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カメルーンのバナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、カメルーンのバナナ生産量は1961年の154,200トンから始まり、2013年の1,600,231トンまで一貫した長期的な増加傾向を見せました。しかし、2014年以降は一時的な回復を挟みつつも減少傾向に転じ、2022年には878,280トンと10年前のピークから約45%減少しました。この推移は、カメルーン国内の経済的、地政学的、環境的要因が複合的に影響を与えている可能性を示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 865,231
-1.49% ↓
2022年 878,280
-3.61% ↓
2021年 911,155
-3.9% ↓
2020年 948,175
-6.76% ↓
2019年 1,016,868
-0.05% ↓
2018年 1,017,363
-2.81% ↓
2017年 1,046,740
-6.41% ↓
2016年 1,118,479
3.3% ↑
2015年 1,082,800
1.42% ↑
2014年 1,067,636
-33.28% ↓
2013年 1,600,231
8.78% ↑
2012年 1,471,007
5.47% ↑
2011年 1,394,675
4.56% ↑
2010年 1,333,851
9.04% ↑
2009年 1,223,233
13.47% ↑
2008年 1,078,041
5.28% ↑
2007年 1,024,004
5.57% ↑
2006年 969,967
4.3% ↑
2005年 929,950
16.57% ↑
2004年 797,739
7.3% ↑
2003年 743,466
7.3% ↑
2002年 692,886
9.67% ↑
2001年 631,766
0.87% ↑
2000年 626,330
0.55% ↑
1999年 622,924
-14.61% ↓
1998年 729,514
-8.81% ↓
1997年 800,000
-18.86% ↓
1996年 985,990
0.61% ↑
1995年 980,000
3.16% ↑
1994年 950,000
5.56% ↑
1993年 900,000
5.88% ↑
1992年 850,000
6.25% ↑
1991年 800,000
11.25% ↑
1990年 719,100
12.97% ↑
1989年 636,535
4.02% ↑
1988年 611,914
0.11% ↑
1987年 611,260
-17.4% ↓
1986年 740,030
-2.46% ↓
1985年 758,727
8.27% ↑
1984年 700,763
4.59% ↑
1983年 670,000
3.08% ↑
1982年 650,000
8.33% ↑
1981年 600,000
9.09% ↑
1980年 550,000
10% ↑
1979年 500,000
11.11% ↑
1978年 450,000
12.5% ↑
1977年 400,000
14.29% ↑
1976年 350,000
16.67% ↑
1975年 300,000
15.38% ↑
1974年 260,000
8.33% ↑
1973年 240,000
20% ↑
1972年 200,000 -
1971年 200,000
5.26% ↑
1970年 190,000
18.75% ↑
1969年 160,000 -
1968年 160,000
14.29% ↑
1967年 140,000
7.69% ↑
1966年 130,000
-3.7% ↓
1965年 135,000
-6.9% ↓
1964年 145,000
2.11% ↑
1963年 142,000
-9.47% ↓
1962年 156,850
1.72% ↑
1961年 154,200 -

カメルーンのバナナ生産量は、1960年代から順調な増加を続け、特に1970年代後半から1980年代前半においては著しい伸びが観測されました。この時期、国内農業政策の強化や農地拡大が生産に寄与しました。1980年代中盤には生産量が700,000トンを超え、国内経済における重要な産業基盤としての地位を確立しました。

しかし、1986年以降の減少期は、国際市場の価格低迷やインフラ整備の不足が影響を与えたと考えられます。1990年代に入ると再び回復に向かう動きが見られ、1996年には980,000トンとピークを迎えましたが、その後の1997年以降は一連の経済政策の失敗や労働力不足を背景に、生産量の不安定化が起こりました。特に輸送インフラにおける課題や、国際競争力不足が顕著であった時期です。

2000年代に入ると、カメルーン政府は農業振興策を再び打ち出し、生産効率の向上や輸出市場の強化に取り組みました。その成果として2013年には歴史的ピークとなる1,600,231トンを記録しました。しかし、2014年以降のデータは下降傾向を示しており、2022年には878,280トンと大幅に減少しています。この背景には、北西・南西地域における武力衝突や、新型コロナウイルスの世界的流行による労働力不足が影響していると考えられます。また、気候変動がもたらす異常気象の影響や、国際市場での競争激化も要因として挙げられます。

地政学的にみても、カメルーンは近年、国内の政治的混乱や地域紛争に直面しています。特に南西部では農村部へのアクセスが困難となり、バナナの収穫や輸送の安定性が損なわれました。その影響で生産コストが上昇し、農家の収益が圧迫される状況が発生しています。また、カメルーンのバナナ産業は輸出指向性が強く、主な輸出先であるヨーロッパ市場では、環境基準や労働基準の厳格化が進行していることも課題です。

将来的には、持続可能な農業開発と生産技術の向上が必要です。まず、気候変動への適応策として、耐干ばつ性や病害虫への耐性を持つバナナ品種の開発が求められます。同時に輸送インフラの改善や、物流の効率化を通じて国内外への市場アクセスを確保することも重要です。さらに、環境基準を満たした生産プロセスの導入や、農業従事者への教育と支援を行うことで、効率性と収益性を向上させるべきです。

国際的な連携も不可欠です。特にカメルーンと近隣諸国による地域協力の枠組みを強化し、技術支援や資源の共有を進めることが、バナナ産業の安定化に寄与すると考えられます。加えて、新型コロナウイルスの影響を受けた労働力不足を解消するために、若者や女性の農業参加を促進する政策が望まれます。

結論として、カメルーンのバナナ生産量の推移は、持続可能な農業の在り方と、地政学的安定性がいかに重要であるかを示しています。国内政策の改革と、国際的な協力を利用した緊密な取り組みにより、再び安定した成長軌道に乗せることが期待されます。この点を踏まえ、カメルーン政府および国際機関が協力して対策を進める必要があります。