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ザンビアの小麦生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公表した最新データによると、ザンビアの小麦生産量は近年、増減を繰り返しながらも長期的には増加傾向を示しており、2022年には234,925トンに達しました。これは、1961年の608トンから見ると大幅な増加です。一方で、一部の年度では大きな生産量の落ち込みも見られ、特に2018年の114,463トンは直前の年と比較して大幅に低下しました。これらの動きの背景には、気候条件や農業政策、国際市場の影響が関わっていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 277,492
18.12% ↑
2022年 234,925
14.11% ↑
2021年 205,882
7.44% ↑
2020年 191,620
26.19% ↑
2019年 151,850
32.66% ↑
2018年 114,463
-40.91% ↓
2017年 193,713
21.43% ↑
2016年 159,533
-25.53% ↓
2015年 214,230
6.32% ↑
2014年 201,504
-26.35% ↓
2013年 273,584
7.91% ↑
2012年 253,522
6.82% ↑
2011年 237,332
37.78% ↑
2010年 172,256
-11.87% ↓
2009年 195,456
72.6% ↑
2008年 113,242
-2.25% ↓
2007年 115,843
23.29% ↑
2006年 93,958
-31.33% ↓
2005年 136,833
65.14% ↑
2004年 82,858
-38.62% ↓
2003年 135,000
80% ↑
2002年 75,000
-6.25% ↓
2001年 80,000
6.67% ↑
2000年 75,000
8.34% ↑
1999年 69,226
8.29% ↑
1998年 63,925
-9.72% ↓
1997年 70,810
22.94% ↑
1996年 57,595
51.49% ↑
1995年 38,019
-37.62% ↓
1994年 60,944
-12.04% ↓
1993年 69,286
27.15% ↑
1992年 54,490
-16.47% ↓
1991年 65,236
18.59% ↑
1990年 55,011
18.02% ↑
1989年 46,610
25.56% ↑
1988年 37,123
34.17% ↑
1987年 27,668
53.73% ↑
1986年 17,998
4.91% ↑
1985年 17,156
29.76% ↑
1984年 13,221
20.89% ↑
1983年 10,936
-22.6% ↓
1982年 14,130
19.39% ↑
1981年 11,835
21.2% ↑
1980年 9,765
49.59% ↑
1979年 6,528
22.22% ↑
1978年 5,341
0.32% ↑
1977年 5,324
34.85% ↑
1976年 3,948
13.22% ↑
1975年 3,487
171.57% ↑
1974年 1,284
1184% ↑
1973年 100
1.01% ↑
1972年 99
-1% ↓
1971年 100
-0.99% ↓
1970年 101
-54.09% ↓
1969年 220
10% ↑
1968年 200
0.5% ↑
1967年 199
145.68% ↑
1966年 81
-62.15% ↓
1965年 214 -
1964年 214
-70.15% ↓
1963年 717
-23.23% ↓
1962年 934
53.62% ↑
1961年 608 -

ザンビアの小麦生産推移を眺めると、歴史的には1961年の608トンという小規模な生産からスタートし、その後着実な増加を遂げてきました。しかし、1970年代初頭までは年間100トン前後の低い水準に停滞する時期が続きました。この時期の低迷は、インフラ未整備や農業技術の未発展が要因と考えられます。1974年に1,284トンへの増加が見られ、その後急速に生産量を拡大しました。1980年代に入ると、国の農業政策の転換を背景に、特に1987年以降急激な生産量の伸びが記録されるようになりました。この時期のピークは1991年の65,236トンであり、これまでは小麦が国内食糧安全保障の柱として本格的に生産され始めた時期といえます。

2000年以降、ザンビアの小麦生産はさらに拡大しました。特に2009年以降、100,000トンを超える生産量がほぼ定着し、ピークと谷を繰り返しながらも、徐々に安定志向を見せています。この流れを下支えしているのは肥沃な土地、政府の支援政策、そして一部で進行中の灌漑技術の導入です。一方で、2018年には114,463トンという直前年と比較して約40%低い水準に陥りました。この原因として、当時の乾燥状態、農業資材コストの高騰、および輸出市場の変動などが挙げられます。このような現象は、ザンビアの小麦生産が依然として気候リスクや経済的な外部要素に脆弱であることを示しています。

一方、小麦生産量が200,000トンを超える2021年以降は、記録的な生産量の更新が続いています。2022年には234,925トンに達し、この成長は技術改善や国内需要の増加、さらにはアフリカ全体で増加する食品加工産業の拡大とも関連しています。しかし、これらの成果の裏には依然として課題が残ります。特に、多様な気候変動の影響を受けやすい地域に多くの耕地が分布しているため、さらなる生産の安定化には灌漑インフラの整備や気候予測技術の導入が必要です。また、農業資材の価格変動や国際市場の小麦価格による影響も無視できません。これを克服するためには、政府が農家への補助金や技術支援を持続可能な形で提供する政策が重要です。

アフリカでは、小麦は主に輸入によって賄われていますが、ザンビアの生産量増加は地域全体の食料自給率向上に寄与する可能性があります。たとえば南アフリカやジンバブエなど、小麦輸入への依存が高い国々にとって、ザンビアの余剰生産が貴重な供給源となる可能性があります。将来的には地域協力の枠組みを通じて、近隣諸国との輸出入の均衡を作り出すことが鍵となるでしょう。さらに、ザンビア自身の国民の食料安全保障の確立にもつながります。

地政学的には、アフリカ各地の紛争や新型コロナウイルス感染症の影響がサプライチェーンを混乱させる中で、ザンビア国内の小麦生産の自給自足による安定性は重要性を増しています。このような背景を考慮すると、小麦生産量を増やすだけでなく、その輸送インフラの整備や市場の多様化といった点に重点を置くべきです。

結論として、ザンビアの小麦生産量は過去60年以上のデータの中で着実な成長を遂げていますが、生産の安定性および国際市場での競争力向上が次なる課題です。政府や国際機関による支援を通じて、気候変動に対応した持続可能な農業技術の導入、地域間協力の推進が求められるでしょう。これにより、ザンビアはアフリカの小麦供給の要として、さらなる発展を遂げる可能性を秘めています。