ITU(国際電気通信連合)が2024年4月に発表した2022年度のデータによると、世界の人口100人あたりの携帯電話契約数ランキングにおいて、中国の香港特別行政区が291.91という非常に高い数値でトップの座を占めました。2位のアラブ首長国連邦は212.22、続いて3位のリビアは204.63と、いずれも200を超える数値を記録しています。このランキングは、地理的、経済的要因が契約数にどのように影響を与えているのかを示す興味深いデータです。
日本は170.03で全体の14位となり、トップ10には及びませんでしたが、先進国の中では上位に位置づけられています。一方、アメリカ合衆国やイギリス、フランスといった他の先進国は日本よりも下位にランクインしており、各国の特徴的な利用環境や市場特性の違いが反映されています。この指標からは、携帯電話市場の発展度合いや通信スタイルの多様性が国ごとに異なることが見て取れるといえます。
順位 | 国名 | 100人当たりの 携帯電話の契約数 |
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1 | 中国、香港特別行政区 | 291.91 |
2 | アラブ首長国連邦 | 212.221 |
3 | リビア | 204.629 |
4 | モンテネグロ | 203.168 |
5 | アンティグア・バーブーダ | 198.567 |
6 | シント・マールテン (オランダ語) | 195.907 |
7 | セーシェル | 191.508 |
8 | エルサルバドル | 181.627 |
9 | クウェート | 180.995 |
10 | タイ | 176.317 |
11 | 中国、マカオ特別行政区 | 174.521 |
12 | カタール | 174.128 |
13 | コートジボワール | 174.025 |
14 | 日本 | 170.026 |
15 | フォークランド諸島 (マルビナス) | 169.788 |
16 | ロシア連邦 | 169.485 |
17 | 南アフリカ | 167.396 |
18 | ボツワナ | 165.305 |
19 | イラン(イスラム共和国) | 164.502 |
20 | シンガポール | 163.573 |
21 | アンギラ | 163.146 |
22 | モーリシャス | 161.358 |
23 | スリランカ | 158.696 |
24 | パナマ | 156.307 |
25 | グルジア | 156.087 |
26 | コロンビア | 155.785 |
27 | エストニア | 155.03 |
28 | キプロス | 153.916 |
29 | イスラエル | 152.222 |
30 | コスタリカ | 152.025 |
31 | スリナム | 150.288 |
32 | 大韓民国 | 148.588 |
33 | バーレーン | 145.443 |
34 | ケイマン諸島 | 145.165 |
35 | フィリピン | 144.043 |
36 | モンゴル | 142.29 |
37 | アンドラ | 142.214 |
38 | モロッコ | 141.382 |
39 | マレーシア | 141.292 |
40 | ルクセンブルク | 140.883 |
41 | ベトナム | 139.95 |
42 | リトアニア | 139.137 |
43 | ウルグアイ | 138.526 |
44 | オマーン | 136.801 |
45 | モルディブ | 136.542 |
46 | アルメニア | 135.254 |
47 | チリ | 134.745 |
48 | イタリア | 132.971 |
49 | パラオ | 132.927 |
50 | サウジアラビア | 132.38 |
51 | アルバ | 132.289 |
52 | ポーランド | 131.944 |
53 | スロバキア | 131.925 |
54 | マルタ | 131.592 |
55 | アルゼンチン | 131.188 |
56 | トリニダード・トバゴ | 130.566 |
57 | セルビア | 129.812 |
58 | カザフスタン | 129.764 |
59 | ネパール | 129.642 |
60 | チュニジア | 129.348 |
61 | タジキスタン | 129.068 |
62 | フィンランド | 128.683 |
63 | チェコ | 128.41 |
64 | パラグアイ | 127.705 |
65 | モルドバ共和国 | 127.416 |
66 | デンマーク | 126.962 |
67 | リヒテンシュタイン | 126.275 |
68 | スロベニア | 126.184 |
69 | ギニアビサウ | 125.932 |
70 | スウェーデン | 125.561 |
71 | ガボン | 125.387 |
72 | ドイツ | 125.225 |
73 | スイス | 124.683 |
74 | ポルトガル | 124.549 |
75 | インドネシア | 124.358 |
76 | 中国 | 124.134 |
77 | スペイン | 124.099 |
78 | ベラルーシ | 123.447 |
79 | オーストリア | 122.862 |
80 | アイスランド | 122.517 |
81 | エスワティニ | 122.17 |
82 | ペルー | 122.026 |
83 | サンマリノ | 121.806 |
84 | ケニア | 121.674 |
85 | イギリス | 120.82 |
86 | セネガル | 120.434 |
87 | プエルトリコ | 119.793 |
88 | ガーナ | 119.624 |
89 | フランス | 118.847 |
90 | ブルキナファソ | 118.595 |
91 | ルーマニア | 118.107 |
92 | オランダ | 118.065 |
93 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | 117.888 |
94 | ブルネイ ダルサラーム | 117.755 |
95 | グリーンランド | 117.637 |
96 | ブルガリア | 117.435 |
97 | ラトビア | 117.096 |
98 | カンボジア | 116.326 |
99 | グアテマラ | 115.182 |
100 | バルバドス | 114.859 |
101 | ニュージーランド | 114.69 |
102 | セントクリストファー・ネイビス | 114.596 |
103 | マリ | 114.497 |
104 | モントセラト | 114.419 |
105 | ガイアナ | 114.362 |
106 | イギリス領バージン諸島 | 113.704 |
107 | ナミビア | 113.197 |
108 | モーリタニア | 113.12 |
109 | アイルランド | 112.523 |
110 | ジブラルタル | 112.432 |
111 | キルギスタン | 112.17 |
112 | ノルウェー | 112.119 |
113 | クロアチア | 111.168 |
114 | フィジー | 110.506 |
115 | ギニア | 110.423 |
116 | 東ティモール | 110.416 |
117 | アメリカ合衆国 | 110.171 |
118 | オーストラリア | 109.56 |
119 | ギリシャ | 109.316 |
120 | アルジェリア | 109.165 |
121 | ベナン | 108.965 |
122 | バングラデシュ | 108.71 |
123 | フェロー諸島 | 107.64 |
124 | フランス領ポリネシア | 106.983 |
125 | アゼルバイジャン | 106.855 |
126 | モナコ | 106.817 |
127 | ミャンマー | 106.696 |
128 | メキシコ | 106.606 |
129 | ウズベキスタン | 106.42 |
130 | クック諸島 | 106.402 |
131 | ジャマイカ | 106.202 |
132 | バミューダ | 106.201 |
133 | トルコ | 105.808 |
134 | ガンビア | 104.039 |
135 | シエラレオネ | 103.759 |
136 | ハンガリー | 102.79 |
137 | ベルギー | 101.871 |
138 | ナイジェリア | 101.686 |
139 | ニカラグア | 101.011 |
140 | セントビンセントおよびグレナディーン諸島 | 100.462 |
141 | ボリビア (多民族国家) | 100.35 |
142 | コモロ | 100.238 |
143 | カーボベルデ | 99.231 |
144 | ザンビア | 99.102 |
145 | ブラジル | 98.891 |
146 | バハマ | 98.538 |
147 | イラク | 98.184 |
148 | アルバニア | 97.885 |
149 | 北マケドニア | 97.833 |
150 | フランス領ギアナ | 97.415 |
151 | エクアドル | 97.165 |
152 | ブータン | 94.893 |
153 | コンゴ | 94.64 |
154 | カナダ | 92.109 |
155 | エジプト | 92.009 |
156 | タンザニア連合共和国 | 91.899 |
157 | ニューカレドニア | 90.782 |
158 | ドミニカ共和国 | 90.391 |
159 | キュラソー | 89.909 |
160 | カメルーン | 88.92 |
161 | ジンバブエ | 87.624 |
162 | ツバル | 87.323 |
163 | サントメ・プリンシペ | 86.368 |
164 | グレナダ | 85.713 |
165 | セントルシア | 82.18 |
166 | パキスタン | 81.746 |
167 | ナウル | 81.204 |
168 | インド | 80.648 |
169 | ルワンダ | 79.86 |
170 | シリア・アラブ共和国 | 79.854 |
171 | アメリカ領ヴァージン諸島 | 79.546 |
172 | バヌアツ | 78.199 |
173 | レバノン | 77.449 |
174 | パレスチナ国 | 77.371 |
175 | ホンジュラス | 76.08 |
176 | ドミニカ | 76.024 |
177 | トーゴ | 74.181 |
178 | スーダン | 73.966 |
179 | セントヘレナ | 73.837 |
180 | ウガンダ | 69.986 |
181 | チャド | 68.14 |
182 | キューバ | 67.784 |
183 | ヨルダン | 67.568 |
184 | レソト | 67.517 |
185 | ソロモン諸島 | 66.941 |
186 | ベリーズ | 66.754 |
187 | アンゴラ | 66.687 |
188 | マダガスカル | 66.554 |
189 | ベネズエラ (ボリバル共和国) | 66.258 |
190 | ハイチ | 64.73 |
191 | ラオス人民民主共和国 | 63.603 |
192 | ニジェール | 61.831 |
193 | トンガ | 60.676 |
194 | サモア | 60.4 |
195 | マラウイ | 60.127 |
196 | ブルンジ | 58.143 |
197 | エチオピア | 57.889 |
198 | アフガニスタン | 55.513 |
199 | エリトリア | 54.718 |
200 | 赤道ギニア | 53.342 |
201 | イエメン | 52.693 |
202 | コンゴ民主共和国 | 50.342 |
203 | ソマリア | 50.257 |
204 | パプアニューギニア | 49.484 |
205 | 南スーダン | 48.968 |
206 | キリバス | 48.826 |
207 | ジブチ | 47.455 |
208 | モザンビーク | 45.382 |
209 | マーシャル諸島 | 38.28 |
210 | 中央アフリカ共和国 | 35.474 |
211 | リベリア | 32.49 |
212 | 朝鮮民主主義人民共和国 | 24.371 |
213 | ミクロネシア連邦 | 19.629 |
2022年度の人口100人あたりの携帯電話契約数ランキングは、携帯電話の普及状況を示す重要な指標です。一位に輝いたのは中国香港特別行政区で、291.91という驚くべき高水準が記録されました。この値は、一人が複数台の携帯電話を所持している可能性が高いことを示唆しており、特に先端的な通信技術や経済活動の集中、個人や法人の多面的な通信ニーズが影響していると考えられます。同じく、中国のマカオ特別行政区も174.52で11位に位置しており、地域のモバイル契約数の多さが目立ちます。
2位のアラブ首長国連邦は212.22で、こちらも非常に高い数値です。この数値は、経済的豊かさと人口の少なさに基づく契約の多さ、そして出張者や観光客用の短期契約が多いことが影響したと見られます。また、リビアが3位にランクインしていることは意外かもしれません。同国ではモバイルテクノロジーが急速に普及しており、都市部を中心に通信インフラへの投資が進んでいることを反映した結果といえるでしょう。
日本は170.03で14位でした。これは、安定した通信インフラと高い技術普及率を背景にしますが、近年ではスマートフォンの所有台数が一人一台であることが一般化しており、他国と比較すると複数契約があまり進んでいないことも要因の一つです。それに対し、日本より上位の国々では一人あたり複数契約が一般的であり、例えば仕事用と個人用、国内用と国外用といった形で契約数が増える傾向があります。日本と地理的に近い韓国は148.59で32位、また中国(本土)は124.13で76位と、それぞれ異なる市場特性が見られます。
アメリカ合衆国は110.17で117位、イギリスは120.82で85位、フランスは118.85で89位と、いずれも日本より下位に位置しています。これらの国では、携帯電話の利用料金が高めである傾向や、固定通信の推進が相対的に強いことが影響している可能性があります。興味深い点は、これらの国家が通信の質では先進的でありながらも、契約数の増加には慎重である点です。
さらに広範な観点で見れば、新型コロナウイルス感染症の影響も一定の役割を果たしていると考えられます。2022年度は、パンデミック後の回復期にあたり、多くの人々がリモートワークやオンライン学習などを通じて通信機器への依存度を高めてきました。しかし、その依存度が一時的だった場合、解約や回線整理が進むことも考えられます。特に経済的困難に直面している地域では、契約を削減することで生活コストを緩和する動きが見られたようです。
合同的に分析すると、順位の上昇や数値の伸びが著しい国々では、急速な経済成長や都市化、高度化された通信インフラが背景にあります。一方で、下位にとどまる国では、今後のインフラ整備や市場の開放が課題となっているといえます。例えば、インドは80.65で168位と低水準ですが、同国では未だ普及が進んでいない地域が多く、潜在的な市場規模は非常に大きいと考えられます。
このようなデータは、各国政府や企業にとって重要な指標となります。例えば、上位の国々は、いかにさらなる市場開拓を進め引き続き通信分野をリードし続けるかが課題です。一方で、下位の国々は、通信インフラへの投資や廉価な通信プランの普及を通じて、地域間格差を解消する必要があります。また、国際機関にとっては通信技術を普遍的に普及させるための支援策の策定や、低所得国での利用促進が今後の重要な課題となるでしょう。
携帯電話契約数は、その国の経済力や技術力、生活スタイルを象徴するだけでなく、現代社会におけるデジタルギャップの問題も浮き彫りにします。テクノロジーがさらに高度化する中、携帯電話が人々を結びつけ、経済活動を促進し、生活の質を向上させる役割は増す一方です。そのためにも、すべての国と地域において平等で持続可能な通信インフラの発展が求められています。