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エチオピアの100人当たりの携帯電話の契約数推移

ITU(国際電気通信連合)が発表したデータによると、エチオピアにおける人口100人当たりの携帯電話の契約数は、1999年のわずか0.01件から2022年には約57.89件にまで増加しました。この間、顕著な増加傾向が見られ、多くの年度で二桁やそれ以上の伸び率を記録しました。ただし、2017年には一時的な減少が見られ、その後再び大きな成長に転じています。

年度 100人当たりの携帯電話の契約数
1999年 0.01
2000年 0.026
2001年 0.039
2002年 0.07
2003年 0.07
2004年 0.206
2005年 0.53
2006年 1.087
2007年 1.473
2008年 2.316
2009年 4.67
2010年 7.68
2011年 15.385
2012年 21.729
2013年 26.417
2014年 30.567
2015年 41.291
2016年 48.648
2017年 36.599
2019年 36.733
2020年 37.972
2021年 53.623
2022年 57.889

エチオピアでは、1999年の段階で携帯電話普及率はほとんど存在しない状態でしたが、2022年には人口100人当たりの契約数が約57.89件に達し、劇的な成長を遂げています。このデータが示すのは、経済成長、技術インフラ拡充、そして国民への通信サービスの普及が過去数十年で着実に進展しているということです。しかし、一方でこの57.89という数値は、他国と比較すると依然として低い水準にあります。例えば、日本や韓国では同じ指標が100を大きく超える一方、エチオピアはその半分程度の値に留まっています。これは、国全体の発展段階や人口規模、経済的制約が関係していると考えられます。

エチオピアの携帯電話契約数増加を支えた要因には、急速な都市化や携帯通信インフラの整備が挙げられます。とりわけ、2010年代以降の伸びは顕著であり、2011年には前年度の15.39から21.73へ、続く2015年には41.29へと上昇しています。この期間、政府による通信網整備への投資や、地方部へのサービス拡大が寄与したものと考えられます。しかし、それでもなお、地方の一部では依然としてアクセスの困難さが課題となっており、都市と農村の間でインフラ格差が存在していると推測されます。

また、2017年における契約数の一時的減少は注目すべき動きです。この背景には、エチオピア国内で発生した政治的な不安定やインフレ率の高進が影響を及ぼした可能性があります。こうした要因が国民の経済活動に影響を与え、通信サービス契約数に直接的な影響を与えたと考えられるでしょう。これに関連して、地政学的リスクや地域紛争などが将来的にも通信インフラに深刻な影響を与える要因として残ります。

今後に向けては、通信インフラのさらなる普及とともに、地域間の格差をなくすための具体的な取り組みが必要です。例えば、地方部へのモバイルネットワーク基地局の設置を促進するとともに、料金プランの多様化や補助政策を導入することで、低所得層へのアプローチを強化することが有効でしょう。また、教育キャンペーンを通じてデジタルリテラシーを向上させ、より多くの国民がモバイルテクノロジーを活用できる環境を整えることも重要です。

さらに、災害や疫病などの社会的なリスクに対する備えとして、携帯電話を通じた早期警戒システムや緊急時の情報共有インフラを構築することも課題となります。これは、2020年代における新型コロナウイルス感染症が示した教訓でもあり、例えば感染情報や医療リソースの分配を効率化するツールとしての携帯通信の活用があり得るでしょう。

したがって、このような成長を維持・加速するためには、エチオピア政府が一層の投資と政策支援に注力するとともに、国際的な援助や民間投資を誘致する必要があります。長期的には、携帯電話だけでなく、インターネット普及率の向上、デジタル経済の促進を目指し、経済全体の活性化が期待されます。