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パラグアイの小麦生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新の小麦生産量データによると、パラグアイの小麦生産量は1961年の7,200トンから2022年の744,950トンまで大幅に増加しています。ただし、2009年以降に記録されたピーク値(2012年:1,560,600トン)と比較すると、直近の生産量は減少傾向にあり、その振れ幅は気候変動や経済的要因、農業政策の影響を反映していると考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 744,950
2021年 927,776
2020年 1,302,870
2019年 1,358,000
2018年 722,400
2017年 1,020,000
2016年 1,144,000
2015年 1,139,147
2014年 840,000
2013年 1,430,000
2012年 1,560,600
2011年 1,463,881
2010年 1,401,987
2009年 1,066,800
2008年 799,632
2007年 800,000
2006年 620,000
2005年 800,000
2004年 715,000
2003年 715,000
2002年 536,754
2001年 532,155
2000年 231,119
1999年 180,088
1998年 229,173
1997年 400,189
1996年 543,435
1995年 208,617
1994年 375,679
1993年 425,421
1992年 259,337
1991年 240,538
1990年 259,337
1989年 372,916
1988年 452,006
1987年 270,528
1986年 241,543
1985年 201,090
1984年 120,764
1983年 102,138
1982年 139,071
1981年 98,895
1980年 83,679
1979年 58,253
1978年 37,801
1977年 28,261
1976年 29,251
1975年 17,872
1974年 35,245
1973年 23,000
1972年 17,600
1971年 54,800
1970年 33,000
1969年 31,376
1968年 32,000
1967年 25,100
1966年 9,160
1965年 7,200
1964年 7,000
1963年 8,800
1962年 7,000
1961年 7,200

パラグアイにおける小麦生産は、1960年代には年間数千トン単位の小規模な水準から始まりました。その後、1970年代に生産拡大が見られ、1980年代には技術革新や新たな農地開拓が促進され、生産性が急速に向上しました。1988年には初めて40万トンを超え、その後も増産が続きました。しかし、1990年代には生産量が大きな振れ幅を見せ、不安定な状況が続きました。明確な増産傾向が再び確認されたのは2000年代に入ってからで、2009年から2012年には100万トンを超える安定した高水準の生産量に達しました。その中でも2012年の1,560,600トンは過去最高値を記録しています。

しかしながら、2014年以降、生産量の減少傾向が進み、2018年の722,400トンを底にやや持ち直したものの、2021年には再び減少し、2022年には744,950トンとなりました。このような変動にはいくつかの要因が影響を及ぼしていると考えられます。

第一に、気候変動の影響が挙げられます。パラグアイは、エルニーニョ現象や干ばつ、洪水などにより農業生産に深刻な影響を受けやすい地域です。特に過去数十年における気候変動の進行により、不規則な降雨パターンや気温の上昇は小麦の生産力に大きな影響を及ぼしている可能性があります。

第二に、国内外の経済状況も重要な要因です。農業資材の価格や貿易の変動、特にブラジルやアルゼンチンといった主要小麦生産国との競争が、パラグアイの小麦生産に直接の影響を与えています。例えば、これらの近隣国が輸出規制を緩和する場合、パラグアイの農家にとって価格競争が厳しくなる可能性があります。

さらに、農業政策の不足やインフラの問題も課題として挙げられます。生産量が安定しない背景には、農業支援政策の一貫性の欠如や、効率的な灌漑システムの未普及が関係していると考えられます。特に、小規模農家にとっては国際市場で価格競争力を維持するための資金援助や技術支援が不十分な状況にあります。

今後の課題としては、まず持続可能な農業技術の導入が必要です。パラグアイ政府および国際機関は、農業従事者に対して耐乾性作物の普及や、効率的な灌漑技術の提供を積極的に推進するべきです。また、気候変動への対応として早期警報システムや気象予測技術を活用し、農民が変動する気候条件に適応できる環境を整えることが求められます。

さらに、農業の多様化も重要な戦略の一つです。小麦生産に過度に依存するのではなく、その他の穀物や作物への投資を促進することで、気候や市場動向に対するリスクを分散することが可能です。また、近隣国や地域協力枠組みを活用し、国際市場での競争力を向上させる施策を模索する必要があります。

加えて、最近の新型コロナウイルスのパンデミックによる物流の混乱や、地域間衝突が農業輸出に影響を及ぼしたことを考慮すると、多様な輸出ルートの確保や国際協力の強化が持続可能な農業を実現する鍵となります。

結論として、パラグアイの小麦生産量は60年という長いスパンで見ると著しい向上を遂げましたが、ここ数年の減少傾向は気候変動や政策課題、経済的混乱の影響を示しています。これらの課題に対処する具体的な政策として、持続可能な農業技術、農業の多様化、また国際的な支援の強化が期待されます。未来において安定した小麦生産を実現するためには、これらの対策を総合的かつ計画的に進める必要があります。