国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2022年の小麦生産量ランキングによると、世界最大の生産国は中国で137,720,000トンに達し、次いでインド(107,742,070トン)、ロシア連邦(104,233,944トン)が続きました。日本は993,500トンで52位にランクインしており、世界規模で見ると存在感は控えめです。一方で、小麦生産は気候変動や地政学的リスクと密接に関連しており、その重要性が再認識されています。
順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
---|---|---|---|
1 | 中国 | アジア | 137,720,000 |
2 | インド | アジア | 107,742,070 |
3 | ロシア連邦 | ヨーロッパ | 104,233,944 |
4 | アメリカ合衆国 | 北アメリカ | 44,902,320 |
5 | オーストラリア | オセアニア | 36,237,477 |
6 | フランス | ヨーロッパ | 34,632,380 |
7 | カナダ | 北アメリカ | 34,334,787 |
8 | パキスタン | アジア | 26,208,672 |
9 | ドイツ | ヨーロッパ | 22,587,300 |
10 | アルゼンチン | 南アメリカ | 22,150,287 |
11 | ウクライナ | ヨーロッパ | 20,729,240 |
12 | トルコ | アジア | 19,750,000 |
13 | カザフスタン | アジア | 16,404,491 |
14 | イギリス | ヨーロッパ | 15,540,000 |
15 | ポーランド | ヨーロッパ | 13,195,120 |
16 | ブラジル | 南アメリカ | 10,343,182 |
17 | イラン(イスラム共和国) | アジア | 10,000,000 |
18 | エジプト | アフリカ | 9,700,000 |
19 | ルーマニア | ヨーロッパ | 8,684,240 |
20 | エチオピア | アフリカ | 7,000,000 |
21 | イタリア | ヨーロッパ | 6,609,520 |
22 | スペイン | ヨーロッパ | 6,508,800 |
23 | ブルガリア | ヨーロッパ | 6,447,770 |
24 | ウズベキスタン | アジア | 6,270,059 |
25 | チェコ | ヨーロッパ | 5,188,690 |
26 | リトアニア | ヨーロッパ | 4,482,760 |
27 | ハンガリー | ヨーロッパ | 4,354,710 |
28 | デンマーク | ヨーロッパ | 4,165,400 |
29 | アフガニスタン | アジア | 3,810,000 |
30 | メキシコ | 南アメリカ | 3,578,244 |
31 | スウェーデン | ヨーロッパ | 3,228,700 |
32 | セルビア | ヨーロッパ | 3,109,827 |
33 | アルジェリア | アフリカ | 3,000,000 |
34 | イラク | アジア | 2,764,692 |
35 | モロッコ | アフリカ | 2,707,652 |
36 | ラトビア | ヨーロッパ | 2,539,400 |
37 | ベラルーシ | ヨーロッパ | 2,350,000 |
38 | ネパール | アジア | 2,144,568 |
39 | 南アフリカ | アフリカ | 2,088,590 |
40 | スロバキア | ヨーロッパ | 2,048,150 |
41 | ベルギー | ヨーロッパ | 1,851,870 |
42 | オーストリア | ヨーロッパ | 1,712,530 |
43 | アゼルバイジャン | アジア | 1,690,832 |
44 | シリア・アラブ共和国 | アジア | 1,551,605 |
45 | ウルグアイ | 南アメリカ | 1,283,100 |
46 | ギリシャ | ヨーロッパ | 1,203,260 |
47 | オランダ | ヨーロッパ | 1,162,860 |
48 | チュニジア | アフリカ | 1,135,000 |
49 | チリ | 南アメリカ | 1,106,926 |
50 | トルクメニスタン | アジア | 1,100,000 |
51 | バングラデシュ | アジア | 1,085,834 |
52 | 日本 | アジア | 993,500 |
53 | クロアチア | ヨーロッパ | 971,470 |
54 | フィンランド | ヨーロッパ | 864,180 |
55 | モルドバ共和国 | ヨーロッパ | 855,000 |
56 | エストニア | ヨーロッパ | 854,120 |
57 | タジキスタン | アジア | 840,000 |
58 | サウジアラビア | アジア | 800,000 |
59 | パラグアイ | 南アメリカ | 744,950 |
60 | アイルランド | ヨーロッパ | 701,240 |
61 | キルギスタン | アジア | 592,507 |
62 | スイス | ヨーロッパ | 487,145 |
63 | スーダン | アフリカ | 476,000 |
64 | ニュージーランド | オセアニア | 402,557 |
65 | モンゴル | アジア | 401,903 |
66 | ノルウェー | ヨーロッパ | 384,000 |
67 | ボリビア (多民族国家) | 南アメリカ | 310,730 |
68 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | ヨーロッパ | 281,414 |
69 | ケニア | アフリカ | 270,700 |
70 | ザンビア | アフリカ | 234,925 |
71 | アルバニア | ヨーロッパ | 233,145 |
72 | 北マケドニア | ヨーロッパ | 224,632 |
73 | ペルー | 南アメリカ | 211,430 |
74 | ジンバブエ | アフリカ | 200,000 |
75 | グルジア | アジア | 156,800 |
76 | スロベニア | ヨーロッパ | 150,750 |
77 | アルメニア | アジア | 138,613 |
78 | リビア | アフリカ | 130,000 |
79 | ナイジェリア | アフリカ | 110,000 |
80 | イスラエル | アジア | 104,500 |
81 | ミャンマー | アジア | 100,000 |
82 | イエメン | アジア | 100,000 |
83 | レバノン | アジア | 100,000 |
84 | ルクセンブルク | ヨーロッパ | 85,890 |
85 | タンザニア連合共和国 | アフリカ | 75,000 |
86 | 朝鮮民主主義人民共和国 | アジア | 69,538 |
87 | ポルトガル | ヨーロッパ | 61,920 |
88 | マリ | アフリカ | 33,542 |
89 | キプロス | アジア | 33,010 |
90 | パレスチナ国 | アジア | 32,811 |
91 | 大韓民国 | アジア | 30,799 |
92 | ヨルダン | アジア | 30,000 |
93 | エリトリア | アフリカ | 25,000 |
94 | ウガンダ | アフリカ | 25,000 |
95 | ナミビア | アフリカ | 24,696 |
96 | モザンビーク | アフリカ | 16,000 |
97 | ルワンダ | アフリカ | 13,877 |
98 | コロンビア | 南アメリカ | 12,930 |
99 | ブルンジ | アフリカ | 9,197 |
100 | コンゴ民主共和国 | アフリカ | 9,000 |
101 | エクアドル | 南アメリカ | 7,431 |
102 | 中国、台湾 中国省 | アジア | 6,000 |
103 | レソト | アフリカ | 5,704 |
104 | ニジェール | アフリカ | 5,476 |
105 | モーリタニア | アフリカ | 5,000 |
106 | オマーン | アジア | 3,547 |
107 | アンゴラ | アフリカ | 2,943 |
108 | モンテネグロ | ヨーロッパ | 2,248 |
109 | マダガスカル | アフリカ | 2,000 |
110 | タイ | アジア | 1,321 |
111 | ホンジュラス | 南アメリカ | 1,274 |
112 | チャド | アフリカ | 1,205 |
113 | ソマリア | アフリカ | 1,057 |
114 | マラウイ | アフリカ | 1,000 |
115 | ボツワナ | アフリカ | 947 |
116 | ブータン | アジア | 770 |
117 | エスワティニ | アフリカ | 694 |
118 | ベネズエラ (ボリバル共和国) | 南アメリカ | 621 |
119 | カメルーン | アフリカ | 603 |
120 | グアテマラ | 南アメリカ | 254 |
121 | カタール | アジア | 149 |
122 | クウェート | アジア | 37 |
123 | ニューカレドニア | オセアニア | 5 |
2022年における世界の小麦生産状況を見てみると、1位の中国は13億人超の人口を支えるために、国内の食料安定供給を重視しながら圧倒的な規模の生産を実現しています。インドでは人口増加と農業技術の発展に伴い、107,742,070トンという大規模な生産量を記録しました。3位のロシア連邦も資源の豊富さと広大な農地を活用し、104,233,944トンを生産しています。しかし、地政学的なリスクが高まるウクライナ問題が影響を及ぼし、輸出の安定性や市場価格への懸念が浮上しています。
他にもアメリカ合衆国(44,902,320トン)はかつて世界の小麦供給を主導していましたが、近年は輸出志向よりも国内消費と飼料需要が中心となっています。ヨーロッパではフランス(34,632,380トン)やドイツ(22,587,300トン)が重要な生産国ですが、EU全体としても地球温暖化による気候変動の影響が課題とされています。アジア地域では、パキスタン(26,208,672トン)やトルコ(19,750,000トン)が国内需要を中心に生産量を確保していますが、旱魃(かんばつ)や洪水による農作物への影響が年々深刻化しています。
日本の場合、993,500トンの生産量は全世界の生産総量のごくわずかに過ぎず、自給率は依然として低いままです。地形的に平地が少なく、国内の農業環境が限られていることが主な原因とされます。さらには高齢化や人口減少といった国内の社会問題が農業全般に影響を及ぼしている状況です。これにより、日本は小麦の供給をほぼ輸入に依存しており、これが将来的なリスクとして指摘されています。
一方で、ウクライナ(20,729,240トン)やカザフスタン(16,404,491トン)のような輸出志向が強い国々は、地政学的な不安定性の影響で供給網の脆弱性が露呈しました。特にウクライナでは紛争の影響で港湾施設や輸送インフラの損傷が生じ、世界の食料価格が変動する要因となっています。
気候変動については、世界の小麦生産に直接的かつ深刻な影響を与えています。豪州(36,237,477トン)は近年好天に恵まれる一方、他地域では異常気候や自然災害に見舞われ、生産量が減少した国も少なくありません。南米のアルゼンチン(22,150,287トン)ではラニーニャ現象による干ばつが生産の低迷を招いています。同様にアフリカ諸国も、降水量の変動や技術不足が地域の小麦生産を抑制する主要因となっています。
これらを踏まえ、今後の対策として以下の提案が可能です。第一に、気候変動への対応策として灌漑システムや耐病性・耐乾燥性を持つ品種の開発を強化すべきです。また、農業技術の普及やスマート農業の導入による生産性向上は世界的な課題となっています。第二に、特に紛争地帯では、国際的な協力による輸送インフラの復旧支援が求められます。EUや国連のような多国間組織が中心となって調整する枠組みが期待されます。第三に、輸入依存が高い国—特に日本のような国々—では、国内の小麦自給率を向上させるために農業従事者への支援を拡大し、若者に農業分野への就業を促す仕組みを整えることが重要です。
結論として、2022年のデータから明らかなように、世界の小麦生産は気候変動や地政学的リスク、人口統計学的変化といったさまざまな要因に左右されています。このような中、各国が協力して環境に適応し、安定かつ持続可能な食料供給システムを構築することが急務です。