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フランスの馬飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、フランスの馬の飼養数は1961年に約172万頭とピークを迎えて以来、2000年代初頭まで全般的に減少傾向を示してきました。その後、2000年以降はおおむね横ばいに推移していましたが、2016年頃から再び減少が進み、2022年には約28万9607頭まで減少しました。この長期的な減少と近年の急激な変化は、農業構造の変化、産業利用の減少、そして社会文化的要因が影響していると考えられます。

年度 飼養数(頭)
2022年 289,607
2021年 291,165
2020年 290,857
2019年 367,174
2018年 370,881
2017年 375,266
2016年 379,410
2015年 398,055
2014年 405,649
2013年 408,028
2012年 414,284
2011年 424,590
2010年 422,902
2009年 422,665
2008年 421,065
2007年 423,049
2006年 422,872
2005年 426,227
2004年 427,079
2003年 419,625
2002年 421,268
2001年 418,135
2000年 417,016
1999年 393,186
1998年 390,780
1997年 383,479
1996年 371,526
1995年 362,894
1994年 351,951
1993年 347,558
1992年 339,171
1991年 334,810
1990年 319,046
1989年 268,681
1988年 266,100
1987年 267,724
1986年 271,204
1985年 294,000
1984年 298,000
1983年 306,000
1982年 323,000
1981年 317,444
1980年 364,417
1979年 373,500
1978年 379,600
1977年 397,600
1976年 398,100
1975年 413,000
1974年 425,000
1973年 446,600
1972年 524,200
1971年 626,000
1970年 696,500
1969年 749,900
1968年 874,400
1967年 1,044,000
1966年 1,114,200
1965年 1,227,700
1964年 1,356,800
1963年 1,526,200
1962年 1,617,100
1961年 1,728,800

フランスの馬の飼養数推移を見ると、1961年の約172万頭を頂点に、1970年代まで急速に減少し、その後も緩やかな下降傾向を続けています。この現象は、農業機械の普及が進むなかで、農業分野での馬の役割が縮小したことが主な要因と考えられます。また、都市化の進展とともに馬術文化の需要は維持されてきたものの、全体的な飼養数は一定の水準を維持することが難しくなりました。

2000年代に入り、馬の飼養数は約42万頭まで回復し、その後2010年代前半まで安定傾向がみられました。この期間はレクリエーション用途や競馬産業の注目度が高まったこと、さらに馬術を奨励する文化的取り組みの一環として、飼養数の維持が図られたと考えられます。一方、2016年以降は再び減少傾向が顕著になり、2020年以降には急激な減少が見られます。この減少には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響も無視できません。パンデミックにより、獣医ケアなどの馬の飼養に関わるサービスが制約されたり、経済的負担が増加したことが背景にあると推測されます。

フランスの農業政策や馬産業の持続可能性について考えると、大きな課題が浮き彫りになります。まず、若年層による馬術や競馬産業の関心を高めるための教育や市場整備が必要です。また、飼養環境の維持費削減や補助金制度の見直しを通じて、個人や小規模農家にも馬の飼養を促進していくことが重要です。さらに、持続可能な方法で馬産業全体を維持するためには、異なる業界間での連携が鍵となります。たとえば、観光業と組み合わせたエコツーリズムの促進や、健康を促す乗馬施設の拡充などが考えられます。

加えて、地政学的な観点からも考慮が必要です。欧州では環境保全や動物福祉規制が強化されており、これがフランス国内の馬飼養数の減少に影響を与えている可能性があります。この点を踏まえ、地域資源としての馬の多面的な役割を見直し、文化保存を含む新しい価値の創出を目指す取り組みが求められます。

フランスにおける馬の飼養数減少が示すもう一つのリスクは、緊急時の輸送や観光産業が脆弱化する懸念です。歴史的に見ても、馬は戦時や災害時の物流手段として重要な役割を担いました。そのため、馬という資源を単なるレクリエーションではなく、持続可能な地域社会を支える要素として位置づける政策が求められます。

以上を踏まえると、フランスの馬飼養数の減少に対しては、農業機械化や都市化といった構造的な背景を理解した上で、教育、文化、観光、そして持続可能性の4つの分野での政策的な対応が急務です。国際機関や地域間の協力も視野に入れ、馬の飼養を未来の社会資源として活かす施策を具体的に構築していくことが求められます。