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トルコの小麦生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、トルコの小麦生産量は、1960年代から2022年にかけて大きな変動を繰り返しつつも、全体的に増加傾向にあることが示されています。特に1970年代から1990年代にかけては増加ペースが高かった一方で、近年は気候変動や干ばつなどの要因により生産量が再び不安定化していることが分かります。2022年の小麦生産量は約19,750,000トンで、前年と比較してやや回復を見せていますが、過去のピークと比べると下回った状況です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 22,000,000
11.39% ↑
2022年 19,750,000
11.9% ↑
2021年 17,650,000
-13.9% ↓
2020年 20,500,000
7.89% ↑
2019年 19,000,000
-5% ↓
2018年 20,000,000
-6.98% ↓
2017年 21,500,000
4.37% ↑
2016年 20,600,000
-8.85% ↓
2015年 22,600,000
18.95% ↑
2014年 19,000,000
-13.83% ↓
2013年 22,050,000
9.7% ↑
2012年 20,100,000
-7.8% ↓
2011年 21,800,000
10.81% ↑
2010年 19,674,000
-4.5% ↓
2009年 20,600,000
15.85% ↑
2008年 17,782,000
3.18% ↑
2007年 17,234,000
-13.87% ↓
2006年 20,010,000
-6.93% ↓
2005年 21,500,000
2.38% ↑
2004年 21,000,000
10.53% ↑
2003年 19,000,000
-2.56% ↓
2002年 19,500,000
2.63% ↑
2001年 19,000,000
-9.52% ↓
2000年 21,000,000
16.67% ↑
1999年 18,000,000
-14.29% ↓
1998年 21,000,000
12.6% ↑
1997年 18,650,000
0.81% ↑
1996年 18,500,000
2.78% ↑
1995年 18,000,000
2.86% ↑
1994年 17,500,000
-16.67% ↓
1993年 21,000,000
8.81% ↑
1992年 19,300,000
-5.39% ↓
1991年 20,400,000
1.89% ↑
1990年 20,022,000
23.43% ↑
1989年 16,221,000
-20.96% ↓
1988年 20,523,008
8.4% ↑
1987年 18,932,000
-0.53% ↓
1986年 19,032,000
11.74% ↑
1985年 17,032,000
-1.18% ↓
1984年 17,235,008
4.85% ↑
1983年 16,437,000
-6.3% ↓
1982年 17,542,000
2.89% ↑
1981年 17,050,000
3% ↑
1980年 16,554,000
-5.78% ↓
1979年 17,569,008
4.8% ↑
1978年 16,764,000
0.26% ↑
1977年 16,720,000
0.86% ↑
1976年 16,577,500
11.78% ↑
1975年 14,830,000
33.84% ↑
1974年 11,080,000
9.92% ↑
1973年 10,080,000
-17.88% ↓
1972年 12,275,000
-9.7% ↓
1971年 13,594,000
34.85% ↑
1970年 10,081,000
-4.83% ↓
1969年 10,593,000
10.31% ↑
1968年 9,603,000
-5.01% ↓
1967年 10,110,000
4.07% ↑
1966年 9,715,000
12.57% ↑
1965年 8,630,000
2.25% ↑
1964年 8,440,000
-16.74% ↓
1963年 10,137,000
18.15% ↑
1962年 8,580,000
20.25% ↑
1961年 7,135,000 -

トルコは、小麦の生産において歴史的な重要性を持つ国であり、地理的にも気候的にも農業に適した土地を広く有しています。データが示す通り、1960年代初頭では年間7,000,000トン程度であった生産量は、次第に増加を見せ、1980年代から1990年代にかけてピークに達しました。1988年には20,523,008トンの生産量を記録しており、この時期がトルコの小麦生産の黄金時代ともいえます。しかし、2000年代以降、天候変動や灌漑設備の不足、経済的要因により生産量の変動が激しくなっています。

トルコの小麦生産量は世界全体の中でも中堅的な位置を占めており、特に中東地域やアフリカへの輸出において重要な役割を果たしています。しかし、近年の気候変動は深刻な影響を与えています。干ばつなどの気象災害が頻発した影響で、一部の年では生産量が顕著に減少している点が見受けられます。特に2021年に記録された17,650,000トンという生産量は、2007年以降で最低となり、これがトルコにとっての警鐘となりました。

また、小麦はトルコ国内の食料安全保障においても欠かせない作物であり、特にパンを中心とした食品の価格は社会的に重要です。近年の収穫量のばらつきが国内の小麦価格の上昇を招き、生活費への影響を及ぼしています。他国と比較した場合、アメリカや中国、インドといった小麦の主要生産国と比べると、トルコの生産量はそれほど大きくありませんが、収穫量の変動性が高い点で顕著に違いが見られます。例えば、中国の小麦生産は年間で1億トンを超える安定した数値を記録しているのに対し、トルコは気候変動の影響が直撃しやすい位置にあるため、生産量が安定しない傾向があります。

トルコの地政学的な位置も、この問題に影響を与える要因の一つです。トルコは中東とヨーロッパを結ぶ要衝に位置し、政治的緊張が農業政策や輸送、資源配分に影響を及ぼすケースもあります。紛争や資源の利用競争の激化は不安定な農業基盤をさらに脆弱化させるリスクを抱えています。

将来的には、以下のようなアプローチが重要になると考えられます。まず、灌漑システムや農業技術の近代化を進めることが必要です。特に、水資源の効率的な管理や耐旱性のある品種の開発が重要な課題となるでしょう。また、気候変動に対応するための国際的な協力も欠かせません。地域全体での共通の農業政策を立案し、気象情報の共有や災害時の緊急支援体制を強化することが求められます。さらに、農家への経済的支援や収入保障の仕組みを構築することも、小規模農家の持続可能性を支えるうえで重要です。

トルコが小麦生産を安定化させることは、国内のみならず、周辺諸国や輸入国との経済的なつながりを深めるカギとなります。国際社会もこの問題を共有し、気候変動や地政学リスクへの連携を強める必要があります。