国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、デンマークの馬飼養数は1961年の124,886頭をピークとして、その後減少し、1980年代以降は変動が見られるものの概ね減少傾向が続いています。2000年代後半には一時的に増加が見られたものの、2022年の馬飼養数は46,012頭であり、中長期的には1960年代の水準には届いていない状況です。
デンマークの馬飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 46,012 |
2021年 | 42,782 |
2020年 | 42,970 |
2019年 | 41,860 |
2018年 | 45,996 |
2017年 | 51,586 |
2016年 | 51,282 |
2015年 | 57,720 |
2014年 | 48,684 |
2013年 | 57,249 |
2012年 | 68,467 |
2011年 | 61,476 |
2010年 | 59,735 |
2009年 | 57,981 |
2008年 | 60,029 |
2007年 | 52,702 |
2006年 | 52,882 |
2005年 | 53,512 |
2004年 | 39,209 |
2003年 | 42,707 |
2002年 | 38,136 |
2001年 | 43,143 |
2000年 | 39,737 |
1999年 | 40,485 |
1998年 | 38,200 |
1997年 | 39,000 |
1996年 | 20,000 |
1995年 | 18,000 |
1994年 | 18,000 |
1993年 | 20,000 |
1992年 | 28,000 |
1991年 | 32,000 |
1990年 | 38,000 |
1989年 | 35,446 |
1988年 | 34,268 |
1987年 | 29,000 |
1986年 | 30,000 |
1985年 | 32,000 |
1984年 | 33,169 |
1983年 | 33,119 |
1982年 | 35,000 |
1981年 | 44,000 |
1980年 | 50,000 |
1979年 | 55,912 |
1978年 | 59,236 |
1977年 | 61,087 |
1976年 | 60,014 |
1975年 | 58,497 |
1974年 | 55,317 |
1973年 | 50,292 |
1972年 | 47,870 |
1971年 | 46,598 |
1970年 | 45,413 |
1969年 | 41,706 |
1968年 | 40,321 |
1967年 | 41,618 |
1966年 | 45,523 |
1965年 | 52,933 |
1964年 | 64,082 |
1963年 | 80,767 |
1962年 | 99,793 |
1961年 | 124,886 |
FAOが公開したデータを分析すると、デンマークの馬飼養数には時代ごとの特徴的な変動が見られます。1961年時点では124,886頭と非常に多くの馬が飼養されていましたが、その後、機械化や農業労働の変化に伴い、馬の役割が縮小したことで大幅に減少し、1980年代には30,000〜40,000頭程度に落ち込んでいます。特に1983年や1993年など、一部の年で数値が顕著に低下していることから、経済的要因や政策の影響も馬飼養数の減少に影響を与えていると推測されます。
1990年代後半以降は一部の年で増加も見られ、1997年から2008年の間には約20,000〜60,000頭の範囲で増減しています。2008年には60,029頭と一時的な増加がみられましたが、その後再び減少に転じ、直近の2022年時点で46,012頭という結果でした。この変動は、馬の経済的役割の変化や社会的影響、さらには政策変更や都市化の進行など、多くの要因が複合的に絡んでいると考えられます。
興味深い点としては、1980年代以降のデンマークの馬は農業利用よりも娯楽や競技、観光など、レクリエーションとしての用途が増加している点です。特に富裕層への乗馬産業の影響も、増加に転じた要因の一つと考えられます。また2008年の増加には、世界金融危機の直前であった経済動向が影響している可能性があります。しかしその後、経済の不安定性や都市部への人口集中、動物福祉の問題が浮上することで再び顕著な減少に転じました。
このような長期的な変化背景には、農業や経済構造のシフト、都市化進展、そして国民一人当たりの土地利用の変化が密接に関係しています。他方で、デンマークのような裕福な国家では、環境問題や動物福祉に対する市民意識が年々高まり、これが馬飼養のあり方に新たな課題を生じさせています。馬の飼育には広大な土地や飼料が必要であり、気候変動や耕作地削減との間で調整が求められます。
これらの課題に対処するには、政府と最新の農業技術の導入が重要です。たとえば、高効率な牧草地や地下水の利用方法を開発することで飼育環境を整えたり、乗馬を利用した地元観光産業を活用するなど、持続可能な枠組みの形成が考えられます。また、動物福祉を重視した政策を推進することで、畜産業全体で国際的な好評価を確保することも重要です。さらに、地域間協力の強化や、家畜としての利用に代わる観光・教育目的での養成も検討の価値があります。
結論として、デンマークの馬飼養数の過去から現在までの推移を見れば、農業的観点の重要性から社会的文化的役割への変化が明瞭に理解できます。しかし課題は未解決のままであり、今後の持続可能な発展のためには政策支援や技術革新だけでなく、国民の理解と協力も欠かせません。