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ボリビア (多民族国家)の小麦生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、ボリビアの小麦生産量は1961年の45,000トンから2022年には310,730トンまで増加しました。特に1990年代以降に大幅な増産が見られ、2015年の337,599トンをピークに、近年も比較的高い生産量を維持しています。ただし、生産量には周期的な変動があり、急上昇や急落する年も観察されます。この推移は、気候条件や農業技術の発展、地政学的リスクの影響など、複数の要因に関連していると考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 310,730
2021年 337,099
2020年 311,310
2019年 237,127
2018年 301,689
2017年 154,293
2016年 329,437
2015年 337,599
2014年 159,670
2013年 208,735
2012年 145,151
2011年 182,927
2010年 241,397
2009年 201,508
2008年 199,990
2007年 167,095
2006年 143,677
2005年 131,198
2004年 116,037
2003年 112,930
2002年 119,102
2001年 112,659
2000年 101,510
1999年 150,012
1998年 175,426
1997年 168,547
1996年 98,820
1995年 122,805
1994年 82,323
1993年 145,129
1992年 95,727
1991年 108,733
1990年 54,480
1989年 60,794
1988年 62,650
1987年 76,655
1986年 81,200
1985年 74,333
1984年 78,490
1983年 45,647
1982年 66,000
1981年 66,620
1980年 60,140
1979年 67,755
1978年 56,590
1977年 55,610
1976年 69,815
1975年 61,750
1974年 62,460
1973年 57,000
1972年 53,590
1971年 47,100
1970年 44,190
1969年 53,200
1968年 45,000
1967年 27,000
1966年 41,000
1965年 55,000
1964年 57,000
1963年 55,000
1962年 40,000
1961年 45,000

ボリビアにおける小麦生産量は、1960年代から緩やかな増加傾向をたどり、特に1990年代半ば以降に顕著な上昇が見られました。この成果は、農業技術の近代化や政策的な支援の影響が大きいと考えられます。例えば、1993年には145,129トン、1997年には168,547トン、1998年には175,426トンと、これまでの生産量を大きく上回る記録が続きました。その背景には、国際的な農業関連技術の導入や輸出向け作物への関心の高まりがありました。

2000年代以降、ボリビアの小麦生産量はさらに拡大し、近年では2021年時点で337,099トンという高水準を記録しました。一方で、周期的な減少も発生し、例えば2017年は154,293トンにまで落ち込むなど変動幅が大きいのが特徴です。こうした変動は、主に気候変動要因や市場価格の不安定さ、新たな病害虫の出現などによって引き起こされている可能性があります。特にボリビアの地勢は、急峻な山岳地帯や熱帯地域が広がるため、農業生産におけるリスクが比較的高いと言えます。

近年においては、小麦の国内需要増加が生産を押し上げています。同時に、小麦の輸入依存度も依然として高いままであるため、生産量の拡大は農業強化の一環として重要な国家目標となっています。特に、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により国際貿易に混乱が生じた2020年から2022年にかけては、国内生産の役割がさらに注目されました。2020年には311,310トン、2022年には310,730トンと、前年比の変動を抑えつつ高い生産量を維持しています。

課題としては、ボリビアの農業基盤の脆弱性や自然災害の影響が挙げられます。洪水や干ばつなどの気候変動に起因する災害は、収量を著しく変動させるリスクを伴います。また機械化率やインフラ整備が低水準であるため、持続的な増産には技術投資が不可欠です。隣国のアルゼンチンやブラジル、中国などは機械化を推進し安定した食料生産を実現していますが、ボリビアはこれらの国々に比較すると農業の競争力強化が課題とされています。

また、地政学的リスクにも注目が必要です。ボリビアは南米内陸国であり、輸出や輸入における物流コストが他国に比べて高く、貿易競争力の低下を招いています。そのため、国内の農業生産を強化し、輸入の依存度を減らすことが戦略的課題として挙げられます。これに加えて、国内の多民族構成による社会的ダイナミズムは、地域格差を生む潜在的な要因として影響を及ぼしています。

今後の方針としては、政府や国際機関の支援を活用し、農業技術の革新や気候変動リスクへの対応策を進める必要があります。具体的には、耐乾性や病害虫に強い品種の研究開発、灌漑システムや輸送インフラの整備、また農民への教育プログラムの充実が挙げられます。そのほか、地域間協力の枠組みを構築し、隣国との貿易関係を強化することも、小麦産業全体の向上につながると考えられます。これらの戦略が実行されることで、ボリビアの小麦生産はさらに安定化し、地域経済を支える重要な柱となるでしょう。