世界の馬飼養数ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した2020年度の馬飼養数ランキングによると、1位はアメリカ合衆国で10,298,073頭、2位はメキシコで6,398,184頭、3位はブラジルで5,959,922頭が飼養されており、これらトップ3の国だけで約22.7百万頭に及ぶ飼養頭数が確認されています。一方、日本は90位で14,505頭という結果です。馬の飼養数は地理的、生態学的条件だけでなく、経済・社会・文化的要因によって大きく左右される状況が見て取れます。

順位	国名	地域	飼養数(頭)
1	アメリカ合衆国	北アメリカ	10,298,073
2	メキシコ	南アメリカ	6,398,184
3	ブラジル	南アメリカ	5,959,922
4	モンゴル	アジア	4,093,861
5	中国	アジア	3,671,600
6	カザフスタン	アジア	3,139,831
7	アルゼンチン	南アメリカ	2,586,855
8	エチオピア	アフリカ	2,148,492
9	コロンビア	南アメリカ	1,684,630
10	チャド	アフリカ	1,322,760
11	ロシア連邦	ヨーロッパ	1,310,885
12	キューバ	南アメリカ	915,100
13	スーダン	アフリカ	793,251
14	ペルー	南アメリカ	749,412
15	マリ	アフリカ	595,893
16	セネガル	アフリカ	578,873
17	キルギスタン	アジア	539,644
18	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	526,813
19	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	507,972
20	ハイチ	南アメリカ	504,010
21	シエラレオネ	アフリカ	442,013
22	ウルグアイ	南アメリカ	426,257
23	イギリス	ヨーロッパ	417,637
24	ルーマニア	ヨーロッパ	408,000
25	カナダ	北アメリカ	398,788
26	インドネシア	アジア	384,109
27	パキスタン	アジア	373,000
28	ドミニカ共和国	南アメリカ	362,935
29	インド	アジア	340,000
30	南アフリカ	アフリカ	333,055
31	チリ	南アメリカ	302,436
32	フランス	ヨーロッパ	290,857
33	ニカラグア	南アメリカ	268,932
34	オーストラリア	オセアニア	264,605
35	ニジェール	アフリカ	258,279
36	ウズベキスタン	アジア	253,625
37	フィリピン	アジア	248,970
38	パラグアイ	南アメリカ	228,438
39	ウクライナ	ヨーロッパ	224,400
40	モロッコ	アフリカ	190,000
41	ポーランド	ヨーロッパ	185,494
42	ホンジュラス	南アメリカ	182,633
43	エクアドル	南アメリカ	172,574
44	グアテマラ	南アメリカ	132,490
45	イラン（イスラム共和国）	アジア	131,322
46	コスタリカ	南アメリカ	117,470
47	ミャンマー	アジア	111,227
48	パナマ	南アメリカ	106,569
49	ナイジェリア	アフリカ	102,529
50	エルサルバドル	南アメリカ	98,438
51	オランダ	ヨーロッパ	90,390
52	トルコ	アジア	90,007
53	ポルトガル	ヨーロッパ	85,000
54	エジプト	アフリカ	83,780
55	タジキスタン	アジア	81,637
56	モーリタニア	アフリカ	67,323
57	アゼルバイジャン	アジア	60,405
58	アイスランド	ヨーロッパ	58,466
59	アフガニスタン	アジア	58,098
60	チュニジア	アフリカ	57,106
61	ハンガリー	ヨーロッパ	52,000
62	ベトナム	アジア	50,941
63	イラク	アジア	50,411
64	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	48,307
65	アルジェリア	アフリカ	48,147
66	フィジー	オセアニア	47,520
67	スイス	ヨーロッパ	46,980
68	リビア	アフリカ	46,930
69	ナミビア	アフリカ	43,154
70	レソト	アフリカ	43,000
71	デンマーク	ヨーロッパ	42,970
72	グルジア	アジア	40,480
73	東ティモール	アジア	39,918
74	ニュージーランド	オセアニア	38,647
75	チェコ	ヨーロッパ	38,087
76	ノルウェー	ヨーロッパ	34,249
77	ラオス人民民主共和国	アジア	32,303
78	カンボジア	アジア	31,523
79	アルバニア	ヨーロッパ	30,000
80	ベラルーシ	ヨーロッパ	29,100
81	ジンバブエ	アフリカ	28,231
82	トルクメニスタン	アジア	27,295
83	大韓民国	アジア	26,403
84	モルドバ共和国	ヨーロッパ	26,020
85	ガンビア	アフリカ	23,913
86	ボツワナ	アフリカ	19,216
87	ブルキナファソ	アフリカ	19,000
88	カメルーン	アフリカ	16,672
89	ブータン	アジア	14,649
90	日本	アジア	14,505
91	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	13,694
92	セルビア	ヨーロッパ	13,091
93	リトアニア	ヨーロッパ	12,773
94	トンガ	オセアニア	11,741
95	アルメニア	アジア	11,367
96	カタール	アジア	10,936
97	ニューカレドニア	オセアニア	10,808
98	シリア・アラブ共和国	アジア	10,327
99	北マケドニア	ヨーロッパ	9,154
100	ラトビア	ヨーロッパ	8,300
101	サウジアラビア	アジア	7,726
102	タイ	アジア	7,657
103	ベリーズ	南アメリカ	6,103
104	ルクセンブルク	ヨーロッパ	4,443
105	プエルトリコ	南アメリカ	4,373
106	マレーシア	アジア	4,069
107	ジャマイカ	南アメリカ	4,008
108	イスラエル	アジア	4,000
109	モンテネグロ	ヨーロッパ	3,889
110	バヌアツ	オセアニア	3,850
111	レバノン	アジア	3,780
112	ギニア	アフリカ	3,541
113	ガーナ	アフリカ	3,275
114	ギニアビサウ	アフリカ	2,434
115	ガイアナ	南アメリカ	2,400
116	ヨルダン	アジア	2,274
117	フランス領ポリネシア	オセアニア	2,200
118	ケニア	アフリカ	2,161
119	パプアニューギニア	オセアニア	2,033
120	トーゴ	アフリカ	2,014
121	イエメン	アジア	1,998
122	サモア	オセアニア	1,936
123	エスワティニ	アフリカ	1,736
124	中国、香港特別行政区	アジア	1,549
125	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	1,403
126	スリランカ	アジア	1,265
127	バルバドス	南アメリカ	1,238
128	ベナン	アフリカ	1,167
129	クウェート	アジア	1,160
130	セントルシア	南アメリカ	1,110
131	アンゴラ	アフリカ	1,012
132	ソマリア	アフリカ	884
133	中国、台湾 中国省	アジア	866
134	マラウイ	アフリカ	844
135	カーボベルデ	アフリカ	576
136	マダガスカル	アフリカ	508
137	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	493
138	アラブ首長国連邦	アジア	440
139	スリナム	南アメリカ	311
140	サントメ・プリンシペ	アフリカ	308
141	クック諸島	オセアニア	302
142	ソロモン諸島	オセアニア	151
143	モーリシャス	アフリカ	148
144	コンゴ	アフリカ	78
145	グレナダ	南アメリカ	30
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世界の馬飼養数データは、農業、運搬、レジャー、文化的行事といった幅広い用途に利用される馬が、国々によってどのように利用されているかを反映しています。本ランキングの1位であるアメリカ合衆国では、馬は主に乗馬競技やレジャー目的で用いられています。同国の経済力と人口規模、さらに広大な土地が飼育可能頭数の多さに直接的に影響しています。また、2位のメキシコと3位のブラジルも、農業利用や伝統的文化活動、小規模な運送手段としての馬の重要性が背景にあると考えられます。

興味深いのは、面積がそれほど大きくないモンゴルが4位にランクインしている点です。モンゴルでは遊牧文化と密接に結びついた馬の存在が国民生活の基盤となっており、文化的・経済的利用が他国に比べて際立っています。一方で、モンゴルのような寒冷地域では飼養可能頭数が季節的要因や地理的条件により制限されることも否定できません。

アジアに目を向けると、中国は3,671,600頭で5位を占めています。同国では伝統的農村地域での利用が多いものの、都市化や機械化の進展に伴い、馬の役割が以前のメインの交通・農業手段から異なる方向へと変化してきました。一方で日本における飼養数は14,505頭で90位に留まっています。これは日本の地理的な制約、土地利用の優先順位、近代化された交通網や農業インフラの普及が影響していると考えられます。

地域別の課題を考えると、例えばアメリカやヨーロッパでは馬の飼養にかかるコストの上昇や土地利用の変化が今後の飼育数に影響を与える可能性があります。一方で、アフリカではエチオピアやチャドのように、農業や日常の業務に馬を活用する国が多数存在していますが、疫病や栄養状態の悪化が馬の健康に影響を及ぼしているという点が課題です。これらの国々での馬の健康管理を向上させるには、疫病対策や飼料生産の支援が必要です。

地政学的に見ると、紛争国や政治的に不安定な地域では、馬の飼養が資源として注目される一方、家畜資源の破壊や飼養環境の悪化が懸念されます。国際協力を通じて、このような影響を最小限に抑えるための政策が求められます。

今後は、馬飼養数の管理を持続可能な形で推進するために、各国の現状や文化的特色を踏まえた政策の立案が必要です。具体的には、モンゴルやカザフスタンでは遊牧文化を保ちながら、現代的な飼養技術を導入することで生活基盤を強化する施策が考えられます。また、日本のように順位が低い国では、競馬産業や観光活用のために馬の健康や繁殖を支援する政策が求められるでしょう。さらに、アフリカ諸国では国際機関や先進国が協力して、公衆衛生や家畜インフラの整備に注力することが肝要です。

結論として、馬飼養数は単なる頭数のランキングにとどまらず、各国の生活様式や経済発展、文化、政策状況を反映する重要な指標です。これを活用して、地域間での協力や技術交流を進めることは、農村地域の活性化や災害・紛争時の生活基盤の確保に大きく寄与すると言えるでしょう。