動適応策を講じることで、自然災害の影響を抑えることが期待されます。また、地域の人々の農業教育を強化し、持続可能な農業モデルを導入することが不可欠です。さらには、国際機関や周辺国との協力を通じて、安全保障の問題を解決し、農業にとって安定した環境を作り出すことも求められています。

イエメンのバナナ生産が今後さらに安定し成長するためには、これらの要因を包括的に改善していく必要があります。気候変動、地政学的リスク、そして技術不足という3つの大きな課題に取り組むことが、同国農業の未来を明るくする鍵となるでしょう。この取り組みが成功すれば、バナナはイエメンの国内食料安全保障への貢献を超え、国際市場における重要な輸出品に成長する可能性も秘めています。