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ナイジェリアの小麦生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ナイジェリアの小麦生産量は長期的に波動的な推移を示しています。1960年代から1980年代半ばにかけては比較的少量(1万トン台~2万トン台)で安定していましたが、1985年に劇的に増加し、以降は年度ごとの変動が大きくなっています。近年では、2020年における55,000トンへの落ち込みの後、2022年には110,000トンに回復していますが、依然として生産量は大きな安定性を欠いています。

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年度 生産量(トン)
2022年 110,000
2021年 90,000
2020年 55,000
2019年 86,900
2018年 88,362
2017年 82,758
2016年 60,000
2015年 60,000
2014年 91,300
2013年 80,000
2012年 100,000
2011年 165,000
2010年 110,441
2009年 80,000
2008年 53,000
2007年 44,000
2006年 71,000
2005年 66,000
2004年 62,000
2003年 58,000
2002年 54,000
2001年 51,000
2000年 73,000
1999年 101,000
1998年 98,000
1997年 66,000
1996年 47,000
1995年 43,600
1994年 35,200
1993年 32,600
1992年 40,000
1991年 60,000
1990年 50,000
1989年 60,000
1988年 50,000
1987年 139,000
1986年 132,000
1985年 113,000
1984年 27,000
1983年 26,000
1982年 26,000
1981年 26,000
1980年 24,000
1979年 22,000
1978年 20,000
1977年 20,000
1976年 18,000
1975年 18,000
1974年 18,000
1973年 15,000
1972年 20,000
1971年 20,000
1970年 19,000
1969年 20,000
1968年 20,000
1967年 21,000
1966年 20,000
1965年 20,000
1964年 20,000
1963年 16,000
1962年 16,000
1961年 16,000

ナイジェリアの小麦生産量の歴史を振り返ると、数多くの変動要因が働いていることがわかります。1960年代から1970年代半ばの生産量は年間約16,000~20,000トンで、限られた規模の生産に留まっていました。この時期、ナイジェリアの農業政策は主に自国の食糧安全保障を確保するために主食である穀物に重点を置いていましたが、小麦は西アフリカ特有の気候条件では適応が困難であり、収穫量が限られていました。

注目すべきは1985年のデータです。この年、小麦生産量が113,000トンに大幅増加しており、これは農業政策の見直しや品種改良の導入が奏功したためと考えられます。しかし、この急激な拡大は長続きせず、1988年には再び50,000トンに激減しています。この背景には、気候変動、灌漑施設の不足、インフラの未整備など、複数の課題が重なったことが考えられます。

2000年以降のデータは波動的な動きを示しています。1990年代以降進んだ産業多様化政策の影響で農業への投資が減少したことや、砂漠化による農地の劣化が一因とされています。例えば、2007年の生産量が44,000トンまで減少した際には、降雨量の不足とそれに伴う干ばつが影響しています。その後、間欠的な回復は見られるものの、安定的な増加には至っておらず、2020年の55,000トンというデータが示すように、ナイジェリアの小麦生産は依然として大きな課題に直面しています。

2022年に生産量が110,000トンに達したのは、比較的好条件の気候状態と農業技術の改善が奏功した結果とみられます。ただし、この回復が持続可能であるかどうかは不透明です。気候変動に起因する干ばつや降雨パターンの変化が小麦栽培地域に大きな負担を与え続けていることに加え、国内外の地政学リスクも農業生産に影響を及ぼしています。

ナイジェリアには人口の急増に伴う食糧需要の増加という重要な課題があり、小麦はその中でも需要が特に高い作物です。しかし現在、小麦の持続可能な生産基盤は整っていないため、多くを輸入に頼らざるを得ない状況です。この長期的な輸入依存は食糧価格の変動に対し脆弱であり、貧困層の食料安定性に悪影響を及ぼす可能性があります。

ナイジェリアが将来的により安定した小麦生産を実現するためには、いくつかの具体的な対策が求められます。まず、気候に強い小麦品種のさらなる開発と普及が必要です。例えば、耐乾性や塩分耐性を持つ遺伝子改良された品種の導入が適切かもしれません。また、農業インフラの強化が不可欠であり、高性能の灌漑施設の整備や土壌の改良、農家への資金援助策が考えられます。

さらに、地域間協力も重要です。サヘル地域全体での農業技術共有や共同の農業プロジェクトは、国境を越えた食料安全保障を確保するだけでなく、地域経済の安定化にも寄与するでしょう。また、国際的にも気候変動対策を支援する枠組みへの積極的な参加が期待されます。

結論として、ナイジェリアは豊かな天然資源や若い労働力など多くのポテンシャルを持っているものの、小麦生産量の安定には依然として多くの課題が山積しています。これらの課題に取り組むためには、国内外の協力を軸にした総合的な農業政策が求められます。そして、小麦生産を長期的に持続可能な形に発展させていくことが、食料分野での自立性向上にとって鍵となるでしょう。