Skip to main content

バハマのバナナ生産量推移(1961-2022)

FAO(国際連合食糧農業機関)による最新データによると、バハマのバナナ生産量は1961年に3,500トンという規模から始まり、初期には順調な成長を見せ、1984年には7,800トンに達しました。しかしその後、1990年以降の数年間で急激な減少が見られ、1997年には757トンという記録的な低水準にまで落ち込みました。2000年以降は緩やかな回復を経て、2010年以降は安定的に増加し、2018年には10,197トンとピークに達しています。その後、2018年以降はおおむね10,000トン台での安定した推移が続いています。

年度 生産量(トン)
2022年 10,114
2021年 10,135
2020年 10,122
2019年 10,086
2018年 10,197
2017年 10,084
2016年 9,976
2015年 9,884
2014年 9,892
2013年 9,661
2012年 9,462
2011年 9,419
2010年 8,226
2009年 6,500
2008年 6,500
2007年 5,000
2006年 3,750
2005年 3,500
2004年 3,500
2003年 3,400
2002年 3,200
2001年 3,315
2000年 3,250
1999年 3,471
1998年 895
1997年 757
1996年 2,857
1995年 3,140
1994年 2,857
1993年 3,800
1992年 4,500
1991年 5,000
1990年 5,500
1989年 6,400
1988年 6,700
1987年 7,000
1986年 7,800
1985年 7,800
1984年 7,800
1983年 7,700
1982年 7,600
1981年 7,500
1980年 7,480
1979年 7,440
1978年 7,439
1977年 6,700
1976年 6,600
1975年 6,400
1974年 6,250
1973年 6,100
1972年 5,900
1971年 5,800
1970年 5,600
1969年 5,400
1968年 5,100
1967年 4,900
1966年 4,700
1965年 4,500
1964年 4,300
1963年 4,100
1962年 3,800
1961年 3,500

バハマのバナナ生産量の推移を見ると、1961年から1984年にかけては一貫した上昇傾向が確認されます。これは、おそらく農業技術の進化、生産体制の拡充、国内外の市場需要増といったポジティブな要因によるものでしょう。しかし、1987年以降、急激な生産量の減少が見られます。この背景にはいくつかの要因が考えられます。主に自然災害や病害虫の発生、あるいは国内農業政策の変化や輸入バナナとの競争が挙げられます。同時期に世界的にも気候変動が顕著になりつつあり、これがバハマの農産物生産に悪影響を及ぼした可能性もあります。

1997年にはわずか757トンまで落ち込んでおり、この原因は特に興味深いといえます。この時期、他のカリブ海諸国でも農業基盤の弱体化が報告されており、バハマもその影響を受けたと考えられます。また、政治的不安定や地政学的リスクも関連している可能性があります。このような減産は地域経済全体にも大きな影響を与えるため、農業のサポートや国際協力が重要だった時期といえるでしょう。

その後の2000年代以降、特に2010年からの段階ではバナナ生産量の再活性化が見られます。この回復傾向は、気候変動対策への取り組みや農業インフラの再整備、種苗技術の見直しといった施策が奏功した結果と考えられます。また、2018年以降は10,000トンを超える安定的な生産量を保っており、現在の水準はバハマの地理的特徴や資源分配に照らして見れば最適な規模と言えるかもしれません。

一方で、いくつかの課題も残されています。第一に、バハマは気候変動に非常に脆弱な位置にあります。ハリケーンや干ばつの頻発が予想される中、気象変動への具体的な適応策を講じる必要があります。例えば、災害に強いバナナ品種の研究・導入や、農地の水資源管理の強化が挙げられるでしょう。また、国際価格の変動や競合国との競争にも適切に対応するため、高付加価値バナナの生産や有機農業の促進も戦略としては有望です。

さらに、地域協力の視点も重要です。カリブ海地域全体での協力体制の構築は、生産者間のリソース共有や市場の拡大に寄与し得ます。この点では、地域内での共通マーケティング施策や災害時の緊急支援協力枠組みが具体的な成果をもたらすでしょう。

結論として、バハマのバナナ生産は過去に低迷期を経験したものの、現在では安定した成長基調にあるといえます。ただし、将来的な気候変動や国際的な経済動向によるリスクに備えるため、災害対策の増強や産業構造の多様化、そして地域間協力の強化が求められます。国際機関や周辺諸国とのパートナーシップを構築しながら、経済的にも環境的にも持続可能な農業モデルを確立することが鍵となるでしょう。