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モロッコの小麦生産量推移(1961年~2023年)

モロッコの小麦生産量は、1961年から2022年までの期間で大きな変動を繰り返しており、自然条件や政策の影響が生産量の推移に顕著に表れています。例えば、1970年代から1980年代では年ごとの増減が目立ちましたが、1994年以降5,500,000トンを超える高生産量も見られました。直近の2021年には7,543,848トンと比較的高い生産量を記録しましたが、翌2022年には再び2,707,652トンまで落ち込むなど、依然として不安定さが残っています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,158,471
53.58% ↑
2022年 2,707,652
-64.11% ↓
2021年 7,543,848
194.46% ↑
2020年 2,561,898
-36.36% ↓
2019年 4,025,303
-45.01% ↓
2018年 7,320,620
3.24% ↑
2017年 7,090,817
159.63% ↑
2016年 2,731,123
-66.18% ↓
2015年 8,074,659
57.84% ↑
2014年 5,115,884
-26.22% ↓
2013年 6,933,983
78.8% ↑
2012年 3,878,000
-35.56% ↓
2011年 6,017,821
23.41% ↑
2010年 4,876,140
-23.47% ↓
2009年 6,371,430
69.03% ↑
2008年 3,769,450
138.18% ↑
2007年 1,582,630
-74.99% ↓
2006年 6,326,760
107.91% ↑
2005年 3,043,080
-45.07% ↓
2004年 5,539,840
7.64% ↑
2003年 5,146,840
53.24% ↑
2002年 3,358,680
1.28% ↑
2001年 3,316,380
140.2% ↑
2000年 1,380,700
-35.89% ↓
1999年 2,153,540
-50.82% ↓
1998年 4,378,480
89.01% ↑
1997年 2,316,490
-60.84% ↓
1996年 5,915,790
442.38% ↑
1995年 1,090,710
-80.25% ↓
1994年 5,523,210
251.12% ↑
1993年 1,573,020
0.7% ↑
1992年 1,562,160
-68.37% ↓
1991年 4,938,920
36.66% ↑
1990年 3,613,890
-7.97% ↓
1989年 3,926,960
-2.3% ↓
1988年 4,019,340
65.58% ↑
1987年 2,427,360
-36.27% ↓
1986年 3,809,100
61.54% ↑
1985年 2,358,000
18.52% ↑
1984年 1,989,480
0.98% ↑
1983年 1,970,200
-9.76% ↓
1982年 2,183,400
144.78% ↑
1981年 892,000
-50.75% ↓
1980年 1,811,000
0.84% ↑
1979年 1,796,000
-4.29% ↓
1978年 1,876,450
45.73% ↑
1977年 1,287,600
-41.18% ↓
1976年 2,188,940
39% ↑
1975年 1,574,820
-15.01% ↓
1974年 1,853,000
17.73% ↑
1973年 1,574,000
-27.16% ↓
1972年 2,160,770
-1.25% ↓
1971年 2,188,100
21.53% ↑
1970年 1,800,500
22.57% ↑
1969年 1,469,000
-42.39% ↓
1968年 2,550,000
69.27% ↑
1967年 1,506,500
31% ↑
1966年 1,150,000
-27.22% ↓
1965年 1,580,000
9.72% ↑
1964年 1,440,000 -
1963年 1,440,000
-4% ↓
1962年 1,500,000
108.33% ↑
1961年 720,000 -

このデータは、モロッコにおける小麦生産の歴史を通じて、自然環境、農業政策、灌漑設備の充実度などが複雑に影響を与えてきたことを示しています。小麦はモロッコの主要な農作物であり、国内の食料安全保障を担う重要な資源ですが、その生産量は天候条件に大きく依存しています。特に乾燥気候や周期的な干ばつが生産量を抑える主要要因として挙げられます。

1960年代から1970年代にかけては、1,000,000〜2,000,000トン台での生産が続きましたが、異常気象や土壌条件の影響もあり、安定的な向上は難しい状況でした。その後、1980年代半ばには3,000,000トンを超える年がいくつか見られ、1990年代の後半には5,000,000トンを超えるピークを記録することができました。特に1994年、1996年の高収量は、天候の好転や施策の充実が成果を上げた結果と考えられます。

2000年代以降、特に2006年や2009年、2015年などでは6,000,000トンを超え、国全体の農業生産量の向上を示す好例といえます。しかし、一方で干ばつやその他の自然災害が影響した年では大幅な減産が発生することが多く、例えば2007年や2020年のように1,500,000トン〜2,500,000トン台に落ち込むこともありました。これはモロッコがいまだ降雨量と農業インフラの改善に対する課題を抱えていることを浮き彫りにしています。

近年では、2021年に7,543,848トンを達成したものの、2022年には再び減少し、2,707,652トンに留まりました。この急激な下落は再度、モロッコ農業の不安定性と気象リスクの影響を浮き彫りにしています。また、地政学的な背景から考慮すると、モロッコは近隣諸国との穀物輸出入の依存関係を持つため、諸外国の政策や国際市場価格の動向も影響を与えやすい状況にあります。

将来的に注目すべき課題は、生産量の安定化です。具体的には、干ばつ対策としての灌漑設備の整備や耐乾燥性の高い小麦品種の導入が重要です。また、長期的な気候変動を見据えた農業技術への投資も欠かせません。さらに、地政学的リスクを軽減するためには、国内消費を賄える生産体制を強化し、輸入への依存度を下げるとともに、国際的な農業協力の枠組みを構築することが求められます。

結論として、モロッコの小麦生産量は過去60年間で大きな変動を繰り返しながらも一定の進歩を見せました。しかし、生産の不安定性や外的リスクの高さを克服するためには、さらなる農業技術や政策支援が必要です。国際機関や政府が共同で長期的な計画を立てることで、モロッコの食料安全保障と経済の安定に寄与することが可能になるでしょう。