フランス領ポリネシアのバナナ生産量は、1961年から2022年までの期間において大きな変動を記録しました。初期の1960年代から1970年代にかけては着実な増加傾向が見られ、1977年には700トンに達しましたが、それ以降横ばい状態が続きました。その後、1983年から90年代後半にかけて急激な落ち込みと変動を経験し、一時的な回復を見せた2005年には972トンのピークを記録しました。しかし、2008年以降は著しい減少が始まり、2022年時点では211トンと過去最低水準に近い状態となっています。
フランス領ポリネシアのバナナ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 264 |
25.21% ↑
|
2022年 | 211 |
-0.49% ↓
|
2021年 | 212 |
0.42% ↑
|
2020年 | 211 |
0.62% ↑
|
2019年 | 210 |
-2.45% ↓
|
2018年 | 215 |
3.18% ↑
|
2017年 | 208 |
1.24% ↑
|
2016年 | 206 |
-3.56% ↓
|
2015年 | 213 |
1.73% ↑
|
2014年 | 210 |
-0.38% ↓
|
2013年 | 211 |
7.61% ↑
|
2012年 | 196 |
3.6% ↑
|
2011年 | 189 |
-19.97% ↓
|
2010年 | 236 |
96.67% ↑
|
2009年 | 120 |
-37.5% ↓
|
2008年 | 192 |
-66.14% ↓
|
2007年 | 567 |
1.61% ↑
|
2006年 | 558 |
-42.59% ↓
|
2005年 | 972 |
13.15% ↑
|
2004年 | 859 |
5.53% ↑
|
2003年 | 814 |
16.29% ↑
|
2002年 | 700 |
27.07% ↑
|
2001年 | 551 |
10.18% ↑
|
2000年 | 500 |
6.61% ↑
|
1999年 | 469 |
-7.5% ↓
|
1998年 | 507 |
-30.55% ↓
|
1997年 | 730 |
16.24% ↑
|
1996年 | 628 |
-10.8% ↓
|
1995年 | 704 |
1.15% ↑
|
1994年 | 696 |
15.81% ↑
|
1993年 | 601 |
17.15% ↑
|
1992年 | 513 |
-20.22% ↓
|
1991年 | 643 |
46.14% ↑
|
1990年 | 440 |
-16.98% ↓
|
1989年 | 530 |
15.22% ↑
|
1988年 | 460 |
-6.69% ↓
|
1987年 | 493 |
-28.96% ↓
|
1986年 | 694 |
-0.14% ↓
|
1985年 | 695 |
28.7% ↑
|
1984年 | 540 |
8% ↑
|
1983年 | 500 |
-28.57% ↓
|
1982年 | 700 | - |
1981年 | 700 | - |
1980年 | 700 | - |
1979年 | 700 | - |
1978年 | 700 | - |
1977年 | 700 |
2.94% ↑
|
1976年 | 680 |
4.62% ↑
|
1975年 | 650 |
3.17% ↑
|
1974年 | 630 |
5% ↑
|
1973年 | 600 |
5.26% ↑
|
1972年 | 570 |
3.64% ↑
|
1971年 | 550 |
2.8% ↑
|
1970年 | 535 |
2.88% ↑
|
1969年 | 520 |
4% ↑
|
1968年 | 500 |
3.09% ↑
|
1967年 | 485 |
2.11% ↑
|
1966年 | 475 |
3.26% ↑
|
1965年 | 460 |
2.22% ↑
|
1964年 | 450 |
3.45% ↑
|
1963年 | 435 |
2.35% ↑
|
1962年 | 425 |
2.41% ↑
|
1961年 | 415 | - |
フランス領ポリネシアのバナナ生産量は、気候条件や農業政策、世界市場の変化などの影響を受けて1961年から2022年までの間に様々な変動を見せています。1960年代から1970年代は農業技術の普及や栽培面積の拡大により、全体的な生産量の増加が記録され、1977年には700トンに到達しました。この時期は安定した成長期と評価することができます。しかし、1983年以降、急激な生産量の低下が見られ、年間生産量が一時500トンを下回る結果となりました。この要因には自然災害や市場構造の変化、そして農業従事者の減少が含まれていると考えられています。
特に1980年代後半から1990年代前半にかけて、バナナ生産は極めて変動的な動きを見せました。例えば、1987年には493トンまで落ち込んだ一方で、翌年には530トンに回復したものの、その後も一貫した成長は見られませんでした。この時期は地元産業の維持が難航し、輸入品との競争激化がその一因であったと言えるでしょう。
2003年から2005年にかけての期間は、久しぶりの大幅な生産量増加期となり、2005年には972トンという歴史的ピークが記録されました。しかし、2008年にはわずか192トンまで急落しています。この急激な減少には、気候変動による異常気象や、サイクロン(熱帯低気圧)の影響が関連している可能性が高いとされています。また、新型病原菌の流行や、農業従事者の減少も悪化要因として挙げられます。このような気候的・疫病的な問題は、島嶼(とうしょ)地域の農業の脆弱性を顕著に示すものです。
以降、2010年代から2020年代にかけて、年間生産量は200トン程度で安定していますが、1960年代や2005年のピークと比較すると著しく低い水準にとどまっています。2022年時点では211トンの生産量を記録しており、依然として回復の兆しは見られません。この低迷の背景には、農業人材の流出や、バナナ産業そのものの競争力低下が挙げられます。
今後、フランス領ポリネシアのバナナ生産を復活させるためには、具体的な政策や資源の投入が必要です。まず、近代的な農業技術の導入による生産効率の向上が重要となります。この地域では、農業従事者の高齢化が進行しているため、若者を農業分野に引き込むための教育プログラムや補助金制度を整備する必要があります。また、異常気象や病害虫の発生に対応するため、気候変動適応型の品種開発を進めることが急務です。さらに、地域間協力を活用して、輸送インフラを整えることで、国内や周辺市場への輸出機会を拡大することも考慮すべきです。
最後に、将来的に重要となるのは、分散型の生産体制や現地市場に依存しない生産モデルの導入です。このような施策は地元経済の多様化にも寄与し、バナナ生産における収益性の向上につながるでしょう。国際機関や近隣諸国の支援を取り付けることで、一貫した開発計画の実行を目指していくべきです。