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フィジーのバナナ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organizationが発表した最新データによると、2022年のフィジーにおけるバナナの生産量は10,097トンとなり、過去60年以上の推移データの中で最も高い水準を記録しました。一方で、データはフィジーの生産量が長期的には不安定であり、極端な増減を示す時期があることを示しています。特に、1998年や2012年などの急激な減少が特徴的で、2020年代に入ると一転して大幅な回復が見られています。この傾向は、自然災害、地政学的背景、農業インフラの整備状況などが複雑に絡み合った結果と考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 12,365
22.46% ↑
2022年 10,097
33.11% ↑
2021年 7,586
-13.44% ↓
2020年 8,763
72.3% ↑
2019年 5,086
4.05% ↑
2018年 4,888
12.22% ↑
2017年 4,356
5.01% ↑
2016年 4,148
-21.34% ↓
2015年 5,273
5% ↑
2014年 5,022
8.37% ↑
2013年 4,634
534.79% ↑
2012年 730
-84.82% ↓
2011年 4,810
8.28% ↑
2010年 4,442
-0.36% ↓
2009年 4,458
-47.09% ↓
2008年 8,426
195.44% ↑
2007年 2,852
-36.62% ↓
2006年 4,500
18.42% ↑
2005年 3,800
8.57% ↑
2004年 3,500
9.38% ↑
2003年 3,200
-19.6% ↓
2002年 3,980
0.05% ↑
2001年 3,978
32.6% ↑
2000年 3,000
20% ↑
1999年 2,500
3.48% ↑
1998年 2,416
-61.65% ↓
1997年 6,300 -
1996年 6,300
1.61% ↑
1995年 6,200
14.19% ↑
1994年 5,430
-0.98% ↓
1993年 5,483
-11.56% ↓
1992年 6,200
1.64% ↑
1991年 6,100
1.67% ↑
1990年 6,000
1.69% ↑
1989年 5,900
1.72% ↑
1988年 5,800
1.75% ↑
1987年 5,700 -
1986年 5,700
3.64% ↑
1985年 5,500 -
1984年 5,500 -
1983年 5,500
5.77% ↑
1982年 5,200 -
1981年 5,200
4% ↑
1980年 5,000 -
1979年 5,000
4.17% ↑
1978年 4,800 -
1977年 4,800
6.67% ↑
1976年 4,500 -
1975年 4,500
4.65% ↑
1974年 4,300
-4.44% ↓
1973年 4,500
-2.17% ↓
1972年 4,600
-8% ↓
1971年 5,000
-9.09% ↓
1970年 5,500
-5.17% ↓
1969年 5,800
-6.45% ↓
1968年 6,200
47.62% ↑
1967年 4,200
-35.38% ↓
1966年 6,500
62.5% ↑
1965年 4,000
-36.51% ↓
1964年 6,300
-30.77% ↓
1963年 9,100
28.17% ↑
1962年 7,100
-19.32% ↓
1961年 8,800 -

フィジーのバナナ生産量は1960年代には8,000トンを超える年もありましたが、その後は急激な減少を見せています。例えば、1965年には4,000トンまで減少し、1970年代から1980年代にかけても5,000トン前後の横ばい状態に留まりました。1990年代にはわずかな増加傾向が見られましたが、1998年以降は大幅な減産に直面し、生産量は2,416トンまで低下しました。この時期の減少は、自然災害や政策的な問題が影響した可能性が高く、十分な分析と対策の欠如がその要因の一部と推測されます。

一方、2000年代には一部回復の兆しが見られつつも、生産量の波は依然として安定していませんでした。その後、2020年代に入ると、特に2022年には10,097トンを記録し、過去最高の生産量となりました。この回復の背景として、まず気候条件の改善が挙げられます。また、農業インフラの整備や技術支援の増加、国際市場へのアクセスの向上も寄与している可能性があります。

しかし、2012年にわずか730トンまでの落ち込みを見せたことは重要な課題を示しています。このような極端な変動は、フィジーが抱える地政学的リスクや頻発する自然災害、新型コロナウイルス感染症の影響など、複数の要因が影響を与えていると考えられます。特に、自然災害による農業インフラの破壊や、パンデミックによる労働力不足、物流の停滞が主な要因と考えられます。

課題としては、長期の生産量の安定化に向けた農業政策が挙げられます。具体的な対策としては、農地の災害対策強化、耐病性の高い品種の導入、近代的な農業技術の普及を進めることが必要です。さらに、国内市場だけでなく国際的な輸出市場への接続強化も有効です。フィジーは中国やインド、韓国などの成長著しい市場をターゲットにすることで、経済全体の強化を図ることが可能です。

また、地域間の農業協力の充実が考えられます。同じ南太平洋地域に位置する島国との協力を進め、災害時における支援ネットワークや共通の市場戦略を構築することが意義深いでしょう。このような連携は、災害時の生産量減少を最小限に抑えるとともに、マーケットの多様化にもつながります。

結論として、フィジーのバナナ生産は著しい回復を遂げつつあるものの、その変動の大きさが抱えるリスクの存在を無視することはできません。これに対処するためには、国内の農業インフラと政策の強化だけでなく、地域コミュニティや国際社会との協力を強化する必要があります。将来的な課題への対応として、持続的で安定した農業生産を目指し、災害への即応性を高め、技術革新を取り入れることが求められます。これにより、フィジーは地域と国際市場での競争力を高めることができるでしょう。